ガザ侵攻阻止!空爆を止めろ!住民大虐殺に反対する
米・イスラエルのデマ、戦争プロパガンダに反論する
パレスチナ連帯シリーズ開始にあたって

(1) 10月7日にハマスを中心とするパレスチナの抵抗勢力が「アルアクサ大洪水」作戦を開始し、それに対してイスラエルがガザに対する大規模戦争をはじめてから、イスラエルと西側メディアは悪意に染まったデマと戦争プロパガンダをますますエスカレートさせています。いわく「ハマスはテロリストだ」「イスラエルには防衛する権利がある」「これは対テロ戦争だ」等から、「ハマスは無辜の市民を大量虐殺した」「40人の赤ん坊の首を切断した」等々まで。

 日本では主要なメディアがこれらのプロパガンダをそのまま垂れ流す状態にあります。しかし、それは、日々犠牲者が膨れ上がる空爆によるパレスチナ住民の大虐殺から人々の目をそらせ、「どっちもどっち」という誤った方向に導くものです。

(2) 10月7日の抵抗勢力の行動は、原因ではありません。パレスチナ人民が置かれてきた過酷な歴史の不可避的・必然的な結果です。私たち自身がこの過酷な歴史を学び、一刻も早くイスラエルの占領支配を終わらせることを要求して行動しなければなりません。

 その歴史とは、@75年前にパレスチナの地で平和に働き生活していた75万人ものパレスチナ人をイスラエルが暴力的に排除・追放した「ナクバ」(大惨事)による「建国」に始まり、A1967年の第三次中東戦争で米国と共謀したイスラエルが東エルサレムを含むヨルダン川西岸地区やガザ地区を占領し、パレスチナ全土を植民地化し、B1993年〜99年のオスロ合意はパレスチナ側に一方的に譲歩を強いるものであり、C2007年からは圧倒的な軍事力でガザ地区の封鎖=「屋根のない監獄」「野外刑務所」「強制収容所」を構築し、水・食糧・医療・燃料をイスラエルが自由自在に制限・管理してきた、侵略と暴力の歴史です。

 2014年には、イスラエルの50日間の地上侵攻により、2251人が虐殺され、数万人の負傷者を出しました。2007年のガザ監獄化、2014年の地上侵攻を経験してきた若者たちは、親兄弟や親類や友人の誰かが、殺され、負傷し、障がい者になり、栄養失調になり、新生児で死亡し、必要な医療を受けられず病死しているのです。しかも、2007年以降、それまでガザ住民を労働力として利用してきたイスラエルは、これを廃止し、完全に働く権利を奪ったのです。失業率は70%と言われています。

 今や、パレスチナ住民の居住区であるガザ地区と西岸は、「イスラエル・アパルトヘイト体制」と呼ばれています。前記の大きな歴史的段階だけでは尽くされません。イスラエルは、その間も、今も、毎日毎日、常習的に、パレスチナ住民を殺戮し、虐待し、逮捕・投獄し、拷問し、暴虐の限りを尽くしてきたし、現在もやり続けているのです。

(3) 確かに、今回の「イスラエル人の被害」は悲劇です。しかし、私たちは、このイスラエル市民の被害をイスラエルの残虐な占領支配の歴史や、米や西側諸国のイスラエル支援の全体的連関から切り離して論じることに反対です。

 10月7日になぜイスラエル市民の被害が生じたのか、あるいはパレスチナの若者たちを抵抗行動に駆り立てたのは誰か?そう考えると理解しやすいと思います。
 それは、第1に、イスラエルが占領支配と入植地政策を拡大・強化し続けているからです。占領支配を断念し、少なくとも最低限、国際的に合意されている「2国家解決」に向けて政策転換するなら、このような悲劇は起こらなかったでしょう。

 第2に、虐殺と占領支配を強化するイスラエルを全面支援する米国や西側諸国が、メディアも総動員して、大量虐殺や国際人道法違反を公然と支持し、国際世論がイスラエル非難で一致しないよう、握りつぶしてきたからです。

 第3に、エジプトやアラブ王政諸国が、米・イスラエルの脅迫や懐柔に取り込まれ、全体としてパレスチナの大義を裏切ってきたからです。パレスチナの大義を守り続けるリビアやイラクは国家そのものを解体され、シリアは弱体化させられ、イランも軍事的包囲と制裁で動けなくされています。

 第4に、以上とは次元が異なりますが、国際的なイスラエル批判、パレスチナ連帯の言論や行動が弱いことです。ここに私たち反戦運動の責任の一端があります。

(4) パレスチナ人民の、イスラエル占領支配に対する反植民地闘争、民族解放闘争は正当な抵抗権としてが国際法でも認められています。それも、平和的、非平和的形態という抵抗の形態を問わずです。国連決議では「武力闘争を含む利用可能な手段」の正当性が明記されています。イスラエルの占領支配は、間違いなく植民地主義支配、それも入植地拡大という古典的な植民地主義です。抵抗すればイスラエルが余計に虐殺する、抵抗してはいけない、抵抗の仕方は平和的な形態に限るべきだとの議論には反対です。

 上記のパレスチナ人民が置かれている孤立した状況、パレスチナ解放の異常な困難を考えれば、そういう議論は、パレスチナ人民に屈服を迫ることに等しいと思います。
 従って、「暴力の連鎖」という見方に私たちは反対です。占領者、抑圧者の異常な軍事力と、それに抵抗する側の非平和的手段とは同列に扱えず、次元が全く異なるからです。同列視することは、占領者に加担することを意味します。

 私たちは、パレスチナ民族の民族解放を断固として支持します。軍事的および入植地による占領全てを完全に終わらせ、1967年に占領された領土全体に、エルサレムを首都とするパレスチナ国家を設立することが唯一の解決の道だと考えます。これには建国権だけではなく、生存権、難民の帰還権、イスラエルの全占領地からの撤退、1万人以上の政治囚解放も含めるべきですです。これら当然の権利を全て認めることこそが、イスラエルの悲劇をなくす唯一の道でもあるのです。
 私たちは、パレスチナ人民の側、被抑圧民族の側に立ち、発言し、行動します。


(5) 米国や西側諸国の責任は重大です。私たちは、今こそ、米国が主導する、日本を含む西側諸国の全面的なイスラエル加担への糾弾に全力を注がねばなりません。
 日本の岸田政権も、即座に「イスラエルの自衛権支持」を表明し、「ハマスはテロリスト」と初めて認定し、米国や西側諸国と歩調を合わせています。

 イスラエルがここまで残虐かつ凶暴な国家になったのは、こうした米国や西側諸国の支持・支援があるからです。最近も、国連での即時停戦決議を葬ったのも、米と日本を含む西側諸国でした。
 10月7日以降、ネタニヤフと会談したのは、米国のバイデン大統領、ドイツのショルツ首相、フランスのマクロン大統領、イギリスのスナク首相です。彼らは口々に、「イスラエルの自衛権」を強調し、ハマスをテロリストとして批判し、イスラエルの所業を全面的に支持しました。

 イスラエルの国策は、大量虐殺だけではなく、パレスチナ民族を排除・抹殺する全面的な民族浄化・民族絶滅政策です。このような国際人道法を無視した異常な戦争国家イスラエルに、米国や西側諸国、そのメディアは全力を挙げて加担しているのです。もはや共犯者です。

 とりわけ、米国は特別の丸抱えとも言える共犯関係にあります。米国は、中東の石油支配、政治的軍事的覇権の道具、切っ先として、イスラエルを育て、利用し、凶暴化させたのです。普通、年間30〜40億ドルの軍事支援が問題視視されていますが、今回さらに追加軍事援助143億ドルを計画しています。これまでの3年分以上を一気に注ぎ込むというのです。

 それだけではありません。驚くべきことに、バイデン大統領は、直接、イスラエルの戦時閣議に参加し、軍人を送り込んでいるのです。戦時体制にある国に、米国の元首が直接加わるような異常事態は、これまでにあったでしょうか。侵攻時期や地上侵攻計画、国連対策やメディア対策などで調整し、イスラエルがガザ大量虐殺に集中できる環境作りをやっているのです。断じて許すことはできません。

 また、軍需産業・ハイテク産業など投資・経済面で米国とイスラエルは深く結びついています。今回も、米国は10月7日以降、「ミサイル防衛」(アイアンドーム)や武器・弾薬を供給し、大量虐殺に直接加担しています。イスラエルがガザ地上侵攻に専念できるよう、空母機動部隊を派遣し、ヒズボラやイラン、他のイスラム抵抗勢力への攻撃や砲艦外交を強めています。

(6) 世界中でパレスチナ連帯行動、米・イスラエルの戦争犯罪を糾弾する行動が広がっています。私たちも、すでに、この世界的行動に、積極的に合流しています。それと同時に、メディア批判が決定的に重要だと考えています。世界的な翼賛報道は、米国によるアフガニスタン侵略やイラク侵略の際にもありましたが、今回は、それを超える異常な翼賛性が特徴です。

 メディアは、第1に、一方的にイスラエルを被害者、パレスチナを加害者と見なして報道しています。その決めセリフが「ハマスはテロリスト」「イスラエルには自衛権がある」です。テロリストだから、ガザ住民は「自衛のための対テロ戦争」で皆殺しにしてもいいというレトリックです。ハマスはテロ組織ではありません。民衆に根ざしたレジスタンス組織であり、ガザを統治する統治組織です。

 第2に、ほとんどの場合、イスラエルの死者やイスラエルの人質に焦点を当てていることです。パレスチナの被害報道が増え始めていますが、ニュースで断片的・単発的に取り上げられるにとどまります。眼前でパレスチナ住民の犠牲者が増え続け、今やガザ地区の死者は7028人(10/25)に上り、このうち子どもが3000人以上を占め、負傷者が17436人、西岸の死者も100人を超えているにもかかわらず、未だに必ずイスラエルの被害を持ち出し打ち消すやり方がまかり通ってています。あるいは、「双方合わせて」という風に、5倍にのぼるパレスチナ人の犠牲者を覆い隠すのです。バイデンは10月25日、パレスチナ人の空爆による被害を「ハマスが戦争を行った代償だ」とまで述べ、大量虐殺を正当化しているのです。常軌を逸しています。

 第3に、ハマスをガザ地区の住民から浮き上がり、支持されない異常な武装組織として描くことです。しかし、今回の10月7日の行動は、ハマスだけではなく、イスラム聖戦、DFLP(パレスチナ解放民主戦線)、PFLP(パレスチナ解放人民戦線)などの他の多くの抵抗勢力が参加しています。それだけではなく、西岸のパレスチナ解放機構に属する左派勢力・抵抗勢力なども全面的に支持しているのです。現在進行中の事態は、イスラエルとハマスの争いではなく、イスラエルとパレスチナ全体の争いなのです。メディアは、これを否定するのに躍起となっています。

 第4に、イスラエルの大量虐殺に絶対に焦点を当てません。アル・アハリ病院での虐殺も、結局は、パレスチナ犯行説に収斂させています。従って、パレスチナの惨状、パレスチナ人民の過酷な歴史は、まとまった形では全く報道されません。報道するとしても、絶えずイスラエルの被害を優先させています。イスラエルによる「完全封鎖」が大量虐殺であり、民族絶滅であることは、意図的に焦点から外されているのです。歴史やガザの惨状を報道せずして、報道機関と言えるのでしょうか。憤怒に堪えません。

 第5に、米や西側諸国のイスラエル支持への同調、加担です。今、最も切迫している即時無条件停戦の重要性を伝えません。米政府が停戦を拒否し、全力でそれを妨害しているからです。それどころか、バイデン政権が「人道配慮」や「仲介役」「地上侵攻を止めている」というデマや幻想を振りまいていることです。前記のように、米国は大量虐殺の共犯者です。

 第6に、欧米の大きなパレスチナ連帯行動は時々報道しますが、それも切り縮めてであり、イスラエル支持行動と抱き合わせです。日本全国各地の多数のパレスチナ連帯行動はほとんど報道しません。
 また、地上戦が始まる前から、イスラエルの地上戦計画やハマスの「地下道」など、戦争と戦局報道が出始めています。ウクライナ戦争時と同様、毎日、防衛研究所や軍事専門家が出ずっぱりで戦局報道に視聴者の関心をそらせるでしょう。

 私たちは、米・イスラエルの戦争犯罪を糾弾し、岸田政権を含む西側諸国の犯罪的役割、デマと戦争宣伝を徹底的に批判・暴露し、真実を白日の下にさらすことでパレスチナの闘う人々との連帯を強めたいと考え、このシリーズを開始します。

2023年10月27日
リブ・イン・ピース☆9+25

パレスチナ連帯シリーズ
 
(その12) 空中投下と海上輸送はまやかしの人道支援 イスラエルは飢餓攻撃をやめ、通関を解放せよ
 (その11) パレスチナ人虐殺、2万人を超える イスラエルはジェノサイド・飢餓攻撃をやめろ!

 (その10) 休戦延長交渉を誰が拒否したのか?
 (その9) パレスチナ大虐殺戦争への米国の全面関与
 (その8) 集会・デモからBDS、シャットダウンへ
 (その7) 飢餓と人道的大惨事が始まっている イスラエルは「対病院戦争」をやめよ
 (その6) イスラエルはパレスチナ民族浄化政策をやめよ 「人道」を口実にしたシナイ半島への強制追放を許すな
 (その5) グローバル・インティファーダ(2) 即時停戦、大量虐殺抗議のパレスチナ連帯のうねり ヨーロッパ/グローバル・サウス
 (その4) グローバル・インティファーダ(1) 即時停戦、大量虐殺抗議のパレスチナ連帯のうねり
 (その3) 米・イスラエルのガザ大虐殺を許すな 国際法違反の戦争犯罪を暴く
 (その2) イスラエルは病院への空爆・虐殺作戦をやめろ
 (その1) 日本政府は、ハマスへの経済制裁をやめよ ハマスはテロ組織ではない