(1)無差別大量虐殺=ジェノサイドを許すな イスラエルは、ガザ北部の住宅密集地域に集中的な大規模空爆を繰り返し、全面的な市街戦と掃討作戦を開始しました。ガザ全体が深刻な未曾有の人道危機に直面しています。 パレスチナ保健省は11月6日、イスラエルの空爆と地上侵攻による死者が10,022人と1万人を超えたと発表しました。そのうち子どもは4,104人、7割が子どもと女性です。未だに救出されずがれきの中に埋まっている行方不明者は2000人以上と言われています。イスラエルは、わずか一ヶ月の間に1万人以上のガザ住民を虐殺したのです。 しかしガザ大量虐殺の本当の姿は、その「数」だけで語ることは出来ません。爆撃の標的とされたのは、難民キャンプであり、逃げ場所のない多数の住民が避難していた病院、学校やモスクなどです。住民の殺害を目的にした残虐極まりない攻撃です。北部住民に南に退避せよと命令しながら、避難民の車列や避難先の南部にも爆撃を行いました。さらに、完全封鎖で燃料など生活に必要な物資搬入を阻止・制限し、病院や学校、道路や港、給水タンク、通信設備などのインフラを集中的に爆撃し、生活基盤そのものを徹底的に破壊しています。 ※【検証】 ガザ南部は安全なのか イスラエル軍が指示した避難先で空爆(BBC) イスラエルの蛮行は、1948年のジェノサイド条約(ジェノサイド防止および処罰のための条約)が、「国際上の犯罪」として厳格に禁止している「集団殺害」(国民的、民族的、人種的集団の一部または全部を破壊すること)、すなわちジェノサイドにあたることは明白です。 国連もジェノサイドを非難しています。国連特別報告者7人からなる人権専門グループは、「パレスチナの人々がジェノサイドの重大リクスにさらされている」と警告し、イスラエルの同盟国に対しても「責任を負う」「ただちに行動すべき」として「即時停戦」に動くよう求めました。ユニセフを始め、国連の18機関トップが「即時停戦」を呼びかけ、国連事務総長も「ガザの悪夢は人類の危機だ」「ガザは子供たちの墓場になりつつある」と危機感を露わにして停戦を訴えています。 ※ガザのパレスチナ人に「ジェノサイドの危険」、国連専門家が停戦訴え ※ガザ病院攻撃 ユニセフ事務局長声明「攻撃は容認できず、即時停戦求める」 (2)国際法違反の戦争犯罪――その包括的な罪状 10月7日以来の米・イスラエルによる蛮行の一つ一つが、1949年のジュネーブ条約、とくに戦時における民間人保護を定めたジュネーブ第4条約をはじめとする国際人道法に違反します。ジュネーブ条約は、すべての国連加盟国によって批准され、国際戦争犯罪法廷での判決によって補足されています。 いくらイスラエルが「自衛のため」と称して戦争しても、このジュネーブ条約に基づく国際法、国際人道法のルールは適用されるのです。イスラエルは、民間人、ジャーナリスト、医療関係者、住宅地、病院、教会、モスク、学校、国連施設を含む関連インフラを守らなければなりません。国際人道法に従えば、イスラエルは、民間インフラの破壊、強制移住、集団罰は直ちにやめさせなければならないのです。 イスラエルが繰り返している国際法違反の戦争犯罪の一部を列挙します。 ○医療施設への爆撃:アル・アハリ病院、アル・クッズ病院、インドネシア病院など医療施設を集中的に空爆。すでに107以上の病院、クリニック、医療センターを爆撃し、25台を超える救急車を破壊した。※パレスチナ連帯シリーズ(その2) イスラエルは病院への空爆・虐殺作戦をやめろ 戦争犯罪=病院攻撃を糾弾する(リブ・イン・ピース☆9+25) ※21世紀の大虐殺: 悪事は民主主義と両立するのか? ※解説:イスラエルとパレスチナの紛争には、どのような戦争犯罪法が適用されるか イスラエルの国際法違反は、10月7日に始まったのではありません。75年に及ぶパレスチナ占領、56年に及ぶヨルダン川西岸と東エルサレムの占領、そして17年間のガザ不法封鎖の中で、子どもや女性、高齢者を標的にした数千人の殺害、違法入植地の建設・拡大、パレスチナの土地没収と家屋破壊、水・天然資源の略奪、等々、国際法違反を繰り返してきました。 さらにこの数十年間、170人の未成年、39人の女性を含む1913人のパレスチナ市民を、行政拘禁を口実に裁判なしに逮捕・拘束しています。占領法廷での裁判も含めれば、パレスチナ人人質(被拘禁者)は実に5750人にものぼります。 このような残虐行為と流血の中で「自衛権」を主張すること自体が、戦争犯罪を正当化し助長することであり、断じて許されないものです。 (3)米・西側の戦争犯罪への加担――イスラエルと同罪 イスラエルが平然と国際法、国際人道法を無視し、大量虐殺の戦争犯罪を積み重ねているのは、米欧日の西側諸国がジェノサイドに沈黙し、イスラエルを積極的に支持しているからです。 とくに米国は、バイデン大統領が戦時閣議にまで参加し、特殊部隊を送り込んでイスラエル軍と一体となってジェノサイドに加担しています。即時停戦の安保理決議を葬り去り、採択された「人道的休戦」の国連決議にさえ反対し、一貫して停戦要求を拒否し続けています。ジェノサイド条約第一条の大量虐殺を防止する責任を負っているにもかかわらず、です。 さらに、西側諸国ではメディア、政治、社会・文化機関が総動員され、イスラエルの大虐殺を隠ぺいし、「ハマス=テロリスト」宣伝で「ハマス抹殺」を正当化し、パレスチナ連帯の声を圧殺する――こうしてイスラエルのジェノサイドを不問に付す気運を作り出しています。それはまさにイスラエルの戦争犯罪への加担であり、同罪と言わなければなりません。 イスラエルのパレスチナに対する占領と植民地支配、民族浄化の暴虐、そして今回のジェノサイドに対して、国際法も国連も、イスラエルを押しとどめることが出来ていません。しかし問題の核心は、国際法と国際人道法、国連憲章、国連決議を否定し、蹂躙してきたのは米とイスラエルであるということです。そして日本を含む西側諸国が、国際法に従わないイスラエルを支持し続けていることが問題なのです。 私たちは、米とイスラエルが一体となった今回のガザへの空爆と侵攻、無差別大量虐殺が紛うことのない国際法違反の戦争犯罪であることを白日の下にさらさなければなりません。そして国際法を平然と破り、戦争犯罪を支持・支援している米日欧の西側諸国を徹底的に批判しなければなりません。国際的なパレスチナ連帯運動の力で、この国際法をイスラエルと米国に押しつけ、遵守させなければなりません。 ※国際法の崩壊 ※米国はガザにおけるイスラエルの戦争反正に加担していた:報告書 (4)全世界は戦争犯罪を指弾している いまアラブ諸国から欧米、アジア、ラ米諸国に至るまで世界各地で、イスラエルのジェノサイド非難し、即時停戦を要求するパレスチナ連帯行動が巻き起こっています。世界的規模でのインティファーダ、グローバル・インティファーダの様相を呈しています。 さらに国家レベルにおいてもイスラエルの戦争犯罪を指弾する動きが出てきました。ボリビア政府は、人道に対する罪でイスラエルと断交しました。コロンビアとチリは在イスラエル大使を召還しました。 またトルコのエルドアン大統領がイスラエルを「戦争犯罪人」と宣言し、パレスチナ市民に対する犯罪を国際刑事裁判所(ICC)に提訴する意向を明らかにしました。オマーンもICCへの訴追と国際法廷を要請しています。 イスラエル国内からも、ICCに対し「イスラエルの戦争犯罪とパレスチナ人虐殺に対して行動を起こすこと」「政治軍事指導者に直ちに逮捕状を出すこと」を要請する動きが出てきています。 本来、イスラエルがガザと西岸で犯しているパレスチナ人に対する犯罪は、ICCが裁かなければなりません。しかしICCは2019年から、パレスチナ・イスラエルに関する審理を開始しながら、何も結論を出していません。ウクライナ戦争でロシアのプーチン大統領に対する逮捕状が、何の実質的審理もなしに即座に出されたのと対照的です。米の意向が働いていることは間違いありませんが、著しい二重基準です。それでも、ICCに戦争犯罪訴追を求める声が高まることは確実です。 私たちは一刻も早く、イスラエルの戦争犯罪をやめさせなければなりません。これを支持・放置する日本をはじめ西側諸国を許してはなりません。即時停戦・封鎖解除を要求する国際的闘いに合流し、イスラエルのガザ大虐殺を止めましょう。 ※ガザでの「大量虐殺」を非難され、ICCの訴追を恐れている: 米国はイスラエルとの武器取引を隠そうとしている ※パレスチナで大量虐殺が進行中である 帝国欧米は積極的に参加している ※トルコ、イスラエルの戦争犯罪をICCに通告する準備を進める 2023年11月7日 |
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