ラファ避難民キャンプ大虐殺を糾弾する
米・イスラエルはラファ攻撃を直ちにやめよ
ICJの攻撃中止命令に従え

 5月26日、イスラエル軍はガザ地区南部のラファ市北西部にある「タル・アル・スルタン」キャンプを爆撃し、一帯を火の海にして50人を殺害し、300人を負傷させた。この地区はイスラエル軍の「退避指示」外で、国連の倉庫を中心に10万もの避難民のテントが密集していた。そこを意図的に爆撃し多くの人々を焼き殺した。イスラエルによる残虐極まりない戦争犯罪だ。
 今回の虐殺は、全世界に衝撃を与える残虐なものである。イスラエルは、国際刑事裁判所ICCがネタニヤフに戦争犯罪人として逮捕状を請求したことをあざ笑うかのように、また国際司法裁判所ICJがラファ攻撃中止の命令を下したわずか2日後にキャンプ大虐殺を行った。われわれは、この国際法違反の戦争犯罪を満身の怒りを込めて糾弾する。

女性・子どもを生きたまま焼き殺す地獄
 今回のラファでの避難民虐殺は、その残虐性で突出している。
 ――イスラエルは、同キャンプには「退避指示」を出しておらず、避難民たちがまだ安心していたところを狙い撃ちに爆撃した。次の日に砲撃して21人を殺した「マワシ」地区に至っては、イスラエル軍自身が「人道ゾーン」として避難先に指定したところだ。
 ――最初から避難民が密集している場所を攻撃した。避難者たちはイスラエルの攻撃で北部ガザや中部からこの地に追い立てられ何回も避難を強要された末に攻撃された。
 ――一面火の海にされ、テントは炎上し、中で生活していた女性や子どもたちが生きたまま焼き殺された。頭が切断された子ども、手足だけを持って逃げ惑う人、地獄のような状況が作り出された。考えるだけでゾッとする。
 ――イスラエルにより水を奪われ、消火活動はできない。病院は事実上機能せず、死傷者を手当てできない。大やけどや大けがをしたさらに多くの人が苦しみ死んでいく。
 ――ラファを攻撃すれば、とんでもない大虐殺、人道危機になると予言されていた、その通りのことをイスラエル軍は強行した。
 8カ月にわたって米とイスラエルはガザに対する大虐殺戦争を行い、これまで3万6379人を殺害し、8万2407人を負傷させ、死傷者、行方不明者を合わせて13万人もの戦争犯罪を平然と行ってきた。それに加えて食料・水・医療品等を封鎖し、ガザの230万人に対して飢餓攻撃を仕掛けてきた。急速に悪化する飢餓状況の中で赤ん坊と子供たちが真っ先に犠牲になっている。米議会で唯一パレスチナ系のタリーブ下院議員はネタニヤフ首相を「大量虐殺マニア」と呼んだ。

ネタニヤフは意図的攻撃を「事故」として開き直る
 
密集した地域を爆撃し、爆撃後周囲はみな避難した
 ネタニヤフは爆撃を「悲劇的な過ち」と言い「事故」にすり替えようとした。イスラエル軍は小型の爆弾でテントから200メートル離れたハマスの拠点を攻撃したら、2次爆発で燃料タンクに飛び火したと宣伝した。それは「ハマスを狙った」というプロパガンダで、事実は全く違う。イスラエル軍が使った米国製のBGU-39爆弾(110kg爆弾)の残骸は、200メートル先ではなく焼けただれたキャンプの中で発見された。バラバラになった遺体もキャンプの中での爆発を裏付ける。最初からキャンプの避難民を狙って投下したのだ。一面が手の付けられない火の海になったのは、キャンプ付近にあった燃料タンクに命中させたからだ。24時間ドローンで監視しているイスラエル軍はそこに何があるかわかっていたはずだ。
 イスラエルが避難民を虐殺するために意図的に一連の攻撃を行ったことは、次の日にかけて同じキャンプ内の3か所が攻撃されて8人が死亡し、さらにイスラエル軍が「人道ゾーン」に指定した「マワシ」の避難民キャンプを戦車砲で砲撃し、避難していた21人を虐殺したことに現れている。イスラエル軍は、避難民を虐殺して追い出そうとしているのか、恐怖でパニックに陥れようとしたのだ。

バイデンはまたしても「虐殺ではない」と支持
 バイデン大統領はこれだけの大虐殺を見ながら、イスラエル政策を変更するつもりはないと開き直った。カービー戦略広報調整官は、キャンプ爆撃は「ハマス幹部殺害のためだ」と正当化し、イスラエルのラファ攻撃は「全面侵攻でない」「レッドライン」を越えていないと更なるラファ攻撃拡大にゴーサインを出した。米国議会はキャンプ爆撃直後にあろうことか犯罪人ネタニヤフに議会演説の名誉を与えた。彼らが繰り返す「民間人保護」など口先だけで、実際には米国こそが大虐殺の共犯者であることは明らかだ。
 バイデン大統領は5月31日に突如、新しい「停戦協定」案を提案した。しかし、われわれはこれを真に受けることはできない。5月初めにも同じ提案をしたが、実際はイスラエルがラファ攻撃を開始し、バイデンはこれを支持し、武器・弾薬を供与し続けたからだ。今回の案についてネタニヤフは「ハマス壊滅が前提」としており、国際的非難の高まりの前にラファ攻撃を続けるための苦し紛れの猿芝居、時間稼ぎの可能性が大きい。
 本気で、ハマスとの和平交渉を提案するなら、まずはイスラエルがラファとガザ地域全域での軍事行動を停止し、撤退し、今回の事件を含む大量虐殺を自己批判することから始めるべきだ。同時に、バイデン自身が武器・弾薬供給を即刻停止し、パレスチナ国家を承認し、国連で拒否権を使うのをやめるべきだ。それをせずして米国には「提案」を出す「仲介者」」の資格はない。

米・イスラエルを追い詰めている。パレスチナ連帯運動をさらに強めよう
 今回の避難民大虐殺でイスラエルに対する国際的非難はさらに高まっている。バイデンが演説で「停戦をしないとイスラエルの孤立が深まる」と言わざるを得ないほどだ。バイデン自身が全米の大学の野営運動と国内のパレスチナ連帯運動に揺さぶられている。大統領選挙に向けて停戦の成果を模索せざるを得ない。EU外相会議はイスラエル制裁を検討し、フランス・ドイツもICJ判決を支持し、スペイン・ノルウェー・アイルランドがパレスチナ国家を承認するなど、イスラエルを支持しつづけるバイデン政権との割れ目が目立ちはじめた。
 何よりも今回の虐殺の与えた衝撃で世界中のパレスチナ連帯運動がさらに強まっている。全世界で自国政府にイスラエルに停戦を迫れ、制裁せよと迫っている。BDS運動をさらに強めて、世界中で親イスラエルの企業を揺さぶっている。6月8日には米国の運動が再度ワシントンに総結集し、バイデン政権にイスラエル支持をやめ、武器を供給するなと要求する。
 日本でも各地で粘り強く集会やスタンディングが行われ、規模が拡大している。われわれは大虐殺を続けるイスラエルを徹底的に糾弾する。米・イスラエルは着実かつ急速に追い詰められている。パレスチナ国際連帯運動に合流し、ジェノサイド阻止、即時恒久停戦を実現するまで運動を継続しよう。

〇岸田政権はイスラエル支持をやめよ。
〇米・イスラエルに即時恒久停戦を要求せよ。
〇岸田政権はパレスチナ国家を承認せよ。
〇日本政府・防衛省はイスラエルの軍需産業との取引・軍事協力をやめよ。

2024年6月2日
リブ・イン・ピース☆9+25