「本土」“オレンジルート”でのオスプレイ低空飛行訓練を中止せよ
沖縄普天間飛行場からオスプレイを全撤去せよ

多数の墜落事故をひき起こしてきた欠陥機
 沖縄普天間飛行場に配備された米海兵隊MV22オスプレイ3機が3月6日から8日、海兵隊岩国基地に飛来し、そこを拠点として、四国−紀伊半島に設定されている「オレンジルート」で低空飛行訓練を行おうとしている。昨年10月はじめの普天間飛行場への強行配備以降、沖縄を実験台としてさんざん危険な訓練を繰り返したあげく、その危険な訓練を「本土」にまで拡大しようというのである。 
 オスプレイは極めて危険な兵器だ。垂直離着陸機という、ヘリコプターと航空機の全く違う飛行原理を組み合わせた欠陥構造が危険性の根底にある。開発段階から実戦配備を通じて多数の墜落事故を引き起こし、36人もの乗組員の犠牲者を出してきた。昨年4月のモロッコでの墜落事故、同6月フロリダ州での墜落事故についても原因究明がされず、米軍は「人為的ミス」で済ませ、対策も一切取られていない。 

安全協定も無視して危険な飛行を繰り返す
 とりわけ普天間飛行場周辺の人口密集地で、墜落の危険を高める「ヘリモード」「転換モード」の飛行を制限する安全協定が日米間で交わされたが、全く反故にされている。沖縄県によれば、オスプレイが配備された昨年10月から11月の2ヶ月間だけでも安全協定違反の危険な飛行が318回も行われている。
 今年1月17日にはカリフォルニア州サンディエゴで飛行中のMV22オスプレイから約19gのバケツが落下し、自動車修理店の屋根を突き破り、車6台を損壊させるというすさまじい事故が起こった。これ自体偶然ではない。オスプレイは気圧調整機能がなく後部の視界を確保するため後部ハッチを開けたままで飛行することから、積載物や乗組員が落下する事故が相次いでいる。2011年アフガニスタンでは、乗組員が高度約60メートルの機体裏側から転落し死亡している。普天間飛行場のオスプレイも先日基地内にペットボトルを落下させる事故を起こしている。

オレンジルートは過去にも米軍機墜落事故があった危険な区域
 米軍は当初九州の「イエロールート」での訓練を予定していたが、大分県の陸上自衛隊日出生台演習場での迫撃砲射撃訓練と重なることから急遽「オレンジルート」に変えた。信じがたいことに、住民の命を危険にさらす重大事案を、防衛局は関連自治体にメールや電話一本で通告するのみだったという。
 そもそも何ルートにせよ、複数の地方自治体をまたぐ広大な自然環境・生活地域を米軍が好き勝手に「色」をつけた演習場に仕立て上げ、我が物顔で戦闘機を飛ばしまくること自体が異常ではないか。それに対して日本政府は米軍に抗議どころか説明すら要求できていない。今回の訓練区域変更も米軍の訓練に都合が悪いから変えたに過ぎない。
 今回訓練を行おうとしているオレンジルートは和歌山県の山地と徳島の湾から高知・愛媛県の山地に抜ける飛行ルートで、以前から米軍戦闘機訓練の危険性が再三指摘されてきた区域だ。オレンジルートに位置する高知県土佐郡大川村では、米軍の戦闘機が山間にある小学校や中学校の上を通過しているのが目撃されている。オスプレイは不安定なヘリモードや転換モードで低空飛行訓練を行う可能性があるためさらに危険だ。大川村では1994年10月に高度150メートルで飛行訓練をしていた米軍のA6攻撃機が早明浦ダム湖に墜落しパイロット2名が死亡するという事故が起こっている。この墜落事故現場から500メートルで保育園、さらに500メートルで役所、対岸には小学校、中学校がある。またオレンジルートに隣接する奈良県十津川村では、1987年8月と1991年10月、米軍戦闘機の低空飛行訓練中に、木材運搬用のワイヤーロープが切断される事故が発生している。

安倍首相は沖縄の人々の声に耳を傾け、オスプレイを撤去させよ
 米軍が「本土」での低空飛行訓練にこだわるのは、日本政府が弁明するような「沖縄の負担を減らすため」などでは全くない。朝鮮民主主義人民共和国やアフガニスタンなど途上国への緊急侵攻作戦を想定している。山間部・森林地帯が途上国と地形が似ていることから恰好の演習場とした、極めて侵略的・攻撃的な作戦のための訓練である。低空飛行は敵地でレーダー網をかいくぐるための訓練であるため、高度な技術を要する。米軍は爆音を轟かせながら午後10時までの夜間訓練をする方針だ。日本の航空法に準じ「昼間高度150メートル、夜間高度300メートル」としているが、実際にどんな危険な訓練が行われるのか危険は計り知れない。
 1月27日「NO OSPREY東京集会」では沖縄県全首長が参加し、建白書を差し出して安倍首相に直訴した。建白書は、オスプレイの撤去と今年7月に予定される12機追加配備計画の撤回などを要請した。
 安倍首相はこの建白書に耳を傾け真剣に応じるべきだ。日本政府は、安全協定違反を繰り返す沖縄でのオスプレイ飛行訓練の実態を明らかにすべきだ。住民を危険にさらす普天間飛行場周辺でのオスプレイ低空飛行訓練を中止せよ。オスプレイ「本土」訓練を中止せよ。沖縄に配備されたオスプレイを全撤去せよ。

2013年3月5日
リブ・イン・ピース☆9+25