イスラエルは停戦を継続し、恒久停戦・全面撤退に応じよ
トランプは「ガザ接収」案を撤回せよ!
パレスチナの民族自決権を認めよ!

イスラエルは停戦協定違反をやめろ!
 2月15日、第6回の人質交換は無事行われました。しかし、今回停戦は危機に晒されました。イスラエルが停戦協定を守らず違反をし続けたからです。イスラエル軍は停戦が始まっても市民への攻撃を止めず、26人を殺害し、59人を負傷させました。さらに29件の地上侵攻、9件の爆撃を行ったとガザの広報当局は公表しています。約束した物資搬入もサボタージュしています。停戦開始から1万2000台入るべき食料トラックが8500台しか入っていません。毎日50台約束された燃料トラックは15台しか入っていません。がれきを片付けるための重機も認めていません。提供を約束した6万軒の移動家屋(トレーラーハウス)は一軒も提供されず、20万張りのテントも2万張りしか提供されていません。イスラエルは協定を無視して市民を射殺し、人々を瓦礫の山に放置しているのです。
 2月10日にハマスが停戦協定違反を指摘して、15日の人質交換延期を主張するや、ネタニヤフ首相は「これは停戦協定違反だ、停戦は終わりだ」と激昂しました。トランプ大統領も「15日までに全部の人質を帰さないと地獄を見るぞ」とどう喝しました。メディアはネタニヤフらの発言を一方的に取り上げ、まるでハマスの側が停戦違反をしたかのように報じましたが、それは全く逆のデマ宣伝です。ハマスは一件も停戦協定違反をしていません。トランプの発言に至っては支離滅裂で無責任極まりないものです。米国の提案に基づいて停戦協定が結ばれ、15日に3人の人質交換というのはそれを実行するものです。それを突然15日に全員を解放しなければ地獄を見せる(戦争だ)とは、自分が提案した停戦協定をひっくり返すとんでもない行為です。
 15日に人質交換が行われたのは、停戦の仲介国であるカタールとエジプトがハマスの主唱する協定違反を受け入れ、物資搬入を約束したからです。米国とイスラエルこそ停戦協定を遵守すべきです。

戦争再開も、トランプの「ガザ接収」案もNO!
 いま、今月末で終わる停戦第1段階に続いて2段階についての交渉をする時です。第2段階は、イスラエル軍兵士とパレスチナ人収監者の捕虜交換を実施し、戦争終結=恒久停戦を確認する段階です。2段階に関する交渉で一時的な停戦にとどまらず、戦争を終結させなければなりません。ハマスは第1段階の残りの人質全員を22日に交換し、第2段階でイスラエルが恒久停戦・全面撤退を認めるなら残りのイスラエル兵捕虜を一括で交換する用意があると停戦過程の前倒しを提案しています。
 しかし、ネタニヤフ首相は第1段階で停戦を打ち切り、戦争を再開したくて仕方がありません。初めから停戦は続けず戦争を再開すると公言してきました。月曜日(17日)に開かれたイスラエルの戦争内閣は5時間の討議を経ても停戦の第2段階の協議に応じるかどうか結論を出せませんでした。彼らはまだ代表団に第2段階の協議を始める権限を与えていません。ネタニヤフだけでなく極右の閣僚で構成される戦争内閣は、二つの選択の間で迷っています。@停戦を終わらせ、戦争を再開してハマス殲滅を追求するか、A第2段階で捕虜交換を行い、その後はトランプの「ガザ接収」案に基づき米と結託してガザ住民の強制移住(追い出し)=民族浄化に乗るかです。どちらもガザ住民の意思も命も無視した最悪の選択です。
 ネタニヤフが刑事訴追を避けて首相のイスにしがみつくためには、@の戦争再開が必要です。しかし、そうすれば捕虜を見殺しにし、また「戦争を避けたい」トランプの面目をつぶすことになります。たとえ戦争を再開しても、1年半近くかかっても達成できなかったハマス殲滅を実現できるめどはありません。Aでイスラエルに代わってトランプにガザ住民の追放を実行させたいのですが、実現性はほとんどありません。世界中がトランプの「ガザ接収」案に反対です。
 何よりパレスチナの土地を捨てるつもりがないガザの人々の強い意思がトランプ案を阻んでいます。イスラエルは国際法違反(強制移住)の非難を避けるために「自由意志での移動」を呼びかけていますが、誰も応じるはずがありません。ヨルダン、エジプトは「ガザ接収」と住民追い出しではなく、ガザでの復興を進めようと準備しています。ガザ復興に必要な8.2兆円のうちアラブ諸国から3兆円を集め、トランプに対案として認めさせようとしているのです。

パレスチナはパレスチナ人にゆだねるべき
 イスラエルはトランプ案が行き詰まって破綻し、ガザに住民が残ることを恐れています。相次いでイスラエルを訪れたルビオ国務長官もウィトコフ中東特使もトランプ案を持ち上げましたが、荒唐無稽なトランプ案を実現できなければ、結局米政府は「ガザでのハマスの軍事力と統治を認めない」線にとどまらざるを得ないのです。その場合、米はガザを暫定自治政府PAやアラブ諸国軍の統治下におく可能性が高まります。イスラエルはこれは認めません。パレスチナ人を追い出さなければ元に戻るだけだと考えています。また、ガザの統治からハマスを排除することそのものが非現実的です。ガザでは軍事力だけでなく、食料配布や医療、救急、その他の行政をハマスが担い統治しています。ハマスを全く排除するなどあり得ません。結局、ハマスと抵抗戦力を含むパレスチナ人がパレスチナ国家を目指してイスラエルに抵抗し戦う構図は変わりません。イスラエルはそれを恐れています。戦争を再開して血まみれで泥沼の直接占領か、ガザの自治とハマスの復活か、いずれかしか道がないです。イスラエルと米国の力の限界です。
 パレスチナはパレスチナ人にゆだねるべきです。そもそも現状はガザもヨルダン川西岸もイスラエル軍の占領状態にあり、国連総会でも不当な占領地と認められています。当然パレスチナの民族自決権が認められています。イスラエルが植民地主義と軍事支配をし続け、自分のものにしようとしていることそのものが不当であり異常なのです。戦争の終結も恒久的な平和もパレスチナ人にパレスチナの土地を任せ、民族自決権を認めることを通じてしか実現できません。イスラエルが軍事力で押さえつけ、土地を奪おうとしている限りパレスチナ人の抵抗、民族解放闘争はやむことがありません。イスラエルがパレスチナ人の国家を認めるまで安定した平和は不可能です。

イスラエルは西岸攻撃をやめよ!レバノンから撤退せよ
 ガザ停戦の間に、イスラエルは戦車や戦闘機をもう一つの占領地であるヨルダン川西岸に移動させ、かつてない規模の攻撃と破壊を行っています。1月以降50人以上の住民を殺しました。西岸の都市ジェニンを始めトゥルカームやヌールシャムスでは戦車や数百人の兵士を投入し、ブルドーザーで家屋を破壊し、道路を掘り起こしています。数万人の人々が家を追われて避難を余儀なくされています。さらに西岸では極右入植者と一緒になって武力でパレスチナ人の土地を奪っています。西岸も攻撃するなという国際的な圧力を強めなければなりません。
 さらにイスラエルは停戦違反をレバノンでもやっています。2度にわたって撤退期限を過ぎてもイスラエル軍を撤退させず、6か所で軍部隊を居座らせています。レバノンでも南部の地域に対する攻撃を繰返しています。シリアに対しても一方的に侵攻し、占領して領土に対する野心をあらわにしています。戦争、侵略を繰返すイスラエル軍を許してはなりません。

日本政府はイスラエル支持を止め、恒久停戦を働きかけろ
 私たちは、日本政府に対して国際法に基づき以下ように行動することを要求します。
・ジェノサイドを行うイスラエル支持をやめ、イスラエル政府に停戦を継続し、戦争終結・全面撤退に応じるよう要求すること。
・トランプ大統領に対して「ガザ接収・民族浄化」を撤回するよう要求すること。国際刑事裁判所に対する制裁をやめるよう要求すること。
・ガザに外からの統治を押しつけないこと。
・日本政府がパレスチナ国家を承認すること。イスラエルに対してパレスチナ人の民族自決権を認めるよう要求すること。
・イスラエル軍やイスラエルの軍事産業との協力をやめること。イスラエル製の軍事ドローンの輸入をやめること。
・年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)にイスラエル軍事企業への投資をやめさせること。
 私たちはパレスチナの人々が民族解放を勝ち取るまで連帯運動を続けまます。

2025年2月19日
リブ・イン・ピース☆9+25