憲法で言う「公共の福祉」とは、それぞれの個人がもつ人権のことで、「公共の福祉に反しない限り」というのは、「他人の人権を侵害しないがぎり」という意味です。平たく言うと「他人に迷惑をかけるような自分勝手なことをしてはならない」というくらいの意味です。それ以外の意味はありません。国策や公益などとは全く関係がありません。 憲法論的には、「公共の福祉」は、人権と人権との衝突の調整です。個人の人権は他者の人権と衝突した場合にのみ制約を受けます。つまり人権を制限できるのは人権だけであるという考え方、他人の人権の侵害の上にではなく、他人の尊重の上に成り立つという考え方です。 「公共の福祉」を「全体の利益」「公益」などと混同し、個人を犠牲にしてでも国策などに従うべきだという意味とする誤解も散見されますが、それは個人の尊重と矛盾しており間違っています。現行の日本国憲法では、人権を踏みにじって国策を押しつけることは決して許されていません。 「公共の福祉」という概念には「個人の尊重」がセットになっています。だから、権力者はこれを変えようとしているのです。
はじめに Q1 憲法と法律とはどう違うか? Q2 日本国憲法の根本にあるものは? Q3 「公共の福祉に反しない」とは何に反しないこと? Q4 権利と義務とはワンセット? Q5 人権が認められるのは「国民」だけ? Q6 国民主権と象徴天皇制は矛盾では? Q7 憲法第9条が放棄したのは? Q8 日本国憲法は押しつけ? 日本の自由民権運動と世界的な人権思想の流れの中で生み出された日本国憲法 日本国憲法と自民党改憲草案の比較 [参考] ※自民党日本国憲法改正草案 Q&A(pdf) ※大日本国憲法・日本国憲法・自民党憲法改正草案比較表(pdf) ※自民党憲法草案の批判のために(リブ・イン・ピース☆9+25) |
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