秋晴れの強い日差しのなか 会場の沖縄県那覇市の奥武山(おうのやま)公園陸上競技場では12:00から音楽コンサートが開催されていました。最初はまばらだった会場に続々と人々が入場し、14:00のメイン集会の開始時には会場は埋め尽くされ、最終的に10,000人を超える集会となりました。 城南市会議員慶覧長風(ずけらんちようふう)さんの司会で集会は始まりました。主催者代表に続いて、当初予定されていなかった玉城デニー知事が登壇。「なぜ日本政府は沖縄の不条理に正面から向き合おうとしないのか? 不条理が存在する限り沖縄県民はこれからも絶対に怯むことなく行動していく。」と述べました。 辺野古新基地建設の代執行訴訟での判決が控える中、この集会への知事の参加は政治的に重要な意味をもっています。沖縄の人たちの集会にかける熱意が知事を動かしたのです。 国会議員団代表、沖縄県議会議員、オール沖縄会議共同代表、全国基地爆音訴訟原告団の代表の挨拶に続き、沖縄国際大学の前泊博盛(まえどまりひろもり)教授が基調報告を行いました。「台湾有事そして沖縄有事は近いという報道による印象操作をはねのけなければならない。なぜ沖縄が戦場にならなければいけないのか。自分たちの未来は自分たちで奪い取る時代に来ている。」と述べました。 93歳の山根安行さんは、三線(さんしん)と八重山民謡に平和の願いを込めて創作した歌を披露しました。石垣島での戦争マラリアで、母親をなくした体験を語り、「戦争は地獄、絶対に起こしてはいけない」と訴えました。山根さんの訴えに、参加者は聞き入りました。 高里鈴代さん(「オール沖縄」共同代表)は、「沖縄戦の凄まじい経験。だからこそ被害者にも加害者にもなりたくない。辺野古基地や自衛隊の拡大を認めてしまうことは次の戦争に加担することになる。それを明確に拒否するためにノーの声を上げよう」と訴えました。 若者を代表して、平和をテーマにした三線ライブに取り組む桑江優稀乃さんが登壇。桑江さんは医師の国家試験をとったばかりです。桑江さんは「まだ戦争は起こっていない、今なら変えられる」「世代をこえてこの沖縄から日本に、世界に平和の輪を広げていきましょう」とアピールし、三線に乗せて沖縄で馴染み深い『童神(わらびがみ)』を力強く歌い上げました。 続いて 与那国、石垣、宮古、奄美、馬毛島(まげしま)、沖縄市、うるま市など各地から現状報告がありました。 県民の会事務局長の山城博治さんから「運動を未来につなぐため、若者を見守り押し出してほしい」と若者への運動の継承と世代をつないでいくことを訴えました。「与那国、石垣、宮古、奄美、馬毛島の島々では自衛隊が入り孤立感が深まり反対の声を上げるのが難しくなっている。しかし島々は決して孤立していない。平和を守る声は一つだ」と島々との連帯の強化を訴えました。そして「沖縄を孤立させない、戦場にさせないとう全国の声を結集して再びこの国を戦争国家にさせないとう連帯を今日からスタートさせよう」と運動の全国的な連帯を呼びかけました。 この集会の準備過程で、沖縄の魚「ミーバイ」を、絵本『スイミー』のように小魚を集めて作る巨大アート『スイミーバイ』の企画が採用されました。これらの小魚には、一人一人のメッセージが書かれており、戦争につながるすべてのものに結集して立ち向かおうという気持ちが表現されています。 完成された巨大アート「スイミーバイ」がステージの前に移動。全参加者それを囲み、共同代表の具志堅(ぐしけん)隆松(たかまつ)さんの「団結頑張ろう」のコールに合わせて声をあげました。会場は熱気に包まれ、この集会を出発として闘いを継続していく決意が示されました。 集会後、会場を那覇中心街のパレット市民劇場に移して全国交流集会が行われ、東京、埼玉、神奈川、静岡、愛知、奈良、京都、大阪、兵庫、愛媛、大分、鹿児島など全国各地で闘われている運動のリレートークが行われました。200名の参加があり、大分の池田年宏さんから敷戸「大型弾薬庫建設反対集会」への連帯が呼びかけられました。 この集会を通じて、沖縄の運動が全国の反戦運動を牽引するものとなっていることを改めて感じました。私たちを含む全国から結集した運動は、11・23県民大集会の熱気と闘いの決意に触発、刺激されて、各地の運動を強化していくことになります。それぞれの地域、持ち場で若い人たちにも呼びかけていきましょう。平和を願う全国の運動が団結すれば、戦争を防ぐことは可能です。闘いはこれから! そういう思いを強くする集会でした。 2023年11月30日 |
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