[報告]3月20日 リブインピース@カフェ

 第一部「教育基本条例は学校における治安維持法」では、まず、「日の丸」・「君が代」強制と教育基本条例をめぐる現在の動きが報告されました。
 大阪府では、卒業式において不起立と報告された教職員29名のうち17名に対して戒告処分が出されました。
 大阪市では中学校で2名が不起立と報道され、この時に市教委は意図的にその学校名を公表し、一部のマスコミは学校名をそのまま報じました。そのため、抗議や取材などで学校が混乱させられるという事態になりました。
 まだ成立もしていない教育基本条例を、教育委員会が先取りするという由々しき事態になっています
 橋下氏は、大阪市長という立場でありながら、府立学校の教職員に対して「直ちに辞めてもらいたい。」という発言をしました。越権行為と言わざるをえません。
 府立和泉高校の卒業式では、橋下市長の「おともだち」の民間出身校長が、国歌斉唱の際に教職員が歌っているかどうかを口の動きでチェックさせるということまでおこないました。橋下氏は「これが服務規律を徹底するマネジメント」、「ここまで徹底していかなければなりません」と、この校長の行為を絶賛しています。
 維新の会の議員の言動もエスカレートしています。中野隆司府議は不起立の教員について「本当に信念ある人間なら自決するぐらいの覚悟がある」と、府議会で発言しました。思想良心の自由を表明する者に死を迫るこの発言はまったく常軌を逸しています。
 一方、維新の会議員らの増長した言動に対する反発も生じています。西田薫府会議員は、出席した府立高校の卒業式で、不起立の教員がいたため、式中の挨拶で「ルールを守れない教員がいる」と発言し、それを自らのブログに自慢げにつづりましたが、それに対して「卒業式を乱したのは府議の方だ」という抗議が殺到しました。
西田薫ブログ「残念な卒業式」
 (なお、現在このブログに対するコメントは見られなくなっていますが、その一部は、秋原葉月氏のブログAfternoon Cafeに掲載されています)
Afternoon Cafe「『残念な卒業式』で残念だったのは誰か」

 今のところ我が物顔にのし歩いている橋下氏と維新の会議員ですが、あまりの傍若無人ぶりに対するしっぺ返しが始まっていることが確認されました。

 参加者からは市の教育委員会などに抗議をしたという報告がありました。また現在の日本の状況がナチス誕生前のドイツに酷似している、また啄木の『時代閉塞の現状』は現在の人々の気分をもよく表している等の指摘があり、これらは橋下に対する有効な批判を形成していくために今後取り組んでいきたい課題だと思いました。

 「治安維持法」に代表される戦前の弾圧立法については詳しくは表をご覧下さい。人々の社会運動を弾圧するための法律や条令がずらりと並んでいます。「普通選挙法」と引き替えに出てきた「治安維持法」ですが、日本においてはこの法律による「死刑」を宣告された者はいませんでしたが、拷問死や獄中死という形で多くの犠牲者を出しました。一方、朝鮮などの植民地ではこの法律による「死刑」が宣告され、全体的により過酷な運用がなされていたことも指摘されました。
 死刑宣告なしに獄中死させるやり方は、いきなり免職にはしないが「研修」で不服従の態度を示した者を教育現場から排除するやり方に似ているという指摘もありました。

 第二部では、「慰安婦」問題の新たな展開として、尹美香(ユンミヒャン)さん(韓国挺身隊問題対策評議会の共同代表)が、3月2日に来日した時の報告がおこなわれました。
 また、千葉県にある「かにた婦人の村」の訪問についても報告がありました。「かにた婦人の村」というのは、売春防止法が成立したのを機に、社会復帰の困難な売春制度の被害者のために作られた施設ですが、最近入所した若い女性もいるそうです。ここで日本人として唯一名乗り出られた城田すず子さん(仮名)が晩年を過ごしました。畑の真ん中にある小高い丘には彼女の訴えをラジオで聞いた人々からの寄付による、「(ああ) 従軍慰安婦」と刻まれた石碑が建立されています。

 尹美香さん来日の前日、3月1日の独立運動記念日における演説で、韓国の李明博(イミョンバク)大統領は、日本軍「慰安婦」問題についても述べました。
「日本軍『慰安婦』問題は様々な懸案の中でも、速やかに解決されなければならない。」
「両国が真のパートナーとして緊密に協力していくためには、歴史の真実から目を背けない真の勇気と知恵が必要。」
「『慰安婦』の方々が痛みを負ったまま亡くなれば、日本は問題を解決する機会を永遠に失うことになる。」
 しかし、これに対する日本政府の態度は、「償い金」を払うための基金を設立したということを言い訳にするばかりで、何ら具体的な回答はありませんでした。
 このような中で、尹美香さんが来日され、参議院議員会館における院内集会と市民集会が開催されました。
 ※尹美香さんの発言内容はこちらをご覧下さい→「私たちの問題解決に向けた行動のひとつひとつがハルモニたちに笑顔を与えることができる!」

 この中で特筆すべきは、被害者のハルモニたちが、将来日本政府からの賠償金を受け取れば、それをコンゴ内戦で性暴力被害にあっている女性のために全額を寄付することを表明したことです。日本の右翼勢力は、被害女性たちに「お金が欲しいのだ」という悪罵を投げつけていますが、彼女らは、再びこのようなことが繰り返されてはならないという思いから、名誉回復を求めているのだということがよくわかります。
 カフェの場では、尹美香さんと梁澄子(ヤンチンジャ)さん(在日の「慰安婦」支援活動家)が出演したテレビ番組を見ました。この映像を使ってもっと広く宣伝していこうという決意が示されました。

2012年3月23日
リブ・イン・ピース☆9+25