米英軍はイエメンへの攻撃をやめろ
イスラエルの対ガザ戦争を中東全体に拡大させるな
今すぐ恒久停戦を。人道支援を実施せよ
日本政府は攻撃支持を撤回せよ

(1)米英軍は参戦するな。イエメン攻撃を即刻停止せよ
 米英軍は1月11日、イエメンに対して首都サヌアなど約30箇所に空爆を行いました。さらに13日にも再び攻撃しました。今回のイスラエルのガザ戦争の真っ只中での、米英軍によるイエメンに対する初めての直接攻撃です。バイデン大統領は「紅海を航行する船舶に対する前例のない攻撃を繰り返していることへの直接の対応だ」と「アンサール・アッラー」(フーシ派)を非難しました。
 しかし、フーシ派が標的と言うのは、侵略者米英の勝手かつ一方的な論理です。イエメンの国土と人民に対する破壊と殺りくに他なりません。イエメン・サヌア政府(最高政治評議会)も、米英の侵略を非難する声明を出しています。ことさらに「フーシ派」を強調するのは西側メディアで、パレスチナ連帯のサイトも国際反戦運動も「イエメン攻撃」「イエメン攻撃をやめろ」としています。

(2)米英の参戦、中東戦争エスカレーションに断固反対する
 これまでもイエメンに対する米国の歴史は血塗られています。米国は、サウジアラビアを率いてイエメン内戦に介入し、10万人以上の死者と700万人に及ぶ飢餓と人道危機を引き起こした張本人なのです。米国はこのイエメン人民に対する残虐行為に謝罪も補償もしていません。
 今回の米英のイエメン攻撃は、米英のガザ戦争への参戦につながる非常に危険な戦争行為です。この危険を私たちは座視できません。私たちは、この攻撃がイスラエルのガザ地区とパレスチナ人への攻撃を中東全体にエスカレートさせ、中東のみならず世界を巻き込む戦争に拡大する危険極まりない行為だと考えます。米英に対し、直ちにイエメンへの攻撃を止めるよう要求します。
 イエメンでは数百万の人々が街頭に繰り出し、米主導の攻撃に対する抗議行動に立ち上がりました。世界のパレスチナ連帯運動も、即刻抗議行動を開始しました。米英のイエメン攻撃から2時間も経たないうちに、米国のANSWER連合が呼びかけた抗議行動が、ホワイトハウスの外とニューヨーク市のタイムズスクエアで行われ、「アメリカは今すぐイエメンから撤退せよ!」と要求した。本日のグローバル「ストップ・ガザ戦争」でも、米英糾弾が渦巻きました。

(3)フーシ派の船舶攻撃は停戦と人道支援で解決する問題
 そもそもガザ戦争を停戦すれば済む話なのです。フーシ派の船舶攻撃は、むやみやたらに無差別にやっているのではありません。イスラエルへの輸出入にダメージを与えることで、パレスチナのハマスや抵抗勢力を支援するためのものです。
 現に、フーシ派は、停戦と人道支援物資の供給が行われれば停止すると表明しています。フーシ派に船舶攻撃を止めさせ、航行の安全を図りたいなら、バイデン政権自身が、イスラエルの暴走をやめさせ、即時恒久停戦と人道支援物資搬入を実行すれば済むことです。
 実は、ガザ大虐殺戦争を直接行っているのイスラエルですが、停戦と人道支援の決定権を握っているのはバイデン政権なのです。なぜなら、政治的・軍事的・経済的にイスラエルの侵略戦争と戦争経済を支えているのは米国だからです。ミサイル・武器・弾薬などほとんどの兵器をイスラエルに流れ作業のように供給し、国連で停戦決議を叩き潰し、国際法廷でガザ戦争とジェノサイドの国際法違反のイスラエルを守り、西側メディアでイスラエル擁護を垂れ流しているのは,全て米国(そしてイギリス)なのです。
 米国は、ガザ大虐殺戦争でイスラエルと共謀・共犯関係にあります。否、首謀者と言えるのです。

(4)イスラエルの暴走を許すな
 米英の攻撃はイスラエルのガザ攻撃が行き詰まり、当初のハマス壊滅と人質奪還の目標を実現するメドをなくしたネタニヤフ政権が、戦争を中東全体に拡大することで、戦況打開を図ろうとするものです。メディアでは盛んに、イスラエルの大本営発表を垂れ流し、「ハマス指導部壊滅」を喧伝していますが、実態は逆で、イスラエル軍は相当の死傷者を出し、イスラエル経済は危機に陥り、動員を解除しなければ経済破綻しかねない状況に陥っています。
 ところが、ネタニヤフ政権は、停戦どころか、自らの政権延命のために、中東の火薬庫に火をつけようとしているのです。イスラエル軍はレバノンのヒズボラ、イラクのシーア派民兵、シリアに対する攻撃を強めています。レバノンではハマスの政治幹部、ヒズボラの軍司令官、シリアではイラン革命防衛隊の幹部の爆殺を次々と行っています。周辺諸国の抵抗枢軸、とりわけイランを挑発して、世界を戦争の渦に巻き込もうとしているのです。

(5)米国は孤立している。バイデン政権に闘いの矛先を集中しよう
@ しかし、イスラエルだけでは、中東規模の戦争にはなりません。なぜなら、すでにガザ戦争でイスラエル軍は消耗しているからです。しかも、今回のイエメン攻撃は、米英だけで、フランス、イタリア、スペインは、攻撃への参加を見送っただけではなく、攻撃を正当化する共同声明への署名も拒否しました。イタリアは、紅海の情勢を「沈静化」させる政策を優先しているため、参加を拒否したと言われています。
 米議会でも、バイデン大統領が議会の承認を得ずに独断で攻撃したことを一部の民主党員が非難しています。議会を迂回した戦争行為は米国憲法第1条に違反していると怒っているのです。

A 米国は、国連でも孤立しています。1月12日、国連安全保障理事会は、ロシアの要請を受け、紅海の現状に関する緊急会合を開催しました。そこで中国の国連常駐代表、張軍氏は、「安保理がイエメンに対する武力行使をいかなる国にも許可したことは一度もない」と強く非難し、「今回の米英の軍事行動は、安保理決議第2722号の趣旨に反するものだ」と、米英の国際法違反、安保理決議違反を指弾しました。

B 要するに、ガザ戦争でも、今回のイエメンへの戦争でも、さらに中東戦争へのエスカレーションについても、その鍵、引き金を握ってるのは米国なのです。中東規模の戦争は米国が参戦して初めて可能になるのです。その意味で、今回の米英の攻撃は、イスラエルの暴走にゴーサインを出したことになります。米英は「巻き込まれる」のではなく、中東戦争に率先して火をつけようとしているのです。
 米国に闘いの矛先を集中しましょう。私たちは、第1に、米英軍に対し、危険極まりない戦争拡大の挑発をやめるよう要求します。第2に、イスラエルに対して直ちにガザ大虐殺戦争を直ちにやめ停戦すること、飢餓をはじめ人道的危機にあるガザ封鎖を即刻解除し、人道支援物資を搬入することを要求します。

(6)日本政府は、米英軍のイエメン攻撃支持を撤回せよ
 林官房長官は、米英軍のイエメン空爆について、「事態の悪化を防ぐためのもの」だと正当化し支持を表明しました。今回の米英の攻撃は、紅海での商船攻撃でフーシ派を非難する国連安保理決議(11カ国が賛成、中ロなど4カ国が棄権で可決)が引き金となって、その翌日に行われました。何と、この安保理決議を米国と共に共同提案していたのは日本だったのです。日本政府は、イエメン空爆の直接の加担者と言っても過言ではありません。私たちは、日本政府の米英軍イエメン攻撃支持を撤回することを要求します。

2024年1月13日
リブ・イン・ピース☆9+25