「建国記念の日」反対!「日の丸」常時掲揚・不起立処分を許すな!
「日の丸・君が代」ホットライン2010大阪集会


 2月11日に上記の集会が開催されました。最初に「主張」として、大阪樟蔭女子大学教員・ホットライン大阪事務局の黒田伊彦さんより「神宮皇后伝説と韓国併合・大逆事件100年 〜建国神話と「日の丸・君が代」の天皇主義教育を許すな!〜」というお話がありました。
 神宮皇后とされる人物は日本書紀では卑弥呼と同一人物のように記載されており、彼女が生きた年代を『魏志倭人伝』で卑弥呼が魏に使いを送った年代(239年)に合わせ、3世紀前半の人物だとしています。しかし、神功皇后が服属させたと言われる新羅と百済が歴史に登場するのは4世紀であり、まさに歴史のねつ造がおこなわれていることがわかります。
 大逆事件と韓国併合の時代的関連、その当時の石川啄木の心境、今度のフィールドワーク先である洞部落の話が少し出てきたりもして、興味深く聞けました。

 その次に関西学院大学教員の野田正彰さんの講演『「君が代」処分で喪ったもの〜教師は二度、教師になる〜』がおこなわれました。副題は野田さんの最近の著書の題名です。
 野田さんは、東京都における「日の丸・君が代」の強制に関連した裁判で、これまで二度、懲戒処分が、教師達の精神状態や職業倫理にどのような影響をもたらしているか、精神医学的な見地からの診察意見書を作成してきました。この新しい著書は2008年の裁判において、原告のうち都合の付いた13人について聞き取り調査をして作成した意見書に基づくものです。
 野田さんは出身地である高知で軍国主義の伝統が根強く残っていることや大阪府知事の幼稚さを容赦なく笑い飛ばしながら、若い教師が鬱状態や自殺に追い込まれていく今の教育の現状を厳しく批判しました。

 その他、大阪府・大阪市での「日の丸」常時掲揚に反対する取り組みや東豊中高校「日の丸・君が代」処分撤回裁判高裁判決をめぐっての報告などがありました。
 集会の後、雨が降っていましたが、梅田まで「建国記念の日反対!」「日の丸・君が代の強制を許すな!」というシュプレヒコールをあげながらデモ行進をおこないました。

 この集会の中で私として最も興味深かったのは、野田さんとある青年とのやりとりでした。
 休憩の後の質疑応答の中で一人の青年から、「道徳教育についてどう思いますか」という質問がありました。彼は自分で「この集会参加者の方々と自分の思想は違う」と述べ、「自分自身荒れた学校にいたが、そういう場合やはり道徳は必要だと思う。学校の荒れは日教組が道徳教育をやめさせたからと言われている。」などと半ば自分の考え、半ばネットで飛び交っている右翼的主張を交えながらその質問をした主旨を述べました。
 すると野田さんはその青年に逆に「あなたはどんなことが道徳だと思っているの?」と尋ねました。すると青年は少しとまどった様子で「親を大切にするとか、人を殺すなとか…」と言うと、野田さんは「それだけ?」と述べ、道徳とは共同体を維持するための規律であって、共同体ごとにその有り様は異なっており、むしろ周囲との軋轢を招いてきたこと、その一方で、人類の歴史の中で普遍的道徳の追求がなされてきたことを述べ、さらに、戦後一貫して青少年による凶悪犯罪は減っている事実、「教育勅語」で道徳教育がおこなわれてきたはずの戦前においてすさまじく残酷な親殺しや兄弟殺しが連日のように報道されていたことを丹念に拾い上げた著書があることなどを指摘しました。その上で、「統計上減っているからと言って荒れた学校のことをほっておいていいはずはない」「その現場に入って何が荒れの原因かを具体的につかまなければならない」「そういうことをせずに外から何か抽象的な原因を決めつけてはならない」「子どもたちと日々接して取り組んでいる現場の先生が評価されなければならない」といったことを述べると、青年は「参考になりました。たしかに、ぼく自身も(今の時代で)まともに育っていますものね」と感想を述べていました。

2010年2月12日
リブ・イン・ピース☆9+25 鈴
リブ・イン・ピース☆9+25ブログから転載)