沖縄県の自粛要請を無視して、3月11日 米海軍のイージスミサイル駆逐艦「ラファエル・ペラルタ」が石垣港に入港した。これまでの米艦船の寄港は機雷除去などを担う掃海艦だったが、今回のミサイル駆逐艦は文字通り「戦闘艦艇」だ。石垣港は民間であるだけでなく、水深が浅く大型艦艇は入港できない。石垣市は、駆逐艦の喫水(船底から水面までの長さ)が深く、「安全を確保できない」として、石垣港へ「入港不可」とした。その後、米側は沖合停泊に計画を変更してきた。わざわざ沖合停泊の形で入港したのは、米軍使用の実績作りのためで、「有事」での自由な利用のための布石に他ならない。同艦は2月にも小樽港に入港しており、昨年は苫小牧に入港し、使用実績を広げている。2月には大阪港に強襲揚陸艦アメリカを入港させたが、同じ軍事利用の実績拡大のためだ。19日には石垣港、那覇空港について「有事」に備えて、自衛隊・米軍が平時から民間の港や空港を利用できるようにする「特定利用空港・港湾」に政府が3月中に指定する方針であることが分かった。「ペラルタ」入港はこれらの動きの一環であることは明らかだ。 全日本港湾労働組合(全港湾)沖縄地方本部の 八重山部会の組合員約50人は、石垣港で予告していたストライキに入った。ストライキに合わせ市民らは寄港と上陸中止を求めて抗議行動を行った。 全港湾沖縄地本の山口執行委員長は11日、那覇市内で沖縄港運協会と共同で会見し、「われわれの職場が軍事利用されることを懸念している」と述べた。組合と港運協会が石垣市港湾課に話し合いを求めたが見通しが立たず、予定通り石垣港でのストを決行した。13日の出港時までストライキが打ち抜かれた。那覇港でのストライキは見送られた。那覇港のスト解除については港運協会と「港湾労働者の安心・安全の確保は労使共通の願い」との認識を共有できたことを理由に挙げた。 中山義隆 石垣市長は、岸壁の使用申請を書類不備でいったん「保留」としたが、3月10日に港湾使用の申請を許可し「拒否する理由はない」として寄港を容認した。ストライキを実施ついて「住民生活への影響を懸念している」と述べた。石垣市議会(我喜屋隆次議長)は12日、石垣港でストライキを実施している全日本港湾労働組合(全港湾)沖縄地方本部に対し、違法な政治ストだとして即時解除を求める要請決議を賛成多数(賛成13、反対8)で可決した。 3月7日林芳正官房長官は7日の記者会見で米軍が日本国内の港に出入りすることは日米地位協定で認められていると強調した上で「日米安全保障条約を達成するために重要だ」 だとして容認する考えを示していた。政府は石垣港を「特定港湾」に指定し、民間港湾の自衛隊の軍事利用を進めるだけでなく、優先的に補助金をつける対象として地元の買い取りを狙っている。しかし、この制度が自衛隊だけでなく米軍も利用も前提にしていることは明らかだ。そのためにミサイル駆逐艦の入港をあえて強行したものだ。戦争が現実味を帯びる事態が進行している。 対中戦争に向けた南西諸島の軍事要塞化、その下での民間港、民間空港の軍事利用と軍事基地化に断固反対しよう。労働者と市民の安全を守るための全港湾のストライキを断固支持する。 2024年3月21日 NOW |
|