機体がまっぷたつに割れる重大事故にも拘わらず、米軍も日本政府も「不時着」「着水」などと呼び、頑として「墜落」であることを認めようとしない。ほとんどのマスコミもそのまま報道している。しかし、オスプレイは、固定翼(飛行機)モードで空中で事故を起こし、着陸可能なヘリコプターモードに転換することもできないまま落下し、機体はバラバラになった。紛れもなく「墜落」だ。米軍自身も、この事故が「クラスA」の重大事故であることを認めている。 事故が起きたのは、騒音防止協定で飛行が制限されている午後10時の間近である。このような夜間に空中給油の訓練を行うなど、危険極まりない。上陸作戦は夜間に行われることが多いのでそのための訓練と考えられる。この訓練からも、オスプレイの侵略的役割が明白だ。 また同じ日、この事故とは別に、オスプレイが普天間基地に胴体着陸する事故もあった。米軍は記者から問われるまで、この事実を明らかにしなかった。
米軍は、墜落現場を封鎖し、機体を解体・撤去し、基地に持ち帰った。米軍が規制線を張り、海上保安庁やマスコミも排除し、捜査協力も一切拒否した。県民も全く近づけず、現場を視察に訪れた稲嶺名護市長さえ追い返した。日本の警察と機動隊は、その外側で阻止線を張り米軍に協力した。 日米地位協定によって、何処で「事故」「事件」「犯罪」が起ころうと「治外法権」として米軍に特権が与えられている。たとえ、民家の上にオスプレイが落ちて、その中に人がいたとしても、沖縄の関係者も日本の関係者も近づくことさえ出来ない。米軍が協力要請しない限り、日本の消防車も救急車も救助活動が出来ないのである。そして今回のように日本の警察は、米軍に住民を近づけないように行動するのだ。 米軍の異常に高圧的な対応が、今回の事故の特徴である。在沖縄米軍の最高責任者であるニコルソン四軍調整官は、記者会見や安慶田沖縄県副知事との会談で、謝罪するどころか、「パイロットの素晴らしい行動、沖縄の人々を危険にさらすまいという決断については遺憾に思っていない」「県民はパイロットに感謝すべきである」などと開き直った。副知事に対しては、顔色を変えて机をたたきながら、抗議を受けたことへの怒りを露わにしていたという。しかし、パイロットらのミスか機体の欠陥で事故を起こし、住民の生命を危険にさらしたのは米軍の側であり、盗人猛々しいと言うほかない。安慶田副知事は、「植民地意識丸出しだ」と述べている。 安倍首相は、「重大事故は大変遺憾」と言うのみだ。翁長沖縄県知事が12月15日、首相官邸や防衛省、外務省を訪れ、事故について抗議し、オスプレイの配備撤回を求め、日本政府が当事者意識を持って原因を検証するよう求めたが、真面目に対応しようとしない。沖縄県東村にオスプレイ・パッド(離着陸帯)6か所を建設し、米軍に引き渡す式典を12月22日に名護市で行おうとしていることに対し、知事は自粛を求めたが、無視して開催しようとしている。 さらに安倍政権は、このように危険なオスプレイを、2018年度までに17機自衛隊に導入しようとしている。米海兵隊は、オスプレイを岩国基地、厚木基地、横田基地、関西では滋賀県高島市陸上自衛隊饗庭野演習場などに飛行させ、訓練させている。オスプレイの危険は全国に拡大しようとしている。 12月16日までに、名護市、嘉手納町など沖縄県の2市7町村議会が、抗議決議・意見書を可決している。17日にはオスプレイ墜落事故を糾弾し飛行停止と撤収、海兵隊の撤退を求める緊急集会がキャンプ・シュワブゲート前で行われた。米軍は事故後オスプレイの飛行を停止しているが、19日にも伊江島などから飛行させるという。なし崩し的な飛行再開は許されない。 オスプレイ墜落事故を許さない。米軍と安倍政権は謝罪せよ。 一切のオスプレイの飛行を中止し、沖縄から、日本から撤去せよ。 安倍政権は、12月22日の北部訓練場返還式典を中止し、高江のオスプレイ・パッド建設を断念せよ。辺野古新基地建設工事を再開するな。建設を中止せよ。 自衛隊にオスプレイを導入するな。 2016年12月18日 |
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