○○ (小学校教員) 1.公立学校での民族学級とは?(1)大阪府内の民族学級は約180校。内、大阪市内に105校。 「民族学級・民族クラブは、朝鮮にルーツを持つ子どもたちを対象に、祖父母、父母の出身国の言葉や歴史、文化を学び、同じ立場の子どもたちとともにつながり合うことによって、民族的アイデンティティを育み、自尊感情を形成する場である。」 (2)大阪での民族学級の歴史 1)戦後の朝鮮人学校の強制閉鎖に対する阪神教育闘争の結果生まれた「覚書」民族学級 1948 大阪府知事と朝鮮人代表者との間での民族教育に関する「覚書」 1950 大阪の公立学校33校に民族学級が開設(70年代には10校まで減少) 2)1965「日韓条約」に伴う2つの文科省通達による民族教育への弾圧 ・「韓国籍」を要件として「協定永住権」を許可。 ・日本の公立学校で「朝鮮人だけを収容している学校、特別学級は設置すべきではない」 3)1972 大阪市立長橋小で新たに民族学級の始まり ・在日韓国・朝鮮人への差別が顕在化、教育現場でも差別が横行。 ・「7.4南北共同声明」が追い風に。 4)80年代 地域内でのつながりを深める「民族交流会」の開始(民族学級:40校に拡大。) ・1985年国籍法改正。日本国籍を取得する在日韓国・朝鮮人の増加 ・指紋押捺拒否の闘い ・ソウルオリンピック 5)1991 日韓外相会談「日韓法的地位協定に基づく協議の結果に関する覚書」 (民族学級:85校に拡大。) ・「放課後に行われている民族教育について、肯定的にとらえる」 ・民族講師の待遇が一定の前進(これまでは完全に無報酬!) 1992 大阪市教委に「民族クラブ技術指導者招聘事業」の開始 6)2002年以降の「拉致問題」報道以降の苦難 ・これ以降12校で開設。 ・大阪市議会で予算化することにクレーム。予算のカット。 2.なぜ、民族学級なのか? (1)公立学校での在日の子どもたちの存在 ・見ようとしなければ「見えにくい存在」。 (2)社会的な差別に直面する現実=同化と排外 (3)国際理解教育から在日朝鮮人教育を軸にした在日外国人教育へ ・国際理解教育が英語教育に傾斜する今の傾向。 ・在日韓国・朝鮮にルーツを持つ子どもたちの差別の現実や教育課題を「違いを認め合う」取り組みの中で一般化したり相対化したりする傾向。 (4)公立学校での民族学級の意味 1)韓国・朝鮮にルーツを持つ子どもたちが、民族的なつながりを強め、民族的アイデンティティを高めていく場。 2)日本の子ども・保護者の韓国・朝鮮観を変え、豊かなものにしていく。在日朝鮮人教育は、日本の子どもたちの教育課題。 ↓ 民族学級が「ある」ことで、韓国・朝鮮にルーツを持つ子どもたちにとっても、日本の子どもたちにとっても、教職員にとっても、日々韓国・朝鮮観が問い返させる。 3.民族学級を立ち上げる! (1)民族学級設立の大前提 1)在日の子とその保護者の願い 2)民族学級を支える学級・学校の子どもたち、教職員集団、PTA・地域の理解と協力 (2)どのように立ち上げたか? 【1】転勤1年目 1)保護者の思いや家庭の中で継承されている韓国・朝鮮の文化の聞き取り。それを在日韓国・朝鮮人教育の実践に取り入れる。Ex 韓国での正月の迎え方、食生活、音楽や歌など。 2)「見えにくい存在」をクラスの取り組みによって「見える存在」に 在日韓国・朝鮮人教育をすれば、どんどんルーツを持つ子が分かってきた。 3)沖縄出身者の思いに触れる中で、韓国・朝鮮ルーツを持つ人たちの思いへ 【2】民族交流会への参加 ・住之江・住吉・西成から500人以上の韓国・朝鮮にルーツを持つ子どもたちが集まる。 ・一人の親からの言葉「うちの学校にも,こんな場があればええなあ。」 【3】校内で「民族のつどい」を3年間開催 在日の保護者 民族のつどい 学校全体 ○「チジミを作ってみよう!」 ○「チャンゴをひいてみよう!」 ○「民族学校の生活発表会を見に行こう」 ○「卒業生のお祝い!トックスープを作ろう」 ○「中学校の民族学級と交流しよう!」など。 【4】3年目の夏。民族学級開設への具体的な動きが始まる 1)夏休みに「プルコギの会」を開催し,保護者間での議論を深める 2)保護者有志から「民族学級開設の要望書」を学校に提出 3)教職員内に「民族学級設立準備会」を組織 【5】民族学級の開設と1年目の取り組み――府外教レポートから(略) |