10月30日、韓国大法院(最高裁)は、戦時中日本で強制労働させられた韓国人元徴用工4人が、新日鉄住金に損害賠償を求めた訴訟の上告審で、同社に1人あたり1億ウォン(約1千万円)を支払うよう命じた。韓国の裁判所で、日本企業に元徴用工への賠償を命じる判決が確定したのは初めてだ。私たちはこれを支持し、新日鉄住金が判決に従い、賠償金を即時支払うよう要求する。 原告の4人は、1910年の韓国併合によって日本の植民地下にあった朝鮮半島から41年〜45年に日本に連れてこられ、日本製鉄(現新日鉄住金)で自由を剥奪された形で強制労働させられ、賃金の支払いもされなかったとして慰謝料を請求していた。12年5月に最高裁が高裁に差し戻し、今回の判決で確定した。 この判決の画期的意義は、韓国併合が国際法違反であることを明確にし、その下での「日本企業の反人道的不法行為を前提として請求する慰謝料」として賠償を認めたことだ。これまで日本政府が賠償を拒否してきた最大の根拠が、1910年当時は韓国併合が合法的、国際法で認められたというものであった。河野談話や村山談話でも「心身にわたり癒しがたい傷」「多大の損害と苦痛」など植民地下で起こった個々の事例は認めながらも、韓国併合自体は合法だと言い張ってきた。今回の判決は、国際法違反の植民地支配によって原告らが受けた身体的・精神的苦痛に対する慰謝料は、日韓協定(日本政府が植民地支配が合法であったとしている)に含まれるはずがないので賠償されるべきだというものだ。 個人の賠償請求権の存在が確定した意義も大きい。1965年6月の「日韓基本条約」および「日韓請求権並びに経済協力協定」にある「両締約国及びその国民の間の請求権に関する問題が、・・・完全かつ最終的に解決された」との文言をもって、日本政府やメディアは個人の賠償請求権がないかのようにデマを垂れ流している。だが国家が個人の権利を放棄させることはできない。これは条約締結当時の外務省の解釈でもあり、「請求権解決」は「日韓両国の外交保護権の放棄」に過ぎないとの外務省国会答弁(1991年)、シベリア抑留の個人賠償請求に関して「日ソ共同宣言の請求権の放棄が外交保護権の放棄に過ぎない」とのとの外務省答弁(1991年)、中国の強制連行被害者の個人請求権の存在を認めた最高裁判決(2007)等一貫した日本政府の見解であった。政府は恥ずべきダブルスタンダードをやめるべきだ。 安倍政権も、メディアも韓国バッシングの大合唱だ。「条約の一方的な解釈変更」「国際法に反する」「日韓関係に悪影響」等々。反吐がでるような上から目線だ。すでに述べたように、個人の賠償権存在は、「解釈変更」ではなく、当時からの外務省の一貫した見解だ。それをねじ曲げている。国際法は、植民地支配による非人道的行為に対する罪に対する賠償請求を認めている。韓国文在寅政権は、南北首脳会談と交流を精力的に進め、朝鮮半島の緊張緩和に尽力している。日韓関係に悪影響を及ぼすのは、植民地支配の違法性をいまだに認めず謝罪や賠償を拒否し、侵略戦争や植民地支配の事実さえねじ曲げ、軍拡と戦争挑発、改憲へと向かう安倍政権の側である。 安倍政権はデマプロパガンダをやめ、新日鉄住金による賠償金の支払いを認めるべきだ。 2018年11月7日 |
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