玉城デニーさんの勝利を心から祝います 沖縄知事選挙は、辺野古新基地建設反対を掲げた玉城デニー候補が、自公維希推薦の佐喜真淳候補と激闘を繰り広げ、結果的に大差で勝利しました。私たちは玉城さんの勝利を祝い、辺野古基地建設反対を支持した沖縄県民の選択に心から敬意を表します。 選挙結果は、玉城デニー39万余(得票率55%)、佐喜真淳31万余(得票率44%)で8万票もの差がつきました。玉城さんの得票数は前回の翁長さんを上回りました。辺野古建設強行の政府与党と維新、希望が前回の知事選挙以上に組織の総力をあげ、自民党が菅、二階、石破、竹下、小泉氏ら有力幹部を総動員し、また投票用紙の写メ提出を求めるなど会社ぐるみ選挙を進め、さらに創価学会員を5千人も本土から派遣するなど文字通り総力戦で何でもありで仕掛けてくる選挙に、玉城デニーさんとそれを支える草の根市民たちと辺野古新基地反対派はせり勝ったのです。本当に頭の下がる思いです。 選挙の争点は辺野古新基地反対かどうかでした。佐喜眞陣営が「辺野古」を一切口にせず普天間返還だけを主張してごまかし、争点を経済活性化にそらせようと「携帯費用4割引き」まで持ち出して必死になる中でも、投票者の43%は基地建設を争点と考えました。翁長知事の遺志を引き継ぐかどうかがで投票したのです。争点を逸らそうとした政府・与党の思惑は完全に失敗しました。 この選挙は辺野古に基地を作らせないとの信念を貫いた故翁長知事の弔い合戦でした。自らの命が尽きるまで自分の信念に忠実で県民への公約を果たそうとした翁長知事の誠実な人柄が人々の心を励まし続けました。玉城デニーさんにバトンを託したのは翁長知事自身の遺言でした。玉城さんを支えたのは翁長県知事を支えた、保革の枠を超えたオール沖縄でした。力を合わせての訴えが県民の心を動かしたのです。立憲、共産、社民、社大などの支持者がこぞって支持しただけではありません。有権者の4割以上を占める「支持政党なし」層の7割以上が玉城デニーさんに投票しました。自民党支持者の2割、公明党支持者の2割5分の人たちが上からの指示に反して投票したのです。開票時の玉城事務所には創価学会の3色旗も振られていました。 沖縄の人たちは、翁長知事に続いて2代にわたって、しかも翁長知事の時よりも多くの人々が玉城デニーさんに投票し、「辺野古基地建設反対」の意思を表したのです。「もうこれ以上基地はいらない」。これが沖縄の人々の心を捉えているのです。安倍政権は今回の選挙で明確に示された「辺野古新基地反対」を受け入れなければなりません。 安倍政権に痛打を与えた。憲法改悪阻止に闘いを進めよう 沖縄知事選挙の結果は9月20日に3選を果たしたばかりの安倍首相に最初の強烈な打撃となりました。20日に安倍首相は「70年以上一度も実現してこなかった憲法改正にいよいよ挑戦し、・・・新しい国づくりに挑んでいく」と改憲と戦争国家への野望を示しました。しかし、「辺野古新基地建設」は日米軍事同盟強化、戦争できる国づくりのキーストーンです。それを沖縄県民は再び拒否したのです。さらに、沖縄の実例は野党共闘への流れを強め、来年の参議院選挙での与党の3分の2確保の見通しを一層暗いものにしました。安倍改憲への前に立ちはだかったのです。 辺野古建設に暗雲がさし、県民には希望が見えます。翁長知事の撤回決定は継続しています。政府は、県民を刺激することを恐れて知事選挙、さらには故翁長知事の県民葬まで、すぐには司法手続きに入れないでいます。たとえ司法を抱き込んで撤回を無効化しても、超軟弱基盤、断層などで計画変更は避けがたく、県との協議が不可避です。県知事が反対すればその各段階で進まなくなります。だから政府・与党は賛成してくれる知事を何が何でも勝たせたかったのですが、それは完全に失敗しました。 米との関係は厳しさを増しています。安倍首相はトランプと「お友達」ですが、日米間では貿易摩擦が強まっています。2国間協議に応じざるを得ない状況になっています。対米公約である辺野古建設が進まなければ日米安保にすきま風が吹くことになります。 安倍首相は秋の臨時国会に憲法改正「自民党案」を提出し、議論を強行に進めようとしています。しかし、総裁選挙で自民の中に改正案と議論のテンポについて割れがあることが明らかになり、さらに沖縄選挙に全面協力した公明党に一層気をつかう必要が強まりました。改憲そのものに及び腰の公明党主導部は、今回現れた内部からの大衆的反乱もあって改憲そのものを避けようとするでしょうまた、沖縄知事選挙は辺野古などの粘り強い大衆的な闘いを背景にした野党連合の流れは勝てることを示しました。安倍の考える急速な改憲─20年までの改憲は一層困難にならざるを得ないでしょう。 沖縄はもうこれ以上の基地には我慢ができない 玉城さんの勝利は県民の意思が「辺野古基地建設反対」であることを再度明確にしました。玉城さんが明確にしているように、支持層の保守を含めての合意は「もうこれ以上の米軍基地はいらない」「そんな扱いをされるいわれはない」ということです。 翁長知事の遺志は、沖縄県民は中央から酷い扱いをされている、そんないわれはないということでした。面積で0.6%の沖縄県に米軍基地の74%を押しつけられている。沖縄は特別な金を貰っていると宣伝しながら、実際には他県と全く違いがなく、特別の支援などない。何度も住民が犯罪被害にあいながら、米軍は国内法に縛られないという売国的な地位協定は許されない。全ての負担を沖縄に押しつけて、もう我慢ができない。保守も革新もない、沖縄県民の声(アイデンティティ)だと翁長知事は言ったのです。いまの状態は沖縄に対する差別だという声を上げられるようにしたのです。 沖縄は日本で最も貧しい状態に押さえ込まれています。子どもの貧困は深刻です。翁長知事は、米軍基地依存、軍用地主で金持ちと言われるがウソだ。基地を返還させればもっと経済活性化ができる。米軍基地は観光や経済活性化の障害だと事実で示しました。沖縄の貧しい状態は日本政府が押しつけてきた差別であることを明らかにしたのです。 安倍政権は力づくで沖縄県と県民を押さえ込み、辺野古の新基地を押しつけようとしてきました。それが敗北したのです。 安倍打倒へ──今度は本土の番です 辺野古建設阻止の闘いは反安倍闘争の先頭に立ちました。辺野古新基地は安倍が追求する日米安保強化、対中・対北朝鮮戦争準備、軍拡と軍事費膨張、そして戦争できる国作りと憲法改悪のキーストーンです。沖縄の闘いはこれに大きな打撃を与えました。安倍政権はこれまで以上に必死になって辺野古建設を推し進めようとするでしょう。だから、今度は辺野古阻止のため、本土が沖縄の闘いに呼応して闘う必要があります。辺野古新基地建設阻止、普天間無条件返還に連帯すると共に、安倍政治、戦争国家作り反対の闘いを強めなければなりません。 安倍首相は3選後に改憲への野望を語り、臨時国会への自民党改憲案提出をめざしています。しかし、沖縄の闘いは野党の反対に勢いをつけました。自民党内の異論、公明党の消極姿勢、参院選挙敗北の可能性等々、改憲を阻止する現実的な可能性が出てきました。あらゆる運動を反安倍、改憲阻止に結びつけて安倍打倒まで進みましょう。 改憲は戦争できる国作りのためです。すでにさまざまな戦争準備がはじまっています。最も危険なのが米軍と一体になっての対中国戦争です。辺野古をはじめ南西諸島の全体の要塞化、南シナ海まで出動しての軍事演習。これらは「沖縄の人々の安全のため」のものではありません。「本土の安全」のためでもありません。中国と戦争をする米軍を守る盾となるため、捨て石として沖縄と南西諸島を考えているのです。軍備を増強すればするほど、人々の命が危険にさらされます。 朝鮮半島では平和と安定化のための努力が続けられています。南北両国の関係改善、社会主義中国とロシア、韓国の協力で朝鮮戦争に幕を下ろし、戦争の危険をなくす歴史的な過程が進んでいます。安倍政権の戦争国家作りはこれに真っ向から反対し、北東アジアとアジア全体に政治的不安定と戦争の危険を高めるものです。許せません。 日本の戦争準備は新しい段階に入っています。今年初めに敵地攻撃能力獲得のための長距離巡航ミサイル導入を決めました。6000億円以上をかけてイージス・アショアの導入。南西諸島のミサイル要塞化。南シナ海での対潜水艦演習実施。カナダ、オーストラリア、ニュージーランドへの軍事基地提供と共同作戦。多国籍軍の一種である停戦監視軍への初の派兵。戦争法の下で「可能」になった米軍と方を並べての対中国、対北攻撃を実行できる装備、作戦能力獲得に突き進み、対外で戦争を遂行する危険性はますます高まっています。これらを全面的に組み込む新防衛大綱策定、軍事予算の大幅増に反対しなければなりません。 安倍政権との全面的な対決の闘いなしには命は守れません。戦争の危険だけではないのです。軍備の大規模購入、しかも米製高額兵器大量導入。それは社会保障や医療の切り捨て、生活保護切り捨てなど弱者切り捨てと表裏一体の関係です。軍事費を大幅に削減しなくては生活は守れません。 辺野古新基地阻止、沖縄との連帯を一層強めましょう。そしてこの秋の臨時国会から様々な安倍に対する大衆闘争を強め、安倍の改憲、軍拡、人民生活無視、弱者切り捨てに反対する大きな闘争を作り上げ、安倍政権を打倒しましょう。 2018年10月3日 |
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