6月30日(日)、リブインピース@カフェを大阪市内で開催しました。約20名の参加で議論しました。 テーマは大きく2つ。@止めよう日本の対中戦争準備と戦争国家化、Aイスラエルのラファ攻撃と停戦協議のまやかし、でした。 中国との緊張をあおるフィリピン。その背後に日米 テーマ@では、まず「南シナ海での緊張をあおる日米政権」について報告されました。中国の「力による現状変更」と、緊張をあおっているのがもっぱら中国であるとの宣伝がされていますが、実際は米国や日本の側こそが緊張をあおっているのだということが報告されました。実例として、南シナ海・南沙諸島のアユンギン礁(仁愛礁/セカンド・トーマス礁)を巡るフィリピンと中国の争いについて。中国とフィリピンのドゥテルテ前政権の間では、フィリピンがここに座礁させた老朽艦船を将来的に撤去する、艦船の補強や恒久的施設は建設しない、補給物資の搬送に際しては事前に通知し物資の中身を検証する、など現状維持の合意が守られてきました。しかし、2022年6月に就任したマルコス現大統領は、その合意を破って通告なく艦船の修理を始め、その後も物資の投下などの挑発行為を繰り返しました。中国の沿岸警備隊とのホットラインも一方的に廃棄しました。報道では、中国海警局による放水など、中国側の行為が一方的に指弾されていますが、その原因は、前政権の合意を反故にしたマルコス政権にあると言わなければなりません。 では、マルコス政権はなぜこのような挑発行為をしているのでしょうか? その背後には米国の対中国軍事戦略である「海洋プレッシャー戦略」があります。その狙いは、フィリピンを対中国戦争の監視、攻撃、補給拠点にすること、「台湾有事」と並んで対中国戦争の口実にすることにあります。フィリピンの米軍基地は5カ所から9カ所に拡大されました。昨年6月以降、米比、日米比、日米豪比、米仏比など様々な組み合わせの合同軍事演習が繰り返されています。そして日本は、米国の戦略に同調し、フィリピンを対中国軍事網に取り込む重要な役割を担っています。ODAでレーダーを供与し、領有争いで最前線に立つ大型沿岸警備船のほとんどを供与しようとしています。私たちは、日米両政府に対して、南シナ海での緊張をあおる行為をやめるよう、要求します。 中国との戦争を様々な側面で準備する岸田政権 テーマ@の2つ目の報告は、「日本軍国主義の新段階と対中戦争のための国家改造の危険」でした。今年4月10日の日米首脳会談は、「未来のためのグローバル・パートナー」「日米の指揮系統の統一」をうたいました。この首脳会談で日米安保、日本の軍国主義が新しい段階に入ったのではないか、ということです。その内容は、22年12月の「安保3文書」改定で打ち出されており、対中国戦争を戦い抜くための「異次元の軍拡」と、「あらゆる面で戦争を前提とする国家改造」です。具体的には、軍事費の倍増、敵基地攻撃能力の獲得、南西諸島・九州の軍事要塞化、軍需産業復活と武器輸出解禁、民間・自治体の戦争態勢への組み込み、アジア版NATO=対中国軍事包囲網、などです。 テーマ@の3つ目の報告は、「『台湾有事』に向けた総動員体制の危険について〜地方自治法改悪と食糧安保法を中心に〜」で、前述の「あらゆる面で戦争を前提とする国家改造」の一部に相当します。岸田政権の下で、対中国戦争を実際に遂行するための法律が次々に制定されています。当然、戦争放棄を定める日本国憲法に違反します。これまでに、武力攻撃事態法等有事法制・国民保護法、集団的自衛権行使を容認する戦争法、秘密保護法、共謀罪法(テロ等準備罪法)、などが制定されてきました。6月23日に閉会した国会では、これらに追加して、「地方自治法」の改悪と「農業基本法」改悪・「食料安保法」が強行されました。 地方自治法の改悪は、「非平時」に、個別法が規定しないあらゆる部面で、国が自治体に対して指示権を行使できる、すなわち強制できる、とするものです。港湾や空港、道路の使用を自治体に強制し、戦争の兵站に民間企業、自治体、公益法人等を総動員するための準備です。戦時には、民間病院、民間の土地の強制収容、学校の体育館、公園の使用などが対象になります。 食料安保法は、「食糧供給困難事態」に際して、生産と流通を統制し、農業者に対し作付けの種類や出荷を強制できるものです。「有事」には食料は軍事物資となります。自衛隊員のための食料確保するために、農業者には花や果物ではなくイモの生産を強制する一方、一般の国民にはイモを食べることを強制する、などが想定されます。また、平時から中国との戦争に備え、中国への食料輸入依存を減らすため、農薬・肥料生産の推進、代用食料、遺伝子組み換え作物の奨励などが盛り込まれています。 「戦争を起こそうとする理由」は? このように、政府が考えている戦争の姿を暴露し、批判する世論と運動を作っていくことが必要です。討論の中では、「非平時」とは何か、との質問が出ました。それは「戦時ではないが戦争になる恐れがある」状態ということです。これを時の政権が恣意的に認定し、戦争の具体的な準備に踏み込むことができるようになるのです。「『非平時』とは一見災害などに対応するように見える言葉だが、実際には災害に真剣に対応する気がないことは能登地震への対応を見れば分かる。狙いは戦争だ」との意見もありました。 また、テーマ@全体について、「戦争を起こそうとする隠された理由を知る必要がある」との意見が出されました。これに対して、「自動車など商品の競争力で中国に勝てなくなったので、別の手段で中国を排除しようとしている」「今の日本では軍事ほど儲かる産業はない」「領土紛争の先には戦争しかないが、今の日本では地図で尖閣諸島(釣魚島)などに日本の色を塗らせるなど、戦争につながる教育があたりまえになっている」などの意見がありました。 6月27日、東京の衆議院第1議員会館で開かれた「島々から呼びかける 全国を戦場にさせない!東京行動」に参加された方からの報告もありました。 米国とイスラエルはガザ虐殺の共犯。恒久停戦のために私たちができること テーマAでは、以下のような報告がありました。 @昨年10月からのガザの死者は行方不明含め4万8000人(人口の2%)、死傷者数は13万人(人口の5%)、子どもが4割、子どもと女性で7割を占める。100万人以上が飢餓状態にあり、住民全員が難民化している。 Aイスラエルのネタニヤフ首相は、一時停戦するかもしれないが、恒久停戦は拒否する。 B今の戦争は米国とイスラエルの合作であり、米国がラファへの大規模攻撃に反対しているのは口先だけ。米国は戦争に深く加担しており、イスラエルと戦争犯罪の共犯。 C5月31日のバイデン米大統領による停戦提案は、第1段階で女性や市民の人質交換・イスラエル軍の一部撤退、第2段階で全部の人質・捕虜の交換・イスラエル軍のガザ撤退・恒久停戦、とされていた.しかし、第2段階に進むかどうかはイスラエルが決める、すなわち戦争再開の選択肢をイスラエルに与えていた。 Dこのペテンの提案の狙いは、大統領選に向けてバイデンの成果にすること、停戦交渉の破綻をハマスのせいにすること、ハマスを弱らせ停戦が安定したらイスラエルとサウジの関係正常化などを進め米国の中東支配を強化すること。 Eしかし、ハマスを壊滅させることは不可能。一旦制圧しても、軍が引けば復活する。イスラエル側からもそれを認める発言が出ている。 Fネタニヤフ政権は行き詰まり、国際的に孤立し、国内に深刻な内部対立もある。 G政権の危機を乗り越えるために、レバノン侵攻を計画している。しかし、レバノンのヒズボラはハマスの2倍以上の兵力を持ち、イスラエルには3つ(ヨルダン川西岸・ガザ・レバノン)も戦争をする力はない。 H行き詰っているイスラエルと米国に恒久停戦・ガザ撤退・パレスチナの民族自決権を認めさせることが必要。私たちは、日本政府にイスラエル支持をやめさせ、イスラエル政府と企業への制裁、ガザへの十分な人道支援の提供を求めよう。 イスラエルに協力している日本企業の1つ、川崎重工業は、イスラエル企業から軍用ドローンを輸入しています。6月26日に開かれた川重の株主総会に際して抗議行動が行われました。行動に参加した方からその報告がありました。株主総会ではイスラエルのドローンについて質問が出され、社長は「災害対策のため」(防衛省が「攻撃用」と明言しているにもかかわらず)とウソをつく一方、「ガザへの攻撃を憂慮しており、対応は検討していきたい」と答弁せざるを得なかったということでした。 2024年7月6日 |
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