午前10時半から観閲式が開始された。参加人員は陸上隊員1000人、戦車・装甲車など戦闘車両140台。今回初めて陸上・航空・海上自衛隊ヘリコプター19機の共同飛行など、陸海空自衛隊の共同行動がおこなわれた。そのことが大変特徴的であった。 陸上自衛隊は今年高知県香南市(こうなんし)に新部隊(第14旅団)・基地・広大な演習場を作っている。その新部隊も観閲式に参加した。私は、なぜこの時期に基地も部隊も新設するのか、時代への逆行ではないのかと強く感じた。 また、滋賀県あいばの市の戦車部隊に新設された偵察隊もこの式典に参加した。無人の偵察機で偵察すると場内で紹介された。私は、ラジコンのような小さなものではあれ、米のアフガン戦争でも使用された無人の偵察機をも装備していることに驚いた。そこまでやっているのだ。 観閲式挨拶では、大阪府民を代表すると称した橋下知事が「国を守る自衛隊に敬意を表する」と発言した。私は、自衛隊のイラク派兵や市民運動への監視活動、辺野古への掃海艦出動など、自衛隊は国民の生命・財産を守るものではないと強い憤りを感じた。続いて、大阪防衛協力会の井上礼之(まさゆき)会長(ダイキン工業会長)が「日米の軍事協力確保に信頼を寄せている」と発言。挨拶の中で、日米軍事協力を持ち出したのは、彼のみであった。ダイキン工業はエアコンで有名だが、もう一面では銃弾や砲弾などを製造するメーカーで、住友グループとのつながりがある。彼は、自衛隊が銃弾を撃ちまくれば撃ちまくるほど儲かる死の商人の1人である。 ただ観閲式には、防衛省大臣・政務官は参加せず、北澤防衛相の祝電披露のみであった。自公政権時代は必ず政務官クラスが来ていたのに、観閲式の取り扱い方の変化を感じた。 昨年は女性隊員はまばらにしか見えなかったのに、今回は女性隊員ばかりで隊列を組む集団があったことにも驚いた。
自衛隊員のフォーメーション(隊形)がイラク派兵を経験し、こなれたものになっていると感じた。4人一組の銃口の構え方が米軍のと一緒なのは当然であるが、いったい銃口はどこに向けられているのか、イラク戦争で米軍がおこなったのと同じように人民・国民にではないかと強く感じさせられるものであった。 最後に、楽団が「1812年」(フランスとロシアの戦争を描いた曲)を演奏した。そして曲の終わりに155ミリ榴弾砲の空砲を鳴らしたのである。筒から火の粉と煙が吹き出し、鼓膜が破けそうな地鳴りがした。これは今回初めてで、付近の住民の許しも取ったと自衛隊は言っていた。10発以上発射したが、一体どのくらいの金がかかっているのか、想像を絶するものであった。 一昨年、昨年と比べて、今回は規模や参加人員も多く、トラックに搭載された大型テレビで映し出していることも初めてだった。全体として、イラク派兵後、自衛隊がその存在感をますます増しており、このような地方規模の式典にも多額の予算がつぎ込まれるようになったことを感じた。 2010年11月6日 |