6月16日、イスラエル軍は5月の停戦合意を一方的に反故にして、ガザへの空爆を再開しました。翌17日にも連日の空爆を強行しています。絶対許すわけにはいきません。即刻の停止を要求します。 ベネット新首相の強硬姿勢堅持を印象付けるための空爆 今回の空爆の前段として、6月15日に東エルサレムで極右ユダヤ教集団が「旗の行進」という挑発行動を強行しました。この行動とは、「アラブ人に死を!」と叫び、イスラエルの旗を振りかざして東エルサレムを行進するというものです。パレスチナの人々がとても許容できない挑発行動です。そしてイスラエル警察は、この挑発行動は許可しながら、パレスチナの人の抗議行動にはゴム弾や放水車を使って力で解散させたのです。許しがたい行為です。東エルサレムは、パレスチナの人にとっては、宗教的聖地というにとどまらず、自分たちの主権国家の首都なのです。そこで「アラブ人に死を!」と叫ぶ行進が堂々とされることが、どれだけ尊厳を傷つけてしまうのかは想像に難くありません。 イスラエル軍・政府は、この挑発にパレスチナの人の反撃があることを見越し、挑発行動と同時に防空装備に万全の用意をし、反撃があれば即座にガザへの空爆を行うよう手はずを整えていました。まさに「空爆」ありきの出来レースです。 なぜこのような一連の蛮行を強行したのでしょうか。それは、13日にネタニヤフに代わって新首相に就任したベネットの意向を露骨に反映したからです。ベネット新首相はアラブ系政党含め8党連立でかろうじて成立した政権です。そのためベネットの本性である極右政策はしばらくの間封印するのではないかと見られていたのですが、それを就任早々覆し自らの力の誇示を図るために、ユダヤ教集団による挑発を解禁し、空爆を再開したのです。世界の反戦平和勢力に対する露骨な挑戦です。即座の空爆中止を勝ち取らなければなりません。 イスラエルを後押しする米バイデン政権は、今のところ空爆に対し「沈黙」し、事実上は支持の態度を取っています。日本政府も同様です。 世界の反戦平和勢力の反撃 5月の停戦合意、すなわちイスラエルのガザ空爆を中止に追い込んだのは、世界の反戦平和勢力の力です。それは大きくは以下の3つの運動の高揚です。 1つめは、ガザ空爆停止を前面に掲げ、ヨルダン川西岸地区とイスラエル国内のパレスチナ人がゼネストを敢行したことです。参加者は数百万人ともいわれます。トランプ政権の登場後後退を余儀なくされ、バラバラにされていたパレスチナ人にとって、連帯して決起する引き金となったのです。ようやく自力での反撃を開始する端緒を切り開いたのです。 2つめは、中国など米に対抗する勢力による国連を舞台としたイスラエルと米への執拗な追及です。安保理では中国が10日余りの間に4回も理事会を開き、イスラエルへの「非難声明」採択を迫ったのです。米が拒否権を行使して声明は採択されませんでしたが、米とイスラエルを追い込んだのは間違いありません。その動きは、現在も続いています。世界保健会議(WHA)ではキューバやベネズエラ等28カ国が提案した「東エルサレムを始めイスラエルが占領する地域へのコロナワクチンの低価格でのアクセスを確保する」という事実上イスラエルを非難する決議が採択されました。国連人権委員会では、イスラム機構代表国パキスタンの提案を受け、「東エルサレムを含む被占領パレスチナ地域におけるイスラエルの国際人道違反」を調査するチームの設立が決議されました。 3つめは、世界の反戦平和運動の高揚です。5月10日にガザ空爆が始まるとすぐに文字通り全世界で「パレスチナ連帯」の行動が展開されました。数百万人が街頭に繰り出し、イスラエル糾弾、パレスチナ連帯の多彩な行動を展開しました。 イスラエル国内では、イスラエル共産党が主導する「ハダッシュ」(アラブ人・ユダヤ人平和平等民主戦線)が先頭に立って、アラブ人とユダヤ人の共同闘争を旗頭にして、果敢な街頭行動が展開されました。 イグリスでは、Stop the War 連合を中心に数十万人が首都ロンドン等に結集し、イスラエル大使館等に向けデモ行進を毎週土曜日に行いました。6月13日の土曜日には、G’7の首脳国がイスラエルを支持していることに抗議する運動が展開されました。 米では、パレスチナ系住民、ANSWER連合、BLM運動とが連携し「Free Palestine(パレスチナを解放せよ!)」を前面に掲げ、多彩な運動が展開され続けています。6月に入ってからは、パレスチナ労働組合総連合の要請に合わせ、イスラエルZim社製の船を米の港に接岸させないよう、「Block the Boat」が米全土で取り組まれています。シアトル港、オークランド港、ニューヨーク港では運動によるピケのため接岸できない状況となっています。 イスラエルのアパルトヘイト体制反対 イスラエルのパレスチナ人に対する蛮行はガザへの空爆だけではありません。パレスチナ人の居住を大幅に制限し、監視・隔離を常態化するアパルトヘイト体制の強化を図っているのです。ガザ地区では、居住地域全域に2重の壁を設け、まさしく「天井のない監獄」状態にし、ガザの人々を囚人のように扱っています。ヨルダン川西岸地区では、明らかな国際人道法違反(ジュネーブ条約違反)を繰り返し、次々とユダヤ人による「入植地」を増やしています。東エルサレムでは、居住するパレスチナ人の立ち退き・追い出しを加速させ、民族浄化を進めています。イスラエル国内では、パレスチナ人に対し教育・医療等へのアクセスを妨害し「2級市民」扱いを強めています。このようなひどい状態が強められているため、世界の平和勢力は空爆反対に留まらず、「イスラエルのアパルトヘイト反対!」の運動を継続しているのです。 私たちも世界の反戦平和運動と共にイスラエル空爆糾弾の声を、そしてアパルトヘイト反対の声を上げていきましょう。下記の大使館に向けて抗議の声を上げてください。 2021年6月19日 5月15日、テルアビブで行われたガザ空爆の抗議運動(イスラエル共産党HPより) 6月5日、オークランド港での「Block the Boat」運動(ANSWER連合HPより) 5月21日、停戦後にもかかわらずパレスチナ連帯を掲げ20万人がロンドンに結集(Stop the War 連合HPより)
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