6月2日の朝日新聞は、大阪府の松井知事・日本維新の会幹事長がオスプレイの訓練の一部を大阪で受け入れる意向を固め、八尾空港を候補地としていると報道しました。3日には橋下大阪市長・日本維新の会共同代表も八尾空港へのオスプレイ訓練の受け入れを正式に表明しています。 私たちは、橋下氏の「「慰安婦」は必要」「米軍は風俗利用したらいい」という女性蔑視で人権感覚を欠落させた発言での失態を、八尾空港オスプレイ受け入れ表明で奇をてらい挽回しようとしているのではないかと驚き、怒りを覚えました。これは、「本土」の民間空港をオスプレイの訓練に差し出すもので、言語道断の行為です。府知事は、府民の安全・安心を守る義務があるにももかかわらず、府民を犠牲にする行為は、断じて許されません。 これに対して、すぐさま八尾市長が「地元との調整や市民への事前説明がない中で、発言は誠に遺憾だ」と反対を表明しました。3日の読売新聞は、受け入れの候補地は、関西、大阪(伊丹)、八尾の3空港が想定され、受け入れ可能性について具体的な検討はしていないことを報じました。松井氏は「候補地は国が検討して決めることで、大阪に決まれば受け入れ先を説得するなど努力したい」と話しています。松井氏の発言は、全国の自治体にオスプレイ訓練受け入れを促し、その一環として大阪の受け入れも検討してかまわない、というものでしかないことがわかりました。つまり、松井知事は地元の八尾市や政府の動向など全く関係なく、相談もなく、また真剣に受け入れる準備や覚悟もなく八尾空港に言及したのです。 沖縄の人たちは、“オレンジルートなどすでに「本土」訓練6ルートは決まっており、大阪が訓練受け入れの名乗りを上げたところで、他の「本土」訓練予定地の負担が軽減されるだけで、オスプレイが配備されている沖縄の負担軽減には全くならない”と怒っています。 松井氏の今回の発言は、橋下氏の「米軍風俗利用」と同じく基地被害と米軍犯罪に苦しみ、オスプレイに反対する沖縄の人たち気持ちを逆なでするものです。断じて許せません。6日に松井知事、橋下市長、沖縄の地域政党そうぞうの下地代表も同席し、菅官房長官との会談で表明するとしていますが、絶対にやめるべきです。 八尾空港について言えば、周辺は住宅密集地にあり、学校や図書館など公共施設が隣接しています。八尾空港の面積は普天間基地の1/7(普天間480ha 八尾70ha)で、住宅地上空で、事故を起こしやすい「転換モード」に入らなければならないことは明白で、普天間基地とは比べものにならないほどの危険を伴います。八尾空港は、民間のセスナ機やヘリ、大阪府警や大阪市消防局のヘリも配備され、陸上自衛隊中部方面隊のヘリも配備され、訓練しています。2008年8月には住宅や商店が並ぶ路上に軽飛行機が墜落、2010年10月には、隣接する陸上自衛隊八尾駐屯地にヘリコプターが墜落しています。いずれも犠牲者が出ず大惨事にならなかったのは幸運としか言いようがありません。このような中でオスプレイ訓練受け入れを表明することは、事故の危険を著しく高めることを意味します。 沖縄では昨年10月からのわずか2ヶ月間で、確認されただけでも300回を越えるオスプレイの安全協定違反の飛行が行われたことが報告されています。米軍は違反飛行をやりたい放題で、オスプレイの夜間訓練、騒音、風圧など周辺環境にもたらす被害も甚大です。独自の不安定な機体構造から墜落の危険も高まります。 沖縄では7月21日に予定される参院選以降さらに12機のオスプレイを普天間基地に配備しようとしています。松井知事・橋下市長の発言は、「負担軽減」どころか普天間基地への12機の追加配備をさらにしやすくするものでしかありません。 橋下市長の「米軍風俗利用」発言が飛び出したのも、橋下氏が沖縄に普天間基地の「県内移設」、すなわち辺野古新基地建設受け入れを求めに言ったときのものです。“沖縄に米軍基地を押しつけ続けたら米兵が性犯罪をおこすだろうから風俗を利用させろ”という、人権感覚のかけらもない、沖縄基地押しつけを前提にした侮蔑発言だったのです。 日本維新の会は「沖縄の負担を軽減するためには、「本土」が受け入れるしかない、「本土」が受け入れなければ沖縄に我慢してもらうしかない」と思わせようとしていますが、これは世論操作以外の何ものでもありません。沖縄に米軍基地もオスプレイも必要ありません。沖縄の「負担軽減」のためには、現在普天間基地に配備されているオスプレイ12機の撤去をまず政府に求めるべきです。そして7月以降の12機の追加配備をやめることを求めるべきです。 今回の発言は、大阪府知事の発言としてあまりにも軽く、地に落ちた橋下・日本維新の会の汚名返上のためだけにやっているパフォーマンスにすぎません。沖縄の人たち、大阪の人たちを愚弄するものです。 松井知事は、謝罪し、受け入れ表明を撤回すべきです。 2013年6月4日 <橋下大阪市長への抗議先> 電話:06−6208−7237 FAX:06−6202−6950 E-mail: 大阪市HP→組織一覧→政策企画室(お問合せ等)→総務担当 <松井大阪府知事への抗議先> 電話:06-6910-8001 FAX:06-6944-1010(専用ファックス) E-mail: https://www.shinsei.pref.osaka.jp/ers/input.do?tetudukiId=2012100014 <田中八尾市長への要請先> 電話: 072-924-3809 FAX: 072-924-0032 E-mail: hisyo@city.yao.osaka.jp |
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