[リーフレット] 憲法って、とっても大事!
はじめに

 2012年末に誕生した安倍政権は、現在の憲法を全面的に変えようとしています。自民党のホームページでは、「日本国憲法改正草案/Q&A」(以下、自民党草案と略記)を公表しています。

 まずは改憲の手続である96条を変えることを安倍政権の当面の目標としています。現在の条文では、改憲発議に「各議院の総議員の3分の2以上の賛成」が必要ですが、それを「2分の1以上の賛成」に大きく緩和しようとしています。憲法は最高法規であり、政権が変わっても時の権力者によって恣意的に変えられることがないように、改憲には厳しい制約が課せられているのです。このように厳しい制約が設けられているのは日本だけでなく、諸外国も同様です。

 私たちは日常生活で憲法を意識することはあまりないかもしれません。憲法9条や“国民主権、戦争放棄、基本的人権”の憲法三原則などは学校でも習いましたが、ともすれば自分たちの暮らしとは関係のない遠い話のように考えてしまいがちです。
 しかし、憲法は私たちの日常生活のさまざまな部面で大きくかかわっています。

 小中学校の義務教育が保障され、20歳になれば普通選挙権が与えられます。
 手紙が公安警察によって検閲されることもありません。コンサートや講演会で警察官が監視していることもありません。ブログやホームページを作って自分の意見を書いたり、同じ考えを持った人が集まって自由に会報をつくることもできます。他人に迷惑をかけなければ、どのような宗教を信仰することもできるし、国の政策を批判することも自由です。
 なにより、20歳になっても徴兵検査を受けなくてもいいし、むりやり戦争に行かされることもありません。

 現行憲法は前文で悲惨な戦争を二度と繰り返さないとの決意を述べ、人は生まれながらにして基本的人権をもっているという考え方(天賦(てんぷ)人権説)や国民が主権者であるとの考え方を明確にしています。そしてその根本に「個人の尊重」が置かれています。このように憲法で明記されることで私たちの市民生活が保障されているのです。そして12条は「国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない」と、自由と権利を守るための国民の努力を求めています。

 このリーフレットでは、現行の日本国憲法に即して「憲法とは?」「日本国憲法の根本は?」「公共の福祉とは?」などの基本的な点を整理してみました。それぞれの項目について自民党草案でどのような変更が加えられようとしているのか補足しています。このリーフレットで、日本国憲法の大切さを再発見し、自民党草案のどこが問題なのかを考えていく材料になればと思います。

※このリーフレットは、2009年7月から2010年7月まで、リブインピースのブログで30回にわたって連載したシリーズ「憲法って、面白っ!」を大幅に加筆訂正したものです。そちらも読んでいただければ幸いです。

2013年3月
リブ・イン・ピース☆9+25

はじめに
Q1 憲法と法律とはどう違うか?
Q2 日本国憲法の根本にあるものは?
Q3 「公共の福祉に反しない」とは何に反しないこと?
Q4 権利と義務とはワンセット?
Q5 人権が認められるのは「国民」だけ?
Q6 国民主権と象徴天皇制は矛盾では?
Q7 憲法第9条が放棄したのは?
Q8 日本国憲法は押しつけ?
日本の自由民権運動と世界的な人権思想の流れの中で生み出された日本国憲法
日本国憲法と自民党改憲草案の比較

[参考]
自民党日本国憲法改正草案 Q&A(pdf)
大日本国憲法・日本国憲法・自民党憲法改正草案比較表(pdf)
自民党憲法草案の批判のために(リブ・イン・ピース☆9+25)