ラファ侵攻、ジェノサイド、日本の対応について活発な議論
5月19日 リブ・イン・ピース@カフェ

 5月19日、阿倍野市民学習センターにおいて、「リブ・イン・ピース@カフェ」がおこなわれました。参加者は30人で、前日のナクバデー全国行動「ラファ攻撃やめろ!」の熱気そのままに活発な質疑応答・意見表明がおこなわれました。
 テーマ@ 「イスラエルはラファの虐殺をやめよ」について、以下の報告があり、質疑を通じて内容がさらに豊富化されました。

 停戦協定案では、第一段階として、捕虜・人質の交換が取り決められ、第二段階で「敵対行為の恒久的停止」、第三段階でガザ封鎖の完全な完了を実現しようとするものでした。ハマス側はこれを受け入れようとしていましたが、イスラエルは停戦協議の最中にもかかわらず、ラファ攻撃をおこない、停戦協議を破壊しました。平和を求めているのはどちらなのかは明らかです。
 イスラエルのネタニヤフ政権は、第一段階だけでも認めると、連立政権が瓦解するという事情があり、自分の政治的延命と政権維持のために戦争を継続する選択をしたのです。
 ハマスは、パレスチナの抵抗勢力の総意を代表しており、ガザでは6割から7割、西岸地区では8割の住民に支持されています。対立していたハマスとファタハの間も統一政府を作る用意があるとの合意がすでに北京で成立しています。

 イスラエルを批判する学生運動は、コロンビア大学に始まり、全米、そして全世界に広がろうとしています。大学の学生たちは、パレスチナの占領から利益を得ている企業への投資引き上げを求め、大学の研究がイスラエルの軍需産業との関係を断ち切ることを要求して、教室や構内にテントを張って集まるという運動をおこなっていました。ところが、大学当局や米政府、マスメディアは、これを「反ユダヤ主義」と決めつけ、暴力的な弾圧をおこないました。しかし、運動の中で誰も「ユダヤ人」を批判する者はおらず、むしろ、運動に加わっているユダヤ人もいました。
 今回の参加者に、ドイツでの運動に携わっている方がおり、具体的な話がありました。現在、ドイツでも「反ユダヤ主義」の定義が拡大され、イスラエル批判が何も言えなくなってしまっています。法律に則って申請をしているテントを張っての抗議活動に対して、警察は英語とドイツ語以外の言葉が話されるのを禁じ、アラブ人、アイリッシュ、イタリア人に対しても「テロ」の疑いをかけ、結局テントを破壊し、参加者を逮捕していきました。マスメディアは「ハマスキャンプ」と呼び、普通の学生が近づけなくなるようにしています。

 メディアの流す情報を疑わなければなりません。
 「イスラエルは被害者で、攻撃する権利がある」──パレスチナの方こそ、イスラエルの建国以来の侵略と植民地政策の被害者であり、国連総会決議では、武力による抵抗権が認められています。
 「米国はラファ攻撃に反対し、人道主義的」──イスラエルの侵略行為を支えてきたのはずっと米国であり、毎年イスラエルの軍事費の4分の1を支援してきました。さらに現在の戦費の半分は米国が資金を出しているのです。しかも現在のイスラエルの攻撃が「大規模」でもなければ「ジェノサイド」でもないとしています。大統領選挙を控えた選挙対策として、全体の100分の1ほどの武器の供与を停止したにすぎません。それが米国の言う「人道主義」なのです。

 イスラエルのジェノサイドに対する日本政府の態度は、米国と同様、イスラエルの「自衛権」を支持しています。
 以前は、イスラエルと共にアラブ諸国とも友好な関係を模索するという方針を採っていましたが、安倍内閣の時に、イスラエルとの軍事経済分野での関係強化に舵を切り、その動きは次第に強まっています。安保3文書で無人攻撃兵器の導入を決め、2023年度予算に計上されています。その7機種の候補機のうち5機種がイスラエル製なのです。
 私達にできる運動の一つとしては、イスラエルに対するBDS(ボイコット・投資引き上げ・制裁)運動があります。イスラエルの製品とイスラエルを支援する企業の製品の不買運動をおこないましょう。

 テーマA「日本を戦争国家に改造中――真剣に対中戦争を準備する日米同盟」に関しては、次回の「@カフェ」の予告も兼ねて、その概要が報告されました。
 4月10日の日米首脳会談では「未来のためのグローバル・パートナー」という言い方がされましたが、今日の状況では、自衛隊が世界中のどこでも米軍の要請に応じて戦争に参加させられる危険性がより高まっています。
 本格的に戦争をするためには、指揮系統の統一が不可避であり、今まさにそれが行われようとしています。戦争をする国家作りの法的整備も進んでいます。米国やドイツでの弾圧は人ごとではないのです。
 日本が米国に従属させられているというだけでなく、日本自身がそれを望んでいるという観点が重要なのではないかという指摘が会場からあり、重要な観点であることが確認されました。
 次回の「@カフェ」では、日本の軍国主義と戦争国家つくりに反対する国内の運動をどうすればいいのかを考えていきたいという提起がなされました。

2024年5月22日
リブ・イン・ピース☆9+25