さらに、8月24日、「子どもたちに渡すな! あぶない教科書大阪の会」などの人たちと共に、東大阪市の教育委員会に対して「採択への抗議と審議のやり直しを求める共同要望書」を提出に行きました。この要望書には、「大阪の会」をはじめ、関西と全国の20団体が名前を連ねています。私たちリブ・イン・ピース☆9+25もそこに含まれています。 まず最初に記者会見があり、朝日、毎日、共同、産経、NHKの記者が参加していました。そこで共同要望書の内容がていねいに説明され、この教科書の内容の問題点、育鵬社が独占禁止法に違反した不法行為をおこなった点、そして、在日外国人教育や国際理解教育が活発におこなわれてきたはずの東大阪市でよりによってナショナリズムを煽るこの教科書が採択されることの理不尽さが指摘されました。 その後、東大阪市教育委員会に対して共同要望書の提出をおこないました。やって来たのは「事務方」と呼ばれる、総務課課長と総務課、教育指導課の学校教育推進室の3人でした。 「共同要望書」の内容が読み上げられ、それから参加者による率直な質問がおこなわれました。 「なぜ、東大阪市はこの教科書を採択したのか、その理由を教えてほしい。」 学校意見では育鵬社の教科書は自由社の教科書と並んで最も推薦数の少ない教科書でした。なのにどうして育鵬社の教科書が選定されることになったのかは、まずもって最大の疑問です。 総務課課長の答えはこうでした。 「7月26日の教育委員会臨時会議の会議録を今文章に起こしているところで、それをHPに公表する予定だからそれを見てほしい。今、断片的なことを事務方の口からいうと誤解を招くので言えない。」 で、その会議録はいつ公表されるのかといえば、「去年は9月中旬だったが、今年はもっと早くできるように鋭意努力中である」といった答えしか返ってきませんでした。 教科書採択の期限は8月中です。それを過ぎれば、私たちが要求している「撤回」の可能性が途絶えてしまいます。参加者の中からは、当然のことながら「いい加減なことでごまかして時間稼ぎをしている」という怒りの声が上がりました。 「今回の要望書について文書で回答してほしい」というごく当たり前の要求に対しても「上司に相談する」という答え以外は返ってきませんでした。 学校教育推進室の人は、7月26日の会議にも実際に立ち会った人でした。その人に対して「教育指導課としてどんな評価をしているのか」という質問がありましたが、これに対する答えは「個人的な見解は言えない」というものでした。 質問した方は「個人の見解を聞いているのではない。指導課としてどう評価するのか。来年度から実際に各学校で教師にこの教科書を使えと指導する立場なのだから、どう評価するかは個人としてではなく仕事として答えるべきだ」と述べましたが、それに対しても先の言葉を繰り返すか、抽象的な文言以外のことは何も言いませんでした。 交渉に当たった3人は、けっして傲慢な雰囲気ではなく、どちらかといえば腰の低いもの柔らかな人ばかりでした。「この採択はそれぞれの公務員に責任がある。東大阪市は在日共生教育の拠点であった。これから4年間、たいへんなトラブルの種を抱え込んだんだということをわかってほしい。」という参加者からの念押しに深刻な顔でうなずいていました。「育鵬社の教科書で何が悪い」という態度を示すこともありませんでした。「個人的な見解は言えない」という言葉からは、その人個人の見解と教育委員会の見解が食い違っているのかもしれないとも推測されます。しかしながら、それだけにいっそう、上から「余計なことは言うな」という頑なな締め付けがなされていることを感じました。このようなやりとりから育鵬社版公民教科書の採択を強行した異常さが伝わってきました。 ◆抗議と撤回の要請先◆ 東大阪市教育委員会 教育総務部 総務課 〒577−8521 東大阪市荒本北一丁目1番1号 東大阪市総合庁舎 17階 TEL 06−4309−3265 FAX 06−4309−3837 kyoikusomu@city.higashiosaka.lg.jp 2011年8月29日 ※採択への抗議と審議のやり直しを求める共同要望書(20団体) ※東大阪市教委による「育鵬社」版公民教科書採択の問題点(子どもたちに渡すなあぶない教科書大阪の会) ※育鵬社公民教科書批判(子どもたちに渡すな!あぶない教科書大阪の会) |
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