1月31日午前、神奈川県の大和市生涯学習センターで「今 岩国に何が起こっているのか『厚木』と『岩国』を結ぶ集会」が行われた。主催は、厚木基地爆音防止期成同盟(厚木爆同)、第四次厚木爆音訴訟団、基地撤去をめざす県央共闘会議の三者。メインは前岩国市長井原勝介氏の講演だ。民意をとことん大事にし市政に反映させようとして闘った元市長が、名護市長選と普天間問題に何を言うのが聞きたかった。私は前日「チェンジ!日米関係 普天間基地はいらない 辺野古・新基地建設を許さない1.30全国集会」に参加し100人を超える沖縄代表のエネルギーに圧倒されながら、この日の集会に参加した。井原氏は、民意を踏みにじる国や自治体を厳しく批判し、市民が行動し民意で政治を変えていく必要性を熱く語った。 集会では先ず、主催者として、厚木爆同の鈴木保代表が「岩国で何が起こっているのか。厚木から空母艦載機59機が岩国に移駐しようとしている。訴訟団が4つでき結びつこうとしている。気持ちは愉快に運動では厳しくいきたい」と挨拶した。 続いて、DVDで、「岩国の選択」が上映された。岩国で06年3月12日に行われた住民投票。投票率が50%に達しないと無効になるというものだった。井原市長も懸命に投票を呼びかけた。賛成でも反対でもとにかく投票してくださいと。また住民投票に反対する会は宣伝カーでボイコットを呼びかけている。市民は「住民投票に失敗したら笑いものになる」と語り、投票を呼びかけて、必死に汗を流した。投票終了後、投票率58.68%で、住民投票成立、開票で反対43000票、賛成5300票で、反対の民意が示された。国,防衛省は市庁舎への交付金を凍結する。07年12月1日錦帯橋の河原で、国の仕打ちは許さんぞ!集会が開催され、井原市長は「12/1が日本の新しい時代が開かれた日にしたい」と訴えた。参加者が「怒」のプラカードで意思表示した。などなどの内容だった。 井原さんは、今岩国に何が起こっているのか。4つの裁判にふれてと題して講演した。内容は以下のような趣旨だった。 (1)1/30集会にも参加し、発言した。その日、東京で「岩国に吹いた風」の出版記念講演を開いてもらった。表面的なことしかマスコミは書かない。本当のことは隠れている。住みよい街をどう作るのか。どこにも共通する問題だ。簡単な資料を作り、説明する。 (2)民意は何かについて話したい。今回名護の民意が示されたから、県外、国外だと素直に思った。外交・安保政策は変わってきている。社民党福島党首は政権が変わったから検討しているという。社民党は頑張っている。名護はあり得ないと思っている。今回の市長選には防衛省も出てきて、大変なことだったようだ。選挙は民意を正確に反映していない。選挙は欠陥が多い。名護では市民による「選挙監視団」ができ、企業に対しても申し入れ、フリーダイヤルを設置した。私はそれを勉強したい。住民投票は個別政策を選べるが選挙は完全ではない。名護は13年前に民意は反映されていた。選挙では民意をねじ曲げる人が勝っていた。それは結果でしかない。 (3)岩国でも民意は完全にねじ曲げられた。私は民意を尊重した。私は市長の責任を果たした。県は尊重する気がない。アメとムチの構図は変わっていない。露骨な圧力をかけてきた。1部の人が、どういうことをするのか見せてくれた。圧力、デマの内幕を「岩国に吹いた風」で書いた。 (4)岩国の市、山口県は保守的。未だに取り残されている。山口県の4選挙区のうち3区が自民党。米軍基地の事実を隠して、進めていこうとすることが、私は許せない。山口県は、市民、県民をだまして、基地を進めている。背信行為を続けている。こんなことが全国どこにでもある。 国は様々な裏交渉を持ち出してくる。秘密はあってはならない。秘密交渉は一杯ある。本音の交渉をするためには外交機密はある。市民の生活を守るためにもある。交渉の中で、議会に承認を求めている。これを秘密にして決めるのは首相にも許されない。核持ち込みの密約は許されない。秘密交渉は許されない。 (5)防衛施設局の参事官が広島のホテルまで出てこいと言ってきた。また山口県の副知事が徳山のホテルまで出てこいと言ってきた。私は行った。役人は「容認ではなく、やむを得ないと言ってくれ」、「国防は国の専管事項だから、事業を円滑に進めるために協力する」と言えと迫ってきた。名護でも元市長が反対と言いながら、官邸に呼ばれて、やむを得ないということがあった。国の圧力が強まってくると住民の意見が揺れていく。だんだん厳しい状況になった。選挙で負けても、民意は変わっていない。基地容認派が勝ったら、民意が示されたと言ってくる。草の根ネットワーク・岩国は、09年秋に市民に意識調査をした。外部の調査機関に委託した。移駐反対とどちらかと言えば反対が7割を占めた。この民意を生かすように、政治が頑張らないといけない。住民と票の価値を落としてはけない。 (6)今の状況を詳しく話す。岩国は偽りの政治が続いている。現市長は「事実上容認していない」、「安全・安心対策をしている」と言っている。全くしていない。国は、「米側に伝える」、「今後検討する」と回答するが、全くやらない。唯一やっていることは、広島防衛局と米軍司令官が繁華街をパトロールすることだけだ。釣った魚には餌をやらないという状態だ。米軍住宅7000人分の住宅は、沖合移設に中に造ればいいじゃないか。基地内にはゴルフ場や野球場、さらに少年野球場までもある。愛宕山から土砂運んで、良い宅地ができたのに、米軍住宅にすると欺された。ここは東京ドーム20個分の広さがある。借金250億円も残っている。1つも売らないで、米軍住宅にしようとしている。最初は国に売るとか、防衛省とは言っていなかった。ごまかしの宣伝が始まった。本当の赤字ではない。1つも売っていないので、250億円ではない。山口県副知事が来て、国に売るから3つの内から1つ選べと言った。・県が2/3売るから、おまえが1/3売れ、・県が全部売る、・おまえが全部売れというものだった。住宅開発は国が認可を出す。ここは10年間も大工事された。米軍住宅建設は、都市計画の認可を取り消すことになるが、普通はできない。市・県・国は1年間かけて、説明会を開きやっていこうとしている。現市長は「用途について防衛省からの返事はない」と言っている。都市計画法上全くおかしい。山口県の都市計画審議委員会でもめた。廃止するなら、どうするのか示されていないので廃止はできない、とても認められないという審議委員の女性弁護士もいた。その審議委員会を多数決で通した。国土交通省も廃止を許可した。「瑕疵(かし)」という言葉がある。キズで無効になると言う意味だ。行政は止められない。厚木の爆音訴訟は50年目を迎えている。1部の利益だけを考えて、ひどい政治をしてくる。岩国では4つの裁判が起こった。岩国市長に対して、情報公開を訴訟した。情報公開法では、情報があると全面拒否できない。政権交代したからチャンスなんだ。岩国はそのままやろうとしている。防衛費で275億円、その内愛宕山買い取り費199億円の予算をつけた。我々が行動して、よいものに変えていくことが大事だ。地元の政治を変えること、圧力をかけていくこと、闘いを始めないといけない。基地を押しつけあってもしょうがない。 質疑 (質問)民意と政治の関係で、官僚がガンになっていると思うのですが? (答え)中央官僚は摩擦を避けたがり、俺が防衛・外交をやっているという意識が強い。基地検討委員会も自分たちで決めるというもの。民意が抜け落ちているから、うまくいかない。民意を生かさないから外交もうまくいかない。情報公開して、最初は混乱するかもしれないが、議論を尽くして、答えを出すべきだ。 (質問)5月に向けてどう闘うべきなのか? (答え)宜野湾市伊波市長と共同声明を出した。5月は期限ではない。無理矢理決めてしまっては,またもめていくだろう。もっと根本的な議論をしてほしい。基地撤去だけを言っていてもコンセンサスは得にくいだろう。根本論だけやろうとしても5月までには決められない。負担を受けているところのことを国全体で考えること。ある案がでてきたら、情報公開して、みんなが納得する案を作らないといけない。役人の作文でやられたらたまらない。我々は生活がかかっている。人権がかかっている。国民を巻き込んで展望を出さないといけない。 2010年2月8日 |