あいばの日米合同軍事演習オスプレイ参加反対 年2回(2月と10月)陸上自衛隊中部方面隊と米海兵隊が滋賀県あいばの陸上自衛隊演習場で共同軍事演習を行っている。今年10月中旬から行う予定の共同軍事演習に普天間基地のMV22オスプレイを参加させる方針だ。日米共同軍事演習にオスプレイが参加するのは国内では初めてのことである。 ※日米共同訓練にオスプレイ参加へ 10月に滋賀で(朝日新聞) ※約束守られるか不安 高島のオスプレイ共同訓練(中日新聞) ※来月のオスプレイ訓練 知事・高島市長 不信感あらわ 滋賀(産経新聞) あいばの演習場には、ビル街とそっくりに作られた都市型ゲリラ戦の演習施設(通称今津シティー)があり、毎年陸上自衛隊員と海兵隊が演習を繰りかえしている。あいばのでは戦時下想定の演習が行わる。ヘリコプターから降下した兵隊が「ゲリラ」を殲滅し、都市ビル街を奪い返すというものである。このヘリをオスプレイに置き換えることは、米海兵隊がアフガニスタンやイラクで行った侵略戦争の実態により近づけるもので、それはまた陸上自衛隊に海兵隊に近づけていこうとするものである。 陸上自衛隊の海兵隊化は、政府が策定している新防衛大綱中間報告でも「海兵隊的機能の確保が重要」と明記され、2014年度予算概算要求も「水陸両用機能」を持たせるための予算が盛り込まれている。自衛隊は2015年度にMV-22オスプレイを導入しようとしており、オスプレイや水陸両用車などの配備によって、「離島奪還」のための水陸両用作戦機能を強化することをめざしている。これ自体が中国への軍事挑発となる、極めて危険な動きである。 ※新防衛大綱、自衛隊に「海兵隊的機能」明記(日テレ) 防災訓練にもオスプレイ さらに10月下旬には、高知県内で実施する日米共同統合防災訓練に、南海トラフ巨大地震を想定して、オスプレイが米海兵隊岩国基地と陸上自衛隊高知駐屯地や航空自衛隊土佐清水分屯基地の間で物資を運ぼうとしている。高知での災害訓練にオスプレイを使うのは、災害訓練を利用して、既成事実や自衛隊に慣れさせるためである。 だが再三指摘しているように、オスプレイは航空機とヘリコプターという相容れない機能を無理矢理一つの機体に持たせたため、きわめて不安定であり、墜落や飛行事故を起こしやすいだけでなく、機体重量に比べて人員や物資の搭載量も極端に低い。つまり災害救助などに使える代物ではなく、被災地で飛ぶなど危険きわまりない。米空軍は、オスプレイを救難用に使用する方針を撤回し、在来型ヘリを使用する方針に転換したほどだ。災害訓練はオスプレイを受け入れさせるためのパフォーマンスに過ぎない。 ※シリーズ:オスプレイ固有の根本的な危険性(その三) オスプレイ参加の下、繰り返される挑発的な「島嶼上陸演習」 自衛隊と米軍との島嶼上陸演習が頻繁に行われている。6月17日には、米西海岸サンディエゴ沖のサクラメンテ島での米軍の水陸両用戦演習「ドーン・ブリッツ(夜明けの電撃戦)」に陸海空自衛隊1000人が参加した。これまで米軍が単独で実施してきたが、今年は初めて陸海空3自衛隊が参加した。演習はオスプレイ4機に乗った海兵隊員が島に降り立ち、敵に占拠された場所を奪い返すという演習に、陸上自衛隊員もヘリで上陸し、合流するという内容である。米海兵隊のオスプレイが、海上自衛隊の護衛艦「ひゅうが」に着艦するなどの演習も行われた。 2月に米カリフォルニア州キャンプベンデルトンで行われた共同軍事演習では、米の強襲揚陸艦の艦載オスプレイに自衛隊員が乗り込み、地上に降り立つという訓練も行われている。これら一連の共同演習は、島嶼上陸演習にとどまらず、米海軍と海兵隊による本格的な水陸両用戦の総合訓練への3自衛隊の参加という性格をもつ。極めて実戦的な陸海空の統合運用が目指されているのである。 ※陸海空自衛隊が初参加 6月、米で離島奪還訓練(産経新聞) ※時事ドットコム:離島を奪還せよ!日米合同演習 写真特集(時事通信) ※日米離島防衛・奪還:米サンクレメンテ島で実射訓練(毎日新聞) 相次ぐ安全協定違反とオスプレイ墜落事故 沖縄では、昨年10月に普天間基地にオスプレイが配備されてから,日米の安全協定で禁止されている人口密集地上空の飛行や飛行モードの変換、日曜、夜間の飛行などが好き勝手にやられ、配備された最初の2カ月間だけで安全協定違反が318回も行われている。にもかかわらず、今年7月に出した「防衛白書」で防衛省は「安全性は十分に確認された」と明記しているのだ。 防衛白書からわずか2カ月後の9月27日には、米ネバダ州で米海兵隊のオスプレイがまた墜落事故を起こしている。事故直後米軍は、“オスプレイが砂漠の砂を巻き上げたため、強制着陸した”などと説明していたが、実際には墜落炎上し、ブラックボックスを回収しなければ事故経緯さえわからないほどの大事故であった。事故レベルは、昨年4月モロッコや6月フロリダ同様、最も重大な事故である「クラスA」に分類されている。 また8月5日沖縄・キャンプハンセン演習場に墜落したHH60 ヘリ事故の原因究明も全くなされないまま、わずか10日後には飛行を再開している。 あいばの演習でも、安全協定違反の飛行が行われる可能性が高い。相次ぐ事故は全く無視されている。あいばの演習場は、付近に民家や近畿の水瓶琵琶湖にも近く、事故が起これば深刻な影響を受ける。 ※オスプレイが市街地に墜落する日(日刊ゲンダイ) ※米ネバダ州でのオスプレイ事故 「墜落」が濃厚に(琉球新報) ※オスプレイ:「あれは墜落だ」操縦士ら証言(沖縄タイムス) 小野寺防衛相は、あいばのでの演習が「沖縄の負担軽減」と言っているが、この日米共同演習は以前からあいばので行われているものだ。米軍のオスプレイ参加方針を追認しているに過ぎない。決して沖縄での負担軽減にはならない。防衛省は、米軍のオスプレイ使用決定を受けて、有無を言わさず滋賀県と高島市に通告しただけだ。 また米軍は、あいばのからほど近い京都府京丹後市の経ヶ岬に、Xバンドレーダー米軍基地計画を打ち出している。米軍人・軍属約160人が専従する米軍基地の新設である。弾道ミサイルの探知・追尾を行うXバンドレーダーは「ミサイル防衛」システムの一つを構成し、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)や中国との緊張を高める重大な事案である。 ※Xバンドレーダー:京都府知事受け入れへ 京丹後市に配備(毎日新聞) ※オスプレイ説明「遅過ぎ」 首長不快感(読売新聞) あいばのでの挑発的軍事演習を中止すべき 尖閣諸島国有化撤回を おりしも9月11日、日本政府が尖閣諸島を国有化してちょうど一年になる。中国の警告を無視して、これまで「棚上げ」されてきた尖閣諸島を一方的に領土と主張し国有化にまで踏み切ったことは、日中関係を悪化させ、中国の厳しい対応を引き起こした。日本政府は「中国艦船の脅威」などと宣伝しているが本末転倒も甚だしい。安倍首相は「侵略の定義は定まっていない」などと発言し、「慰安婦」問題や日本の侵略を認めた河野談話(1993年)、村山談話(1995年)の見直しに言及し、甚大な犠牲を出した日中戦争と植民地支配がまるで日本軍国主義の侵略でなかったかのように宣伝している。 ※野田政権による尖閣諸島国有化に抗議する(リブインピース) ※尖閣諸島国有化から1年。安倍政権は領土ナショナリズムの扇動をやめよ(リブインピースブログ) 安倍政権の閣僚は8月15日に内閣のお墨付きをもらった上で靖国神社に参拝した。安倍首相自身が、秋の例大祭などでの靖国参拝を狙っている。戦争放棄を謳った日本国憲法の「改正」を公約とし、秋の臨時国会に向けて、従来の政府の憲法解釈を根本的に変える集団的自衛権の行使容認を表明しようとしている。これら一連の動きに対して、かつて日本に侵略された中国や北朝鮮が「日本軍国主義の復活」の脅威を感じないはずがない。 日本政府がすべきことはまず日本が行った侵略戦争の事実を真正面から認めることだ。尖閣問題で脅威をあおったり挑発するのではなく、外交と対話で近隣諸国との平和安全環境の構築にむかわなければならない。そのためには、再び72年の日中合意=尖閣問題棚上げに戻り、国有化を撤回することが不可欠である。 あいばの演習場へのオスプレイ参加をやめ、侵略的、挑発的な日米共同軍事演習を中止すべきだ。 [参考] 過去のあいばの軍事演習反対行動 民主党連立政権下で、関西初の現地反戦・平和集会 米海兵隊とともに実戦さながらの市街戦訓練、危険なPAC3配備=侵略的基地機能強化反対 2013年9月11日 |
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