防衛省と自衛隊が組織ぐるみで南スーダンPKO部隊の日報を隠蔽していた問題で、稲田防衛相自身が、陸上自衛隊の日報隠蔽・消去に関与していたことが明らかになった。 報道によれば、2月15日、防衛省最高幹部による緊急会議が開催され稲田防衛相も参加した。「廃棄済み」としていた日報が統幕(2月7日に一部黒塗りで公表)だけでなく陸上自衛隊にも電子データで残されていたことが発覚した。とくに「廃棄済み」とした陸上自衛隊にも保管されていたことについて公表するかどうかが協議され、「事実を公表する必要はない」との方針を決定。(その後、陸自の幹部が日報データについて「適切に管理を」と指示し陸自内で保管されていたデータは一斉に削除された)。稲田氏はそれに異議を唱えず、了承したという。その会議には、黒江哲郎事務次官、豊田硬官房長、岡部俊哉陸上幕僚長、湯浅悟郎陸幕副長らが出席していた。さらに稲田氏は緊急会議の2日前の13日にも陸自から同趣旨の報告を受けていた。 陸自に日報が保管されていた事実は3月15日にマスコミに報じられるが、その時稲田防衛相は「一切報告を受けていない」と国会で答弁している。そして3月17日、防衛相直轄の防衛監察本部が特別防衛監察に対して、隠蔽に関する調査を指示している。 しかし隠蔽の調査を指示した稲田防衛相自身が、隠蔽の張本人だったことになる。7月21日に発表されるはずだった調査報告書は、稲田防衛相も調査の対象にするとのことで発表は28日に延期になった。 焦点は、データが隠蔽された経緯と稲田氏の関与だ。そして「報告を受けていない」と言い続け稲田氏の虚偽答弁である。真相は徹底究明されなければならない。政府に都合の悪い情報を隠すなど絶対に許してはならない。権力への監視を強めよう。 ※稲田防衛相 PKO日報隠蔽了承 国会で虚偽説明(毎日新聞) ※稲田防衛相、PKO日報で隠蔽認め国会でウソ答弁(日刊スポーツ) ※稲田氏「隠蔽の事実はない」 PKO日報非公表問題(朝日新聞) 稲田氏の発言は「報告はなかった」から「報告があったという認識はない」に微妙に変化 稲田氏は7月19日夜、記者団に対して、事務次官や統合幕僚長らトップが顔をそろえた「緊急会議」が開催されたという事実そのものを認めなかった。だが歯切れが悪い。稲田氏は「緊急会議を開催した事実はなく、2日前に事前説明があったことはない」としながら、岡部陸上幕僚長や黒江哲郎事務次官と「協議」したことは認めている。3月には「一切報告はなかった」としていたが、「報告があったという認識は私にはない」と言い回しを変えている。報告があったかなかったかではなく、報告があったという認識があったかなかったか?報告はあったかも知れないが私にはその認識はなかった?いかにもうさんくさい。証拠を突きつけられ、「なかった」とは言えないから「あったという認識はない」。またもや「記憶違い」「誤解」で逃げるつもりなのか。 本当に稲田氏が陸自内で日報の電子データが見つかったことの報告を受けていなかったとすれば、陸幕長に報告された1月17日から報道でデータ保管が明るみに出る3月15日まで約2カ月間、稲田氏の関与なしで防衛省幹部が対応を協議し隠蔽していたこととなる。 しかし特別防衛監察の聞き取りに応じた多くの政府関係者が、2/15の緊急会議の開催と報告、稲田氏の出席、了承を証言しているという。稲田氏は報告を受けながら情報開示を指示しなかったどころか、隠蔽に深く関わっていたことは明らかではないか。稲田氏は自らが関与した報告隠蔽の経緯を正直に語るべきだ。言い逃れは絶対に許されない。 ※日報 「稲田氏に報告」特別監察の原案触れず 陸自は伝達(毎日新聞) ※稲田防衛相 陸自から報告受ける、大臣は否定(TBS) 南スーダンPKOでの戦闘の生々しい現実を明らかにする日報 PKO日報は、自衛隊が派遣された南スーダン宿営地での「戦闘」の生々しい実態を伝えていることで大問題になった。日報の隠蔽は単に実務的な不手際や過失ではない。憲法違反・法律違反となっている自衛隊PKO派遣のリアルな現状を国民の目から覆い隠すためであった。 「(政府軍と反政府軍との)戦闘が生起」「宿営地周辺での・・・流れ弾への巻き込まれ「市内での突発的な戦闘への巻き込まれに注意」「近傍にて砲迫含む銃撃戦」「激しい銃撃戦」「トルコビル付近に砲弾落下」等々の記述がある。 まさに自衛隊が派遣された南スーダンPKOは、PKO派遣5原則を大きく逸脱する、戦場への派遣であったことを証明するものだ。 ※稲田防衛相は辞任せよ! 南スーダンPKO自衛隊部隊を全面撤退させるべき!(リブ・イン・ピース☆9+25) ※NHKスペシャル「変貌するPKO現場からの報告」が示したもの 報告書からも隠された事実――7月10日、自衛隊は戦闘のまっただ中にいた!!(リブ・イン・ピース☆9+25) 今年6月に放送されたNHKスペシャル『変貌するPKO 現場からの報告』は、日報にさえ書かれていない激しい戦闘の様子を明らかにしている。自衛隊宿営地の頭越しに政府軍と反政府軍との激しい銃撃戦が発生、目の前を政府軍の戦車が走行し、反政府軍の立てこもるビルを砲撃するなどの実態を、南スーダンに派遣された自衛隊員が生々しく証言している。 稲田防衛相は即時罷免!ウソつき安倍政権は退陣を! 稲田氏は単に失言を連発しているだけではなく、憲法違反、法律違反を繰り返している。このような人物が閣僚にとどまることは許されない。 2月8日の衆院予算委員会では、PKO日報に「戦闘」という言葉が使われていることに難色を示し“一般的な用語では戦闘だが、法的な意味では武力衝突”“憲法9条上の問題になるので「戦闘」ではなく「武力衝突」という言葉を使っている”などと答弁して野党に追及された。戦闘地域に自衛隊を派遣すると憲法に違反するから、「戦闘」があっても「武力衝突」という言葉を使ってごまかすと公言したのだ。そもそもPKO日報の「破棄」「隠蔽」は、PKOの不都合な実態を闇に葬ることにあったといってもいい。 都議選では自民党候補応援で「防衛省・自衛隊、防衛相、自民党としてもお願いしたい」と発言した。明確な公職選挙法違反だ。“森友学園の法律相談や裁判に関わったことがない”と断言しながら、森友学園側の裁判に稲田氏本人が代理人弁護士として出廷していたことが発覚した。九州北部豪雨の緊急時に稲田防衛相は「ランチミーティング」で約1時間不在だった。稲田氏は3月天皇への忠誠をたたき込む「教育勅語の精神は取り戻すべき」とも発言している。憲法と教育勅語排除決議違反だ。過去にも「男子も女子も自衛隊に体験入隊すべき」「安倍首相の演説は神の言葉」「日本の核武装も検討すべき」など異様で好戦的極右的発言は数え切れない。 稲田氏だけではない。山本地方創生相は、獣医学部公募の2ヶ月も前から加計学園を前提に獣医学会と会談したにもかかわらず、「獣医学会の思いこみ」。下村博文幹事長代行は加計学園からの政治資金をもらったことを隠蔽。金田法相は、“市民は”対象にならない”等共謀罪で二転三転のデタラメ・ウソ答弁。菅官房長官は加計学園関連の文科省文書を「怪文書」と否定。松野文科相は、文科省に文書は見つからなかったと回答、後に再調査で発見。そして、安倍首相自身が疑惑の中心だ。官邸が主導して安倍首相の友達の山口敬之の性暴力事件を不起訴。森友学園安倍晋三記念小学校設立への賛同と100万円の寄付。和泉首相補佐官を通じた加計学園獣医学科新設での文科省への圧力等々。安倍首相と閣僚は国民を蔑視し、平気でウソをつき続けている。 あったことをなかったことにし、政権に都合の悪いことは隠し通し、ウソをつき通す。このような政権の存続は許されない。稲田防衛相を今すぐ罷免すべきだ。安倍政権は退陣せよ。 2017年7月21日 16年 7月 南スーダン首都ジュバで大規模戦闘発生 10月3日 防衛省が大規模戦闘前後の日報の情報公開請求を受理 12月2日 防衛省が「廃棄済み」として日報の不開示を決定 12月26 統合幕僚監部に電子データで保管されているのを防衛省が確認 17年2月6〜7日 統幕でのデータ保管を認め一部黒塗りで公開 2月13日 陸上幕僚監部の高級幹部が稲田氏に陸自保管を事前説明 2月15日 黒江哲郎事務次官が岡部陸幕長に非公表の意向伝達。防衛省で緊急会議。陸自保管の非公表方針を稲田氏了承 3月15日 報道で陸自にもデータが保管されていたことが判明 3月16日 稲田氏が衆院安全保障委員会で、データ隠蔽について「一切報告は受けていない」と答弁 3月17日 防衛監察本部が特別防衛監察を開始 |
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