10・5日本軍「慰安婦」問題解決のための講演集会 アピール

 初めて実名で名乗りをあげた日本軍「慰安婦」被害者金学順さんらによる提訴からでも実に17年が経ちましたが、いまだ解決を見ていません。彼女らは、悲劇を二度と繰り返してはならないという強い思いで、日本政府が歴史的事実を認め、公式謝罪し、そして国家賠償を行うことを求めてきました。解決の一歩を、彼女たちが生きているうちに踏み出さねばなりません。
 日本軍「慰安婦」問題の真の解決を求める運動は、日本の戦争責任、加害責任を鋭く問うものであると同時に、世界中の戦争と戦時性暴力根絶のための闘いに連帯することでもあります。昨年7月のアメリカ下院を皮切りに、カナダ、オランダ、EU各議会で採択された決議・動議にも見るように、「慰安婦」問題は、過去の問題ではなく現在の問題として注視されているのです。
 過去の日本の戦争責任を追及することは、新たな戦争準備に反対することでもあります。麻生首相は就任するなりいきなり新テロ特措法延長による米侵略戦争と軍事介入への協力・加担を明言し、集団的自衛権行使のための憲法解釈見直し発言など露骨な軍国主義強化の姿勢を打ち出しています。「創氏改名は朝鮮人が望んだ」「天皇は靖国神社に参拝すべき」等々植民地と侵略戦争正当化の暴言・差別発言を繰り返してきた根っからの右翼国家主義政治家を政権の座に居座らせておくわけにはいきません。麻生政権は、低支持率と閣僚の辞任で出だしから大きくつまづいており、安倍、福田と続いた政権投げ出し、そこから生まれた政権の混乱が、もはや個人の資質や偶発的出来ごとではないことは明らかです。長期に続く自公政権の腐敗と閉塞状態をこの上なく表しています。戦後63年にも渡って戦争責任を放置し、対米軍事協力最優先、生活切り捨てにひた走る自公政権に、厳しい要求を突きつけていくべき時です。
 私たちは、日本の反動化・軍国主義強化とあらゆる戦争準備の策動に反対し、日本軍「慰安婦」問題をはじめとする、放置されてきた戦争責任と真摯に向き合うことを要求します。被害者の切なる願いに応えて真相を究明し真実を伝える歴史教育を確立し実行すること、歴史を歪曲し被害者を中傷するいかなる暴言・妄言も政府の責任において公然と批判し退けることを、日本政府に要求します。
 関西では、6月21日の「つながるコンサート」、8月10日の「関西フォーラム」をはじめ、「慰安婦」問題解決のためのかつてない動きがあります。その転機となったひとつが昨年10月に開催された「オレの心は負けてない」の映画上映会でした。これらの流れをさらに引きついて行きましょう。
宝塚市議会、東京・清瀬市議会に続いて、各地方議会でこの問題をとりあげ政府に解決を迫る決議や要望書を採択する運動が広がり始めています。これらを支持し、積極的に協力していきましょう。
 韓国ソウルでは「戦争と女性の人権博物館」建設に向けた準備が進められています。日本軍「慰安婦」問題とその闘いを記録し記憶にとどめ、女性の人権と尊厳が守られる世界、戦争と性暴力のない世界をめざす新たな行動拠点として、この博物館建設を実現するために協力していきましょう。
 日本軍「慰安婦」問題の真の解決をめざして、あらゆるところから取り組みを始めましょう。

2008年10月5日
10.5 日本軍「慰安婦」問題解決のための講演集会 参加者一同