米国・イスラエルは停戦を守れ、イラン攻撃をするな!
原子炉・核施設の攻撃を糾弾する
イスラエルはガザの虐殺をやめ、食料封鎖を解除せよ

 6月24日、日本時間の午後1時にイランと米国・イスラエルの間の停戦が成立しました。米国はイランに対するこれ以上の戦争を断念せざるを得ませんでした。西側政府・メディアは、まるでトランプが「停戦」を実現したかのような言い分を垂れ流していますが、それは全くのデタラメです。「停戦」はイランが米軍基地に反撃し、不屈の抵抗を示したことでもたらされたのです。
 米=イスラエルに停戦を強いた最も大きな力は、イラン政府が米国の侵略に対する徹底抗戦の意思を持ち、国民が強固に結束したことです。トランプもネタニヤフも、「停戦」直前まで、イラン体制転覆、最高指導者ハメネイ師斬首を掲げていました。しかし、米国はイランの団結とイスラエルへの反撃が持続的であるのを見て、長期戦になるのを恐れたのです。ウクライナで「代理戦争」をやり、対中国戦争を大車輪で準備中のトランプ政権にとって、ガザやレバノンやシリアやイエメンに加えて、さらにイランを本格侵略するのは不可能です。大規模な航空攻撃はできても、大規模な地上軍による攻略は不可能なのです。トランプ支持層の一部も強く反対しました。戦争国家アメリカといえども、さすがに自らの力の限界を認めざるを得なくなったのです。

(1)米=イスラエルに停戦を守らせよう
 今回のイランに対する横暴極まりない攻撃で、米国が停戦せざるを得なかったのは、何よりもイランの強固な結束と防衛力の勝利であり、イランを支持し支援する中国、ロシアをはじめBRICSやグローバルサウスの国々のグローバルな包囲網です。さらに、世界中の反戦平和運動からのイラン攻撃に対する非難の高まりがありました。私たちもその反戦運動に合流しました。トランプは米国内のイラン攻撃不支持の世論と反対運動をも考慮せざるを得ませんでした。
 イスラエルはトランプが持ち出した停戦を飲まざるを得ませんでした。米の全面支援なしには対イラン戦争だけでなく、ガザでの戦争やレバノン、シリアに対する戦争も続けることはできないからです。しかし、イスラエルは停戦違反、要人暗殺、テロなどの常習犯です。すでに停戦1日目に「イランのミサイル発射」をでっち上げ、大規模なイラン攻撃を強行して停戦をつぶそうとしました。トランプが強く制止したので規模を限定したにすぎません。イスラエルはイラン攻撃再開と政権転覆を狙い続けています。それはネタニヤフ政権延命のためです。これからも、停戦破壊と攻撃再開を試み続けるでしょう。国際的な包囲で米とイスラエルに再度のイラン攻撃をやらせず、停戦の遵守を押しつけることが必要です。
 今こそ、米=イスラエルによるガザ、イランなど中東での戦争拡大に反対する運動を強めましょう。

(2)トランプのイラン攻撃を糾弾する
 6月22日早朝に、米国はトランプ大統領の命令でイランの核施設を攻撃しました。フォルドゥの施設に12発、ナタンズの施設に2発の超大型バンカーバスターGBU57を撃ち込み、イスタファの施設には潜水艦から20発もの巡航ミサイルを撃ち込みました。さらに攻撃地点までの間の対空陣地などに数十発の爆弾を投下しました。この攻撃に米国はB2爆撃機を米本土から出撃させ、125機もの航空機を参加させました。
 トランプは爆撃後の演説で、「我々の目的はイランの核濃縮能力の破壊と、世界最大のテロ支援国家による核の脅威の阻止だった」と語り、「攻撃は軍事的に華々しい成功を収めた」「イランの重要な核濃縮施設は完全に破壊された」と胸を張りました。その上でイランに無条件降伏を迫り、「今こそ平和を築くべきだ。そうしなければ今後の攻撃は遙かに大規模で容易なものになるだろう」と傲慢にも脅迫しました。自分が攻撃しながら相手に平和を申し出ろとはめちゃくちゃな論理です。
 さらに米国はこの地域最大の侵略者、虐殺者であるイスラエルに事前のイランの防空網破壊を依頼し、その協力者ネタニヤフを「チームワークで協力している」と賞賛しました。
 私たちは、トランプのイランに対する野蛮で傲慢な攻撃、侵略戦争を断固糾弾します。米国とトランプが湾岸と中東全体を戦争の火の海にしかねない危険極まりない行為、何十万人、何百万人もの人々の命を危険にさらしもてあそぶ行為を糾弾します。トランプはネタニヤフと並ん国際法破りの無法者なのです。
 先日のG7ではイスラエルの攻撃を非難したはずの石破首相を含めてイスラエルには攻撃する権利(自衛権)がある、イランが悪者だという、とんでもない共同声明を出しました。これこそが日本政府や欧米諸国が礼賛する「ルールある国際秩序」です。彼らの好き放題を許し、弱肉強食の世界にしてはなりません。

(3)国際法、国連憲章に反する侵略行動を批判する
 米国が行った攻撃はイランに対する全く一方的な攻撃、侵略行動です。国連憲章は他国から攻撃を受けた場合の自衛権行使としての反撃しか認めていませんが、米国はイスラエルによって一方的に攻撃されているイランを、米国に何の脅威も与えていないのに絶好の機会とばかり攻撃しました。行き詰まっていた「核協議」を軍事力で打開し、一挙に政権打倒まで進めようとしたのです。明らかに国連憲章2条の「武力による威嚇又は武力の行使」の禁止の公然たる違反であり、国際法にも違反する乱暴極まりない侵略行為です。しかも、トランプはイランと核問題を巡る協議を継続中にだまし討ちのように攻撃しました。実際にはすでに2週間前にトランプは攻撃の命令を出しており、核協議そのものがイランを油断させ、だますための煙幕でしかなかったのです。

(4)核関連施設を攻撃するな。放射能汚染を引き起こす蛮行
 今回の攻撃は、とりわけ核物質を扱う施設を集中的、大規模に攻撃し、破壊した点で極めて悪質で危険極まりない行為です。核物質を扱う施設を破壊すれば大量の放射性物質を環境中にばらまきます。放射能を閉じ込めることはできず、長期間にわたって周辺住民に広範な放射能汚染の被害を引き起こす危険行為です。米軍に先立ってイスラエル軍がすでにこの3カ所を攻撃しています。米軍の攻撃はイスラエル軍が破壊できない地下深くにあるフォルドゥの施設破壊を最大の目的に行われました。この3カ所だけでなく、19日にはイスラエル軍がアラクの重水炉(原子炉)の建屋を破壊しました。私たちは米軍、イスラエル軍が意図的集中的に核施設の破壊を追求し、周辺全体に放射能汚染をもたらそうとしていることを厳しく糾弾します。

(5)イランの核兵器開発は嘘、侵略の口実にすぎない
 「イランはテロリスト国家で、核兵器の開発を目指し核の脅威だ」とトランプは言います。それは全くのデマです。米政府だけでなく日本を含む西側の政府、主要なメディアの全部がこのデマを意識的に振りかざしイランを悪者に仕立て上げています。このデマを徹底的に批判しなければなりません。
 何よりイランの全核施設を監視・監査している国際原子力機関IAEAと米国の全情報機関を束ねる国家情報局のギャバード長官が、イランが核兵器の開発を目指している証拠は何もないと公言しています。トランプもネタニヤフも、「イランは核兵器を持とうとしている」「数か月で核爆弾を作れる」と主張しますが、具体的な証拠を何一つ上げることができません。イラク戦争で米国が「フセインは大量破壊兵器を持っている」と言いがかりをつけて戦争を開始した例を挙げるまでもなく、ありもしないデマや作り話の脅威をでっち上げて、それを根拠に戦争を仕掛けるのは米国の常套手段です。
 かつて、イラクに対して「大量破壊兵器」を口実に侵略し、シリアに対して「化学兵器使用」を口実に侵略したのです。これらは全て、米国と西側の政府・メディアがねつ造したでっち上げなのです。
 そもそも米国やイスラエルにはイランを「核疑惑」で非難する資格などありません。米国は数千発もの核兵器を持ち、トランプの下で新しい核軍拡と核の優位の追求を開始し、世界全体を核兵器で脅迫しようとしています。イスラエルも80〜200発の核爆弾を保有し、核拡散防止条約NPTにも加盟せず、国際原子力機関IAEAの査察も拒否し、この力を背景に中東のアラブ諸国を脅迫してきました。こんな核脅迫をやる国が、NPTにも加盟し、IAEAの査察も受け入れている非核武装国イランの「核の危険」を批判するなどお門違いもいいところです。核兵器で他国に脅威を与えているのは米国とイスラエルです。この2国こそ直ちに核兵器を廃棄し、他国を脅迫するのをやめるべきです。

(6)米とイスラエルはイランの政権転覆をやめろ
 米もイスラエルも本当の目的はイランの現政権の転覆、この地域に残っている最大の反米=反イスラエル国家の抹殺でした。それはトランプが「無条件降伏しろ」「ハメネイはいつでも殺せる」とSNSで発信していることに明白です。「核問題」など口実で、実際には降伏して米に従えというのです。ネタニヤフはレバノン、シリアなどの抵抗の枢軸勢力が弱まっているのを狙ってイランへの戦争を仕掛けました。そして米国に働きかけてこの戦争に参戦させたのです。
 しかし、すぐにイラン国内の親米勢力が立ち上がって政権打倒をするだろうという甘いもくろみは全く外れました。米とイスラエルはイランの現政権を転覆させて、両国で再び中東全体を支配し、石油と富を独占することを狙っていました。イスラエルはこの期にレバノンやシリアの占領地をさらに拡大し「大イスラエル構想」=一大植民地帝国に近づくつもりだったのです。この戦争の背後にあるのは米国とイスラエルという強盗国家、入植者植民地主義国家の地域支配の野望です。

(7)停戦を守らせる運動とパレスチナ連帯運動を結び付けて闘おう
 テヘランではイスラエルの攻撃の最中にも政府支持の大規模な集会が開かれました。反米での国民の結束が強まり、徹底抗戦の意思を強めています。さらに国際的にも非難が広がっています。中国やロシア、パキスタンなどはトランプの攻撃を国際法と国連憲章への違反だと批判し、直ちにやめろと要求しました。この問題での国連安保理と総会の開催を求めています。これらの国に加えてベネズエラやキューバ、アフリカ諸国や他のBRICS諸国やグローバルサウスの国々も米国とイスラエルへの批判を強めています。
 攻撃を契機に国際的な平和運動、パレスチナ連帯運動が各国で急速に拡大しています。6月21日の英国での大行動、ベルリンでも7万人の集会など欧米各国で次々と行動が行われています。日本でも東京や大阪、名古屋など各地で米国のイラン攻撃を糾弾しパレスチナと連帯する行動が行なわれています。これらの運動は米国とイスラエルを支持するG7政府を各国で包囲し孤立させる役割を果たしています、

(8)イスラエルのガザ虐殺、食料封鎖をやめさせよう
 私たちは、イランに戦争を仕掛け、湾岸全体、中東全体を戦火に巻き込む傲慢で危険極まりない米の戦争を強く糾弾します。トランプとネタニヤフが停戦協定を遵守し、再びイランを攻撃することがないよう要求します。再び攻撃を行うようなら直ちに抗議と反対の声を上げます。
 同時に、停戦が維持される下では再び世界中の目をガザに集中するよう呼びかけます。イスラエルと米国に対してガザでのパレスチナ人虐殺、ガザ人道財団GHFの「食料配布所」をつかった「死の罠」、食糧封鎖による飢餓戦略、パレスチナ人を根絶やしにしガザから追い出そうという民族浄化を直ちにやめるよう要求します。
 私たちは、日本政府に対して、米国とイスラエルのイラン攻撃を非難し、停戦遵守を要求するよう求めます。日本政府にアパルトヘイト国家、虐殺国家イスラエルとの協力を解消し、イスラエルに対して虐殺や食糧封鎖解除のために制裁を行うことを要求します。戦争国家イスラエルへの投資や、殺人ドローンなど武器の輸入をやめるよう要求します。

2025年6月25日
リブ・イン・ピース☆9+25