G7のイラン非難のコーラス 主要7カ国首脳会議G7は14日にテレビ会合を開き、イランのイスラエル攻撃を「最も強い言葉で明確に」非難し、「イスラエルへの全面的な連帯と支援」を表明しました。そして「戦争を拡大するな」とイランに戦争拡大の責任を押しつけました。「イランが悪い」のオンパレードです。日本政府も同じ立場をとってイランを非難しました。 しかし、非難されるべきはイランではありません。今回のイランの攻撃は、4月1日にイスラエルが行ったシリアのイラン大使館に対する攻撃と民間人を含む16人の殺人への正当な反撃です。イスラエルの攻撃は他国の外交使節への攻撃であり、明らかに国連憲章違反、侵略行為、戦争犯罪です。イランに対して戦争をふっかけたのと同じです。イランはこの侵略行為に対して国連憲章51条に基づいて反撃の権利を行使したと言っています。だから非難されるべきはイスラエルであり、イランではありません。 非難されるべきは侵略者イスラエル G7と日本政府はイスラエルがイラン大使館を攻撃した際にはイスラエルを非難しませんでした。その上で国際法違反のイスラエルの攻撃に対する反撃に対して非難するのは本末転倒、逆さまです。はじめから「イスラエルは正義」、「イランは悪」と決めつけた政治宣伝です。そもそも今回の攻撃はイランからイスラエルへの初めての攻撃です。対照的にイスラエルは周辺国対して数限りない攻撃、爆撃を繰り返してきました。イラクでイランのソレイマニ司令官を爆殺したのもイスラエルでした。このような露骨な侵略行為がとがめられなかったのは米国を始め西側諸国がイスラエルを支持し、処罰を認めなかったからです。西側は「イスラエルには自衛権がある」と言いますが、札付きの侵略者には「自衛権」などありません。 イスラエルは更なるイラン攻撃、戦争拡大をするな 加えて、今日のイランの攻撃はきわめて抑制された限定的なものです。そもそも目標は軍事目標に限られ、人的な被害を極力回避したものです。イスラエルと米国はイランから発射されたミサイルやドローンの99%を撃墜したと誇っていますが、イランはわざわざ攻撃を予告し、イスラエルや米国の側に迎撃する余裕を与えていたと言われます。実際には大使館爆撃を実行したF35の出撃基地だけが迎撃できずに攻撃を受けました。イラン政府は「これで終わり」だといい、戦争拡大をさせない意思を明らかにしています。 私たちはイスラエルが更なる「報復」を行い戦争を拡大させることに反対です。これ以上の戦争の拡大は、両国間だけでなく中東全体を巻き込む、コントロールできない大戦争につながる危険性が大きいからです。 戦争の拡大反対なら、イスラエルへの武器・弾薬供与をやめろ 米国も戦争の拡大を恐れています。イスラエルの防空には米英仏ヨルダン等が参加しました。米英仏はイスラエルが大きな被害を受け、大規模な報復に出ることを恐れて必死で迎撃態勢をとりました。バイデン大統領は、イスラエルの防衛には協力するが、イスラエルがイラン攻撃を行うのには反対だ、米軍は攻撃には参加しないと言っています。イスラエルが、ガザの市民虐殺の残虐さを批判し停戦を求める安保理決議、食糧支援NGOスタッフ虐殺で起こった国際的な批判の高まりをそらすために、戦争の拡大と米国を戦争に引き込むために大使館攻撃を行ったのは明らかです。しかし、戦争拡大に反対するならイランではなく、イスラエルを非難すべきです。G7と日本政府のイスラエル擁護が戦争の危険性を拡大させています。 本当に戦争拡大を止めたい、地域の平和と安定を実現したいなら、方法は一つです。イスラエルにガザ攻撃をやめさせ、停戦に応じさせることです。そのためには米や英独がイスラエルへの武器・弾薬供与をやめることです。兵器が供給されなければ直ちに停戦になるでしょう。拡大するなと言いながら、ガザで市民を大量虐殺を続けるイスラエルにどうぞ使ってくださいと言わんばかりに1800発もの1トン爆弾を与え続けるなどあり得ないことです。米国や西側諸国が口にする「戦争拡大反対」や「市民を犠牲にするな」などは口先だけのペテンなのです。 イスラエルは植民地支配・占領支配をやめろ イスラエルは植民地支配、占領支配している国です。占領され、支配されているパレスチナ人には武力を含めてあらゆる手段で抵抗闘争する権利が国際法でも国連決議でも認められています。占領者に自衛権はありません。「ハマスはテロリスト」「イスラエルは被害者」は全くの嘘です。ハマスは民族抵抗運動です。イスラエルこそが植民地支配で人々を絶望させ、今の戦争で市民を虐殺している張本人です。今の戦争の原因はイスラエルの支配にあります。イスラエルは10月7日の事件を利用してガザの人々を追い出して民族浄化しようと思っています。できなくてもガザの家も仕事場も病院や学校も全部がれきに山にして住めないようにしてしまえと思っているのです。それこそ国際人道法に反する犯罪行為です。 恒久停戦を受け入れ、パレスチナ人の民族自決権を認めよ しかし、いくら砲弾や爆弾の雨を降らせても、人々を殺しハマスを壊滅させようとしても、家族を奪われ生きる道と未来を奪われた人々、とりわけ若者たちは再び抵抗闘争に志願するでしょう。何十年たとうともイスラエルは頑強な抵抗闘争に直面し続け、それはイスラエルの植民地支配が打倒される日まで続くでしょう。イスラエルの人々がおびえずに平和に生きていく唯一の方法は、パレスチナ人民の帰還の権利を含む完全な民族自決権を認め、共存のために話し合うことです。 イスラエルは直ちに停戦に応じよ。ジェノサイドをやめて、食料供給を妨害するな。饑餓攻撃をやめろ。人々の北部帰還を認めろ。イスラエル軍をガザの外に撤退させよ。恒久停戦を受け入れろ。 これらをイスラエルに認めさせよう。日本政府も停戦の国連安保理決議に賛成しました。決議に従わないイスラエルを非難し、イスラエルへの武器供与に反対し、停戦を受け入れるよう要求すべきです。ハマスへの制裁ではなく、イスラエルを制裁し、戦争を終わらせる、ジェノサイドをやめさせるために圧力をかけろ。 2024年4月17日 |
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