横浜市教育委員会への要請
  
 リブ・イン・ピース☆9+25から横浜市教育委員会に以下の要請文を送りました。

2011年7月28日
リブ・イン・ピース☆9+25


横浜市教育委員会事務局総務課 御中

育鵬社・自由社の教科書を採用しないでください

 私たちは、憲法にうたわれた「平和のうちに生存する権利」を実現するために、関西を中心にさまざまな活動を行っている団体です。

 中学校教科書の採択に際し、育鵬社及び自由社の教科書を採用されることのないよう、お願い申し上げます。

 両社の歴史教科書は、歴史の事実を歪曲し、アジアの人々との友好関係を壊す内容になっています。アジア太平洋戦争を「大東亜戦争」と呼び、アジアをヨーロッパの植民地支配から独立させるための「解放戦争」だったとして、正当化しています。また、韓国併合についても韓国の「近代化」を進めたと記述し、植民地支配の実態を隠ぺいしています。このような教科書で学んだ子どもたちが、日本の侵略戦争によって苦しめられた記憶を持つアジアの人々との友好を築くことは、できないでしょう。

 また、沖縄戦に関する記述も事実を歪めています。沖縄戦における住民の「集団自決」に日本軍が深く関与していたことは、最高裁判所の判決でも明らかにされています。にもかかわらず、両社の歴史教科書は「集団自決」が米軍の攻撃によってもたらされたかのように記述し、日本軍の関与について不問に付しています。これには沖縄県民から怒りの抗議がなされています。

 公民教科書にも大きな問題があります。まず、原子力発電を「国策」として推進する立場をとっています。育鵬社の教科書は、原発について「国家規模の政策については、どのように考えればよいのでしょう」と子どもたちに問いかけ、「国策」は受け入れるべきと教えています。自由社の教科書は「原子力発電では安全性の高い技術を確立」と、事実とかけ離れたことを記述しています。福島第一原発の大事故はいまだ終息の目途が立たず、福島県の子どもたちは被曝の危険にさらされ続けています。このような時に、何の反省もなく、教科書で原発推進を説こうというのでしょうか。

 また、両社の公民教科書は「基本的人権」を軽視しています。自由社の教科書は「基本的人権」の記述にわずかのページしか割いていません。育鵬社の教科書は「基本的人権」の重要性よりも、「公共の福祉」による人権の制限を強調しています。これは「基本的人権の尊重」を原則とする日本国憲法の精神に反します。

 これだけではありません。両社の教科書は、他社の教科書を盗用した杜撰で違法な教科書です。自由社歴史教科書の年表が、東京書籍の2002年度版教科書の年表とほぼ一致していると報道されました。年表の約180項目すべてで、出来事の選択が一致しているのです。自由社歴史教科書の代表執筆者藤岡信勝氏は、事実上盗用を認めました。また、育鵬社歴史教科書2012年度版の77ページにある図版は、日本文教出版(旧大阪書籍)2006年度版62ページの図版の盗用であることが報じられています。
 こうした点からも、両社は教科書発行会社として不適格であると言わざるをえず、採択にふさわしくありません。

 このような教科書を子どもたちに渡すわけにはいきません。育鵬社・自由社の教科書は絶対に採用しないでください。

リブ・イン・ピース☆9+25(大阪)