臓器移植法は、昨年7月17日、「脳死」を人の死とし、0歳以上の小児からでも、本人の意思がなくても、家族の同意で「脳死」判定と臓器摘出できる内容に大きくかわったのです。今年1月17日には、平等の精神にも反する「親族への優先提供」が施行されました。 厚生労働省は、4月の臓器移植委員会で、7月17日施行に向け、0歳以上の小児も、脳死判定の対象とする法律施行規則と、脳死判定基準のガイドライン等を公開しました。 5月7日から6月5日まで、パブリックコメントを募集し、施行に向けての準備を進めています。 私たちは、今までの法改悪反対の運動を引き続き粘り強く広げていきましょう。 特に小児は回復力が強いのです。何が何でも小児から臓器を摘出し移植をする、そのために「脳死判定」ができるという結論ありきの厚労省の進め方を批判していきましょう。 阪大病院「脳死」と臓器移植の問題を考える会 阪大「脳死」と臓器移植の問題を考える会では、こんな意見出しました。 私たちは、法の改悪そのものに反対してきました。現在もその姿勢は変わりません。 「脳死判定」はすべきでないと考えます。「脳死判定」は救命治療するためには必要のない行為です。「脳死」を人の死とした法律は、改正すべきと考えます。 (1)「小児法的脳死判定基準に関する検討」で、1999年、2006年の研究を検討したと報告がありますが、判定後、自発呼吸や脳波が出現したりした事例がありました。それらについての、検証報告が全くなされていません。また、それ以降の新たな検証や調査も行われず、竹内基準を踏襲し、さらに6歳未満も判定ができるとした根拠は全く示されておらず、納得がいきません。 医学的と表現しているだけで、国民を欺くものです。 (2)「長期脳死」については、「小児法的脳死判定基準に関する検討」で、「適切な診断根拠に基づく"長期脳死"とされたいずれの例でも脳死判定後での人工呼吸器からの離脱や意識の回復は認められておらず、結局は脳死状態が持続し心停止にいたっている。」とし、「長期脳死」も臓器提供の対象としたことは許せません。 1回目の判定から24時間たてば、臓器摘出されるとは、あまりにも恐ろしい。何百日間も生き続けている人たちの、生命を奪うことになるのではないでしょうか。ただ呼吸器につながれているだけ、生きていても仕方がない等、差別的にまわりから言われていますが、この人たちはみな、重い障害をもっているが精一杯生きているのです。この人たちから、臓器を摘出する行為は許されません。 (3)脳機能が回復しない、いずれは心停止になるという論理は、あまりに短絡的すぎて、現在の医学の進歩や、脳生理学的見地からも全く批判されるべき内容です。 (4)小児は、回復力も強い。判定基準の無呼吸テストは、負担を強いる検査で、治療をするための検査ではありません。小児の「脳死判定」はすべきではないと考えます。 (5)「人の死」は、誰もが納得できなければいけません。「人の死」を脳死判定という、密室でしか行われない医療行為のみで、決めること自体、納得がいきません。そして、さらに、法律で制定するということは、あまりにひどいことです。 |