(1)イスラエル軍は、5月6日、停戦協議の真っ最中にガザ地区ラファに対する全面攻撃を開始した。イスラエル軍はラファ東部の10万人の避難民に突如、攻撃するから命が惜しければ移動せよと通告し、大規模な絨毯爆撃を開始した。ガザ地区南端のケルム・シャロムから戦車部隊をラファ検問所とラファ東部に侵攻させている。われわれはイスラエル軍が停戦協議を全く踏みにじり、150万人が避難し息を潜めているラファに侵攻を始めたことを満身の怒りをもって糾弾する。イスラエルはジェノサイド(大虐殺)による民族浄化を意識的に実行しているのだ。このとんでもない戦争犯罪を絶対に許せない。 (2)ハマスは6日に、エジプト・カタール・米国が提案した休戦・捕虜交換の協定案を受け入れると表明した。提案は3段階にわたり、各42日間の停戦期間からなり、最初の段階では捕虜・人質交換、さらにはイスラエル軍の段階的撤退、食料・水・薬品。人道支援物資供給への制限解除などが含まれる。第2段階では敵対行為の恒久的停止を宣言し、イスラエル軍のガザ地区からの完全撤退、第3段階ではガザ封鎖の完全な終了が含まれる。 ハマスがこの停戦協定を受け入れた直後に、それをあざ笑い、憎しみをぶつけるかのようにイスラエルの戦時内閣はラファ侵攻の開始を命令し戦争の続行を決めた。彼らは戦争をやめるつもりがなく、やり続けたいのだ。ガザの人々がどれだけ死のうと、ハマスと抵抗勢力が壊滅し、パレスチナの人々が奴隷のようにイスラエルに屈服し、ひれ伏すまでやめるつもりがないのだ。正真正銘の暴力的植民地支配であり、パレスチナ人を奴隷のように扱う本性を露骨に表している。 (3)10万人もの人々に移動を強制することは戦時国際法に違反する戦争犯罪だ。避難できるのは一部に限られる。避難先には食料も、水も、住むところも何もない。避難できない人の上には爆弾の雨と戦車の砲弾が降ってくる。殺されても、逃げない自分の責任だとされる。こんな非人間的な扱いが許されるのか。さらにイスラエル軍はラファとケレム・シャロムの二つの検問所を占領し、封鎖した。ここはガザへの食料・水・薬・人道支援物資のほぼ唯一の入り口だ。この封鎖でラファだけでなく、ガザ全体で人々が深刻な饑餓に追いやられる。すでに戦争で3万4千人が殺され、7万8千人が負傷させられた。しかし、ラファ攻撃はそれを格段に上回る多くの住民を攻撃や饑餓によって殺害するジェノサイドである。 (4)こんな蛮行は近年の歴史にはほとんど例がない。ナチスのユダヤ人虐殺を思わせる行為だ。いまや世界中がこぞってイスラエルに反対の声を突きつけてきた。国連事務総長と国連諸機関、人道支援諸組織、そして世界中の人々がイスラエルにラファ攻撃をやめろと表明してきた。米国では全国の大学で学生たちがパレスチナ連帯の野営運動を戦っており、ロンドンや世界中の都市でデモや集会が開かれて連帯を表明している。 イスラエルを支持し続けてきたバイデン大統領は口先では「市民の保護なしの攻撃には同意しない」と繰り返している。しかし、これはイスラエルが市民保護などするはずがないことを分かったうえでの偽善・欺瞞だ。その証拠に米も加わった停戦協定案を足蹴に拒否して、ラファ攻撃を強行するイスラエルに対して批判しない。国内では学生のパレスチナ連帯運動を違法だ、反ユダヤだと大弾圧し、4月24日にはイスラエルへの4兆円の軍事支援を決めた。国連安保理ではパレスチナの国連正式加盟決議案に拒否権を発動した。パレスチナとハマスや抵抗勢力に対して戦争を仕掛け、抑圧するために米とイスラエルは共謀し続けている。口先の「批判」に関わらず、実際の行動は米がイスラエルを支え続ける共犯であることを示している。 しかし、イスラエルとネタニヤフ、共犯である米バイデン政権の孤立はかつてないほど深まっている。あまりの非道さに世界中が非難の目を向けている。今こそ世界中からネタニヤフとバイデンに、ラファ攻撃を中止せよ、停戦協定を受け入れろという声を突きつけなければならない。同時にわれわれは日本政府に対して、ジェノサイドを強行するイスラエル支持を直ちにやめ、イスラエルに対してラファ攻撃中止、停戦受け入れを要求するよう求める。 イスラエルのラファ侵攻によって、ますます多くの子ども、女性、老人や弱者が毎日殺されていく。このジェノサイドを止めるために、一人一人が声を上げよう。情報を発信し、訴えかけ、力を合わせよう。いまこそ可能なことすべてに取り組もう。 2024年5月7日 |
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