パレスチナのための第1回世界反アパルトヘイト会議声明

 イスラエル軍がガザ地区ラファに対する攻撃を行っている最中に、南アフリカのヨハネスブルグで「パレスチナに関する世界反アパルトヘイト会議」(2024年5月10日〜12日)で開かれました。会議は、イスラエルによるガザ・ラファ攻撃を糾弾し、即刻・無条件の恒久停戦を求めるとともに、パレスチナ人に対するイスラエルの犯罪責任を追及し、ヨルダン川から地中海に至るイスラエルのアパルトヘイトを解体するために、世界反アパルトヘイト運動を動員するための基盤を確立することを世界中に呼びかけました。ここでは4月24日付けの「メディア向け声明」と、5月14日付けの「イスラエルの入植者植民地主義、アパルトヘイト、ジェノサイドに関するヨハネスブルグ宣言」を紹介します。

メディア向け声明
パレスチナのための第1回世界反アパルトヘイト会議:
グローバルな連帯と行動のマイルストーン

2024年4月24日

 南アフリカの解放闘争における正義と抑圧の終焉を求める世界的な呼びかけに呼応する歴史的な動きとして、南アフリカ反アパルトヘイト運営委員会(SAAASC)は、パレスチナのための第1回世界反アパルトヘイト会議の開催を発表しました。この極めて重要な会議は、2001年にダーバンで開催された人種差別反対世界会議の遺産によって強化され、特にガザ地区でパレスチナ人に対して進行中のイスラエルのジェノサイドに対処する緊急の必要性によって増幅された、パレスチナ人からの響き渡る要求に応えるものです。
 2022年初頭から、南アフリカの社会正義活動家たち、宗教指導者たち、諸連帯団体は、パレスチナの人々と闘争に対する世界的な支援を喚起するための世界会議の開催に取り組んできました。
 2024年5月10日から12日まで開催されるこの会議は、イスラエルのアパルトヘイト入植者植民地とアパルトヘイト体制に対するパレスチナ人の闘争を支援することに専念するグローバル反アパルトヘイト運動の先駆けとなる。それは、パレスチナ人に対するイスラエルの犯罪の責任を追及し、ヨルダン川から地中海に至るイスラエルのアパルトヘイトを解体することを目的とした、世界的な行動を動員するという集団的な願望を反映しています。

会議の戦略的目的:
 この会議は、イスラエルのアパルトヘイトに反対する世界的な動員、組織化、協調を強化するための基礎を築くものです。その主な目的は以下の通りです。
・イスラエルの抑圧体制を孤立させることを目的とした包括的な政治、法律、外交、メディア戦略を策定すること。
・イスラエルの入植者植民地、アパルトヘイト、ジェノサイドの常習行為と政策の解体に貢献する世界的な連帯と行動の促進。
・パレスチナの人々が、自決権や帰還権を含むすべての権利を求めて闘うことの支持。

 この会議は、南アフリカのアパルトヘイトの解体に貢献した国際連帯の不朽の精神の証であり、あらゆる形態のアパルトヘイトに反対する新たな世界的な運動の始まりを示しています。私たちは、重要な分岐点に立っています。私たちは集団的な憤りをパレスチナとそれ以外の地域における自由、正義、平等のための具体的な行動に変える準備ができています。
 パレスチナのための第1回世界反アパルトヘイト会議は、世界的な行動への呼びかけの誕生です。私たちは、世界中の人権と正義にコミットする人々に、国籍や背景に関係なく、平等と自由の原則がすべての個人に行き渡ることを確保するためのこの歴史的な取り組みに参加するよう呼びかけます。
 この会議は、多数のパネルディスカッションとワークショップで構成されます。シン・フェインの会長であるデクラン・カーニーをはじめ、ムスタファ・バルグーティ、パレスチナ民族イニシアチブのリーダー、ベツレヘムのムンサー・イサク牧師がスピーカーとして登壇します。

 日 付: 2024年5月10-12日
 場 所: ヨハネスブルグ、サントンコンベンションセンター



イスラエルの入植者植民地主義、アパルトヘイト、ジェノサイドに関するヨハネスブルグ宣言:
パレスチナのためのグローバルな反アパルトヘイト運動に向けて

出典 https://hlrn.org/activitydetails.php?id=qGhqaAHIC

 私たちは、2024年5月10日から12日にかけて南アフリカのヨハネスブルグで会合した世界20数カ国からの代表であり、あらゆる階層の、あらゆる信仰と非信仰の、多様な政治的・思想的見解を持つ数百万人の人々の意見を表明するものです。私たちは、植民地主義の1世紀、ナクバが続いている75年、イスラエルによるジェノサイド、植民地主義、アパルトヘイトの75年、75年以上に及ぶ土地窃盗、抑圧と基本的権利と自由の否定の75年に憤慨しています。エルサレムを含むヨルダン川西岸地区、ガザ地区、48年地区、難民キャンプ、そしてディアスポラのパレスチナ人は、シオニストの軍事機構のもとで、何十年にもわたって苦しんできました。

 私たちは、7カ月間にわたって続くジェノサイドを目撃してきました。イスラエルがガザを陸、海、空から残酷に爆撃し、絶滅キャンプに変えていくのを世界は見てきました。イスラエルは、医療、栄養、教育、インフラなど、ガザの人々の生活環境を破壊しました。イスラエルは、ガザに住む230万人の市民に対して、性的暴力を、飢餓を、水、医薬品、医療支援の剥奪を戦争の武器として用いています。これは国際法に違反し、倫理観、道徳観に反しています。集団墓地が発見されるにつれ、ガザでの殺戮の規模が明らかになりつつあります。イスラエルは意図的に子どもと女性を殺害しています。生命を生み出し、育み、守る女性たちです。私たちは、イスラエルによる生殖に関するジェノサイドに反対します。イスラエルはガザの環境とインフラを破壊し、人が住めないようにしています。

 イスラエルの強力な西側同盟国、主にアメリカ合衆国と一部のヨーロッパ諸国は、最も洗練された兵器を供給することで、パレスチナの人々に対するこのジェノサイドを可能にし続けています。彼らはまた、国連安全保障理事会での拒否権の行使や、アパルトヘイト国家が国際法に著しく違反しているにもかかわらず制裁を拒否することなど、外交的・政治的にイスラエルを保護しています。

 西側の政治的・経済的エリートたちは、弁解の余地のない戦争資本主義という形で、パレスチナ人の血と命から利益を得ています。イスラエルとジェノサイドの支援者たちによって何十年も続けられてきた戦争は、パレスチナの人々に対するだけでなく、人類全体に対するものです。

 しかし、パレスチナ人と世界の人々は沈黙してはいません。

 パレスチナ人の声は、瓦礫の下から、ガザの難民テントの中から、占領下のパレスチナ全土の抵抗運動を通して、世界中に響いています。彼らの痛みは私たちの痛みとなり、彼らの怒りは私たちの怒りとなり、彼らの不屈の精神は私たちの不屈の精神となり、彼らの闘いは私たちの闘いなのです。

 世界中の正義を愛する人々の声は、街頭で、メディアで、ソーシャルメディアで、学生たちの野営地で、礼拝所で、法廷で、職場で、学校で聞かれ続けています。

 これらの声は、多国間機関や国際法廷で、政治指導者や良心のある政府によって増幅されてきました。国際司法裁判所における南アフリカ政府の絶え間ない努力は、この点で際立っています。こうした努力には、イスラエルのすべての戦争犯罪人の訴追も含められなければなりません。私たちは、イスラエルに制裁を加えるよう各国政府に圧力をかけるため、容赦なく動員をかけます。パレスチナ内外のこれらの声はすべて、シオニストの入植者植民地主義、人種差別主義、アパルトヘイト、ジェノサイド・プロジェクトに断固反対するものです。私たちは、「植民地主義、新植民地主義、アパルトヘイト、シオニズムを撤廃し、・・・あらゆる形態の差別を撤廃することを約束する」アフリカ人権・人民権憲章に触発されています。シオニズムは人種差別です!

 私たちは、イスラエルの暴力と不正義に対する怒りと抵抗の声を、そしてパレスチナをはじめとする世界中の人々に対する帝国主義の策動に対する怒りと抵抗の声をさらに増幅させます。

 私たちは、南アフリカとナミビアのアパルトヘイトを終結させた世界的な「反アパルトヘイト運動」――私たちの多くがその運動に参加してきた――に触発され、その運動を引き継ぐものとして、イスラエルとその支援者たちの入植者植民地主義とアパルトヘイトに立ち向かい、イスラエルとそのジェノサイドに加担した者たちが責任を問われるようにし、パレスチナ人民の解放のための闘いを支援し、国際法によって保証された自由、尊厳、自決、帰還、抵抗の権利を回復するために、今立ち上がります。

 私たちは今、「パレスチナのための世界反アパルトヘイト運動」の一員として、パレスチナをはじめ世界各地で占領、植民地主義、アパルトヘイト、ジェノサイドと闘う、あらゆる信仰、背景、イデオロギーのパレスチナ人と連帯して立ち上がります。彼らのヒロイズム、強さ、そしてサムッド(不屈の精神)は、私たちをさらなる高みへと鼓舞し、緊急の行動へと駆り立てます。

 私たちは、イスラエルのジェノサイドを終わらせるための即時、無条件かつ恒久的な停戦、イスラエル軍の撤退、ヨルダン川西岸における入植者と軍事テロリズムの終結、ガザ包囲の解除のために決意して立ち上がります。パレスチナ人は、イスラエルが破壊したすべてのものの再建、補償、賠償を受ける権利があります。私たちは、現在進行中のナクバが終わり、パレスチナが解放されるまで休むことはありません。私たちは、南アフリカのアパルトヘイト国家に対する反アパルトヘイト運動が行ったように、ボイコット、ダイベストメント、制裁キャンペーン、そして私たちの行動計画にあるその他の戦略を駆使して、アパルトヘイト国家イスラエルの完全な孤立化を図るなど、私たちの目標に向けてあらゆる戦略と戦術を駆使します。

 私たちは、すべてのパレスチナの政治犯、被拘禁者、人質の即時釈放を要求し、恣意的な逮捕、行政拘留、拉致、囚人に対する拷問の停止を要求します。

 私たちは、イスラエルの不正義に立ち向かい、植民地主義とアパルトヘイトに反対し、国際社会の一員としての道徳的・法的義務に沿って行動することを表明した政府に敬意を表します。私たちは、イスラエルがジェノサイドを行い、国際法に平然と違反しているにもかかわらず、シオニスト・プロジェクトに加担し、加担し続けている政府――バルフォア政権からバイデン政権に至るまで――を非難します。イスラエルの攻撃は、真実、権利、正義、平等、公正といった人間の価値観に対するものであり、人種差別と暴力的抑圧を定着させ、人類を核による荒廃で脅かしています。

 パレスチナの人々とともに立ち上がることは、人間性、正義、平等とともに立ち上がることを意味します。それは、反パレスチナ人種主義、反黒人人種主義、反ユダヤ主義、イスラム嫌悪症など、あらゆる形態の人種主義に反対することを意味します。私たちの行動計画は、世界的な反アパルトヘイト運動の展開と成長を示しています。私たちは、パレスチナの人々の完全な解放まで、緊急に取り組むことを決意しています。

 この最初の「パレスチナのための世界反アパルトヘイト会議」において、私たちは、2001年のダーバン人種差別反対世界会議での動員や、2005年のイスラエルに対するボイコット、ダイベストメント、制裁を求めるパレスチナ市民社会の呼びかけを含め、数十年にわたる世界中の広範な動員を基礎としてパレスチナの連帯をエスカレートさせ、反アパルトヘイト運動を構築するためのプロセスを開始しました。私たちは、世界中のすべての連帯運動に対し、すべての抑圧され搾取される人々とともに立ち上がるグローバルな反アパルトヘイト運動を構築するこの努力に参加するよう呼びかけます。

 私たちは、消費者、学術、スポーツ、芸術、文化のボイコットを強化し、経済・金融制裁のキャンペーンをエスカレートさせることによって、アパルトヘイト・イスラエルを孤立させることに取り組んでいます。私たちは、イスラエルの貿易航路を遮断し、イスラエルに対する武器禁輸のキャンペーンを展開し、イスラエル占領軍を支援し、資金を提供し、武器を供給し、イスラエル占領軍に参加する人々を標的にし、国際的なスポーツ、文化、学術団体からイスラエルを追放することを優先します。

 世界反アパルトヘイト運動が、アパルトヘイト国家である南アフリカがアパルトヘイト体制を完全に解体するまで譲歩しなかったように、私たちもまた、イスラエルの入植者植民地プロジェクトを完全に解体するまで、譲歩することを拒否します。そのために私たちは全力を尽くし、目的が達成されるまで立ち止まることはありません。

 川から海まで、パレスチナは自由になる!
 アマンドラ/アウェトゥ(われらに/力を)
 パワー・トゥ・ザ・ピープル

      (リブ・イン・ピース★9+25 仮訳)

Johannesburg Declaration on Israel’s Settler-Colonialism, Apartheid and Genocide: Towards a Global Anti-Apartheid Movement for Palestine

2024年5月26日
リブ・イン・ピース☆9+25