・ 実際にオスプレイの飛行性能はまったく余裕がない。「カタログ性能」を維持するため、当然必要な安全対策も犠牲にされた。狭いキャビンは一切内装材がなく複雑な配線配管がむき出しのまま。複合素材+エポキシ樹脂のモノコック構造の貨物室は、重量増加を嫌って窓すら省略された。重量軽減のため冷暖房も与圧装備もなく真っ暗な、わずか幅1.74m×高さ1.67m×長さ6.34m(注:Wikipediaの寸法データは誤り)の狭い貨物室に完全装備で互いに膝を突き合わせて押し込められる海兵隊員たちはこれを「ダッハウ行貨物列車」と自嘲している。操縦席と貨物室の視界の欠如により着陸時の誘導の障害となることが、イラクでの戦訓でのオスプレイの欠陥の一つと指摘されている。 http://www.g2mil.com/V-22safety.htm http://www.g2mil.com/V-22shock.htm http://www.fas.org/sgp/crs/weapons/RL31384.pdf ↓オスプレイの貨物室。配線や油圧配管、ダクトがむき出しになったまま。 実証されたことがないオスプレイの「高性能」 ・ しかし、問題はそれだけではない。日本のマスコミでもタレ流されているオスプレイの性能は全くの眉唾である。例えば搭載能力。完全武装の兵を24名搭載できるとしているが、実際はそんな能力はない。米会計検査院は、オスプレイの兵員輸送能力を最大14名と見積もった。 ・ これは先のモロッコでの墜落事故でも証明された。墜落したオスプレイは36名の海兵隊員を輸送する任務が課せられていた。上記のオスプレイの能力が事実なら、飛行は2回で済む話である。ところが実際の任務は3回で、12名ずつ運ぶ計画になっていた。これは米会計検査院の評価とも合致する。(そして事故は、1回目の飛行で兵員を目的地に運んで降ろし、貨物室をカラにして折り返す際に発生した。) http://www.g2mil.com/V-22shock.htm ・ 実際の航続距離も全く貧弱である。宣伝されているペイロード4,536kg、短距離離陸での1,758km 以上とか、「フェリー飛行」距離(補助燃料タンク使用時)3,593kmといわれる数値はあくまで「目標値」であり、試験飛行で一度も達成されたことはない。 ・ このフェリー飛行では、貨物室に特製の巨大な補助燃料タンク(容量2436ガロン)を積み込む必要があるが、その場合の全備重量は60,500ポンドとなる。この最大総重量では、舗装された滑走路を長く滑走して離陸しなければならないが、19年間にわたるオスプレイの飛行試験で、54,500ポンド以上の重量で離陸した事実はない。 ・ しかもその距離を飛ぶためには8時間の間、最も効率的な巡航高度18000フィートで飛行しなければならないが、乗務員は、与圧システムのない極寒の空を、酸素マスクと防寒服を着用して飛行しなければならないため、一度も実施されなかった。実際イラクでは、通常のヘリコプターと同じ高度・同じ距離をより少ない搭載量で飛行する任務しか実施できなかった。 ・ オスプレイの運用実績との比較で米空軍は、当初のオスプレイ採用方針を撤回し、在来型HH-47ヘリコプターを救難用途に使用することを決定した。その理由は、HH-47(姉妹機は陸上自衛隊も所有している)がオスプレイの半分の価格で2倍の搭載量とより長い航続距離を持つことを認めたためである。 http://www.g2mil.com/V-22shock.htm ・ 速度も同様に、大幅に水増しされている。 下の表のように、実用速度である巡航速度はCH-53Kヘリコプターと大差がない!
・ 実際に巡航時にわずか20%のエンジン出力低下で緊急着陸した例がある。 以下のような例が報じられている。 2008年6月21日、飛行中のオスプレイのパイロットは、右側エンジンの出力が34パーセント減少したことに気付いた。機体は高度を保持することができなくなり、野外に緊急着陸しなければならなくなった。 http://blogs.star-telegram.com/sky_talk/2008/07/more-v-22-engin.html?cid=122204242
(つづく)
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