ガザでの停戦を支持します
イスラエルは停戦を守り、恒久停戦を認めよ
ヨルダン川西岸での攻撃をやめよ

ガザでの停戦協定を支持します
 1月19日からがガザで停戦が発効しました。ネタニヤフ首相は「捕虜交換の名簿が届いていない」などと難癖をつけ最後まで抵抗しようとしましたが、結局認めざるをえず、3時間遅れで停戦は発効しました。しかしイスラエル軍は実際の停戦開始までの間にさらに100人以上の市民を殺しました。
 私たちはこの停戦協定を支持します。イスラエルの虐殺から市民の命が守られるだけではありません。イスラエルの戦争を停止させたこの停戦は、ハマスと抵抗勢力、そしてガザの人々が多大な犠牲を出しながら勝ち取った成果、勝利です。それは同時に、ガザの人々と連帯してイスラエルと米国に抵抗し続けたヨルダン川西岸の抵抗勢力、レバノンのヒズボラやシリア、イエメンの抵抗勢力とイランなど抵抗枢軸の勝利でもあります。そして世界各国でイスラエルの戦争と植民地主義を非難し、虐殺されるガザの人々との連帯の運動を行ってきた膨大な人々、国連や国際司法裁判所、国際刑事裁判所を通じてイスラエルに圧力をかけてきた中国やグローバルサウス諸国の成果です。

停戦協定はイスラエル軍の全面撤退と恒久停戦に向けたもの
 メディアは「停戦はトランプのおかげ」「ハマスが弱体化し、譲歩した」等などと報じますが、それは事実ではありません。第1に、ハマスは昨年5月以降この停戦協定を一貫して受け入れ支持しています。昨年5月、7月、さらにそれ以降も協定を拒否し続けてきたのはイスラエルのネタニヤフ首相です。後退して受け入れざるを得なかったのはイスラエルの側です。停戦協定は、1期を6週間(42日間)として3期にわたります。第1期では33人のイスラエル人の市民と女性と千人以上のパレスチナ人の収監者の交換・釈放が行われます。さらに、イスラエル軍の市街地から国境近くへの撤退開始、1日600台に及ぶ食料や人道支援物資の供給等が定められています。第2期にはフィラデルフィア回廊(エジプト国境)を含む全イスラエル軍の撤退とイスラエル軍兵士の捕虜とそれに見合う収監者の解放が定められ、第3期では恒久停戦と復興が定められています。ネタニヤフは「トランプは1期が終わったら戦争を再開してもよい。その後は無期限に武器・弾薬を供給すると言っていた」と話していますが、とんでもない話です。協定は42日間だけの一時停戦ではありません、3期がセットで恒久停戦に進むことを前提にしています。停戦を一時的なものに終わらせ虐殺を再開しようとするネタニヤフに批判と非難の声を上げなければなりません。

イスラエルとハマスの間で合意された人質停戦合意の本文(Times of Israel)
イスラエル人質解放-停戦提案の全文、5月27日に提出

イスラエルを停戦に追い込んだのはハマスと抵抗勢力
 ネタニヤフが停戦を受け入れざるを得ない状態に追い込まれたもう一つの理由は、ハマスと抵抗勢力の奮闘とイスラエルの戦争目的の破綻です。「トランプの圧力」ではなく、こちらが本質です。ネタニヤフが戦争の目的にしていた@ハマスの壊滅、A民族浄化とガザ市民の追い出しとイスラエルへの併合は全く達成できていません。1年4ヶ月にわたって激烈な空襲と戦闘で過去に例がない市民大虐殺を行ったにもかかわらずガザの人々は降伏しませんでした。どんなに空襲されようと追い出されれば「ナクバ」の時と同じように土地を奪われるとわかっているので、ガザの人々は最後まで避難に抵抗しました。結局、住民を追い出して無人にして併合しようという「将軍たちの作戦」は失敗しました。イスラエルはハマスと抵抗勢力に甚大な打撃は与えたでしょうが、戦闘員は次々と志願者で補充されています。イスラエル軍自身がハマスは滅ぼすことができないと認めています。停戦の第1日目の捕虜交換に際して大量のハマス戦闘員が姿を現しました。戦闘員だけでなく、制服を着た警官や、市民防衛隊など行政組織のスタッフも公然と姿を現しています。停戦第1目には中部で大集会も行なわれています。ハマスが壊滅していないことは明らかで、現在でもガザを統治しているのはハマスです。



ガザ内務省は、秩序を回復するための努力を強化すると述べている

 ネタニヤフはハマス壊滅の見通しもないまま際限もなく戦争を続けるのか、それとも停戦するのかを迫られていたのです。ガザだけでなく、レバノンのヒズボラに対しても本格的な地上戦をするには兵力が不足で侵攻を中止しました。イスラエル軍は動員された予備役兵は長期の兵役に疲弊し、志願兵を募っても集まらない状態にあります。長期戦に人材の国外流出、経済への悪影響も重大になっています。「トランプの圧力」は単なるきっかけに過ぎません。いったんは停戦に応じざるを得なかったのです。

戦争再開を追求するネタニヤフを孤立させ、恒久停戦へ
 ネタニヤフは執拗に戦争再開を主張しています。停戦16日目から始まる2期に向けての協議で決裂させ、戦争を再開することを狙っているのです。その前にレバノンで毎日のようにやっている停戦違反の攻撃で挑発するかもしれません。しかし、それには一定の制約がかかっています。停戦協定では、仲介国である米国とエジプト、カタールが協議が続行している間は停戦を保証しています。さらに2期を前に決裂させることは、残り70人の捕虜を見殺しにすることであり、家族らの激烈な反発を生みます。また一旦放棄して撤退したガザへの再侵攻は、攻撃を一からのやり直しをするほかありません。それでもハマス壊滅は不可能です。
 もう一つの危険は、ネタニヤフ政権が閣内の極右戦力を引き留めるために、ガザの停戦を利用してもう一つの占領地であるヨルダン川西岸で戦争を激化させることです。昨年以来、西岸でも850人以上がイスラエル軍に殺されていますが、ネタニヤフはガザから戦車や装甲車を送り込み攻撃を激化させています。米国政府はヨルダン川西岸の暴力的併合を主張する極右の入職者たちの釈放を認めました。極右の入植者が軍と一緒になって土地略奪と民族浄化の攻撃を強めているのです。
 さらにイスラエルはトランプ政権ができたので、次の戦争の目標をイエメンとイランにおき米国と一緒にイランに対する戦争を追求して、米国とイスラエルで中東全体の軍事支配を行おうと野心を燃やしています。
 ネタニヤフに戦争再開を絶対にさせてはいけません。ガザは想像できないような甚大な被害を受け、住んでいた街をがれきに山にされながらそれでも抵抗をやめません。子どもたちは空爆や寒さと飢餓の中で命を失わされています。世界はガザの人たちの思いに応えて停戦を続けさせるために、さらに停戦を恒久停戦にさせるためにイスラエルと米国に全力で圧力を掛けなければなりません。

占領と植民地支配を終わらせよう
 たとえ戦争が終わってもまだ根本的な問題は解決していません。ガザとヨルダン川西岸の人たちが占領と植民地状態に置かれる限り同じことが繰り返されます。他民族を囚人扱いして永遠に押さえつけることなどできません。何度でも抵抗と戦争が起こるでしょう。イスラエルにはパレスチナに対する植民地支配を辞め、パレスチナ人の民族自決権と民族国家樹立を認めなければなりません。これまでイスラエルを支持して、したい放題をさせてきた米国をはじめ日本を含む諸国政府はイスラエルに占領と植民地支配を辞めるよう圧力や制裁をかけなければなりません。それなしにはこの問題は解決しません。
 私たちは日本政府に対して、以下のことを要求します。
@イスラエル政府に停戦を守るよう。恒久停戦を受け入れるよう要求すること。
Aイスラエル軍にガザからの撤退、ヨルダン川西岸での攻撃の中止を要求すること。
Bガザの人々に食料、水、医薬品など人道支援物資を提供し、命を守ること。
Cイスラエル政府に、レバノン、シリアの占領地からの撤退を要求すること。イエメン、イランへの戦争も反対すること。
Dパレスチナ国家を承認すること。イスラエル政府支持をやめ、軍用ドローン導入などイスラエルとの協力をやめること。


2025年1月23日
リブ・イン・ピース☆9+25