・ 一方ヘリコプターとしては、ローターを固定翼機のプロペラと兼ねさせたため、どちらも2分の1以下の効率しかなくなり、虻蜂取らずの結果となってしまった。さらに低効率のプロップローターと小さな主翼にもかかわらず、搭載量を増やそうとしたため、実用機として必要な基本的な性能の余裕がなくなっている。 ・ ヘリコプターのローターには基本的に3つの関節がある。 前後左右に機体の方向を変えるためのフラッピング関節 回転面の前後方向に動くドラッギング関節 揚力をコントロールするフェザリング(ピッチ変更)関節 ヘリコプターの操縦はこれらの関節を組合せ操作で、成立っている。
ヘリコプターのローター関節は複雑↓ ・ オスプレイのローターは、プロペラとして使用するための制約からドラッギング関節はなく、残りの関節の可動範囲も小さい。(フラッピング角度は普通のヘリの半分以下の10度しかない) ・ 小直径・高速回転のローター付根のピッチ角は深く、ヘリのローターとは全く形状が異なる。効率は通常のヘリの2分の1以下。 ・ 普通のヘリコプターは、低い円盤荷重の大きなローターを持つ。このおかげでエンジン故障時でも安全に着陸できるオートローテーション機能を持ち、実際に多くの命を救っている。しかしオスプレイは海兵隊のOPEVAL(1999〜2000年に実施された運用評価)でも明らかなように、 ローターの直径が小さすぎて、オートローテーションが出来ない。
・ 逆に「プロペラ」としてはあり得ない大直径のため、ブレード先端速度が簡単に遷音速域に入ってしまい、低効率となって最大速度が出ない破目に。 ・ 主翼とローターの揚力不足で飛行性能に余裕がないことは、モロッコでの事故が立証している。わずか8mから14m未満の、いわば日常的な風が追い風となって失速し墜落したという事故説明のとおりならば、オスプレイは到底実用できないことになる。まさに「晴天限定の航空機」である。また低速でのナセル角度変更も事故の原因としているが、コンピューター制御のフライ・バイ・ワイアで追い風でも低速でもモード変更ができてしまうほうが問題だ。 ・ この事故に関する防衛省の報告書は、米軍側の言い訳をそのまま掲載している。↓ 防衛省「モロッコにおけるMV−22墜落事故に関する分析評価報告書」より 「分析評価チームが実機の搭乗及びシミュレータにおける操作を確認したところ、MV−22は高度にコンピュータ制御されており、ナセルの遷移に係る操作も容易に実施できるよう設計されていることを確認した。<中略>また、この範囲を超えてナセルを遷移させることはコンピュータ制御により不可能である。なお、ナセル遷移の速度もコンピュータ制御されており、パイロットが一定の速度を超えてナセルを遷移させることはできない。・ ところがその直後では、 「他方、本件事故については、機速40kt以下においてナセル角度75度以下に遷移させるというNATOPS飛行マニュアルで禁止されている操作が行われ、これが事故要因の一つであるとされている。(後述するが、この飛行マニュアル(NATOPS)がオスプレイの事故多発の原因なのだ!) ・ オスプレイと同形式のティルトローター機BA609はこの問題を2006年に察知して、飛行制御システムのコンピューターのソフトウェアを書き換えた。しかしはるかに古い設計のオスプレイはその措置が取れなかった。そして墜落した。 オスプレイのエンジン制御システムは間違いなくデジタルコンピューター(エンジンメーカーが作成したもの)だが、肝心の飛行制御コンピューターはアナログとの指摘もある。 http://www.targetlock.org.uk/osprey/systems.html http://www.liveinpeace925.com/us_base/osprey_is_still_unsafe.htm http://www.jiji.com/jc/zc?k=201208/2012081700773
(つづく)
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