■殺すのも殺されるのもイヤ 安倍首相は7月1日、憲法を蹂躙集団的自衛権容認の閣議決定を強行しました。首相は「米と対等の関係になるために、米兵同様、日本の自衛隊も血を流すべきだ」と主張します。安倍首相は、それこそが集団的自衛権の目的だとさえ言っています(『この国を守る決意』安倍晋三、岡崎久彦著)。戦後日本の自衛隊が一度も戦争・戦闘行為で殺し殺されていないという一線を超えようとしているのです。 米軍が「日本の防衛」のために血を流したことなど一度もありません。血を流しているのは、米軍の侵略戦争の結果です。米国が引き起こした侵略戦争に協力して日本の若者が血を流すことなど絶対に反対です。逆に、米軍が日本に駐留することで多くの血が流れています(3ページ参照)。 ■米国の侵略戦争で多くの人が犠牲に 集団的自衛権とはアフガニスタン戦争、イラク戦争のような侵略戦争に自衛隊を派遣し米軍と一体となって闘うことです。アフガニスタンでの市民の犠牲者は約2万人、イラクでは100万人にも及ぶと言われています。兵隊を派遣した英国、ドイツ、カナダ等も多くの犠牲者を出しています。 日本は憲法9条があるため、戦闘行為には参加しませんでしたが、アフガニスタン戦争には「給油」、イラク戦争には「給水」「復興支援」で協力したため、侵略戦争に加担したことは紛れもない事実です。またベトナム戦争も含め、在日米軍基地は出撃基地となり、侵略戦争に加担した事実は重大です。しかし集団的自衛権が容認されてしまうと、戦闘行為に加担し、日本の若者が殺し殺されることになります。
敗戦から69年 今こそ戦争の惨禍を胸に刻んで
1931年の満州事変から1945年の敗戦まで15年も続いたアジア・太平洋戦争で、日本は、侵略し植民地化し占領した中国や朝鮮半島やアジア太平洋諸国全域で、2000万人とも3000万人とも言われる民衆を殺しました。私たちはこの重大な事実から目を背けることはできません。日本の国民に対しても、兵隊と一般市民を含めて310万人以上の犠牲者を生み出しました。
さらに41年12月8日の対米開戦以降、南方戦線──ルソン、レイテ、ガダルカナル、硫黄島、ベリリュー島、ニューギニアなどアジア太平洋諸島への侵略では、補給も武器も断たれ、ひたすら飢餓や病気と闘い、人間性の最後のかけらまで奪い去ってしまう狂気の世界がありました。
そして銃後では国家総動員体制のもとで、日常生活・文化が破壊され、ものがいえなくなり、他民族蔑視があおられ、兵隊だけでなくすべてのものが戦争のために動員させられたのです。 天皇が敗戦受け入れを最後まで渋ったため、東京大空襲や大阪大空襲、沖縄戦、8月6日ヒロシマ、8月9日ナガサキの原爆投下などで、おびただしい数の死傷者、被爆者を生み出しました。 憲法9条を守らせよう 侵略戦争への反省から生まれた憲法9条
第九条 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。 2 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。 憲法9条は、侵略戦争をひき起こした日本が「二度と過ちは繰り返しません」と、世界の人々、中でも甚大な被害を与えたアジアの人々に対して行った約束です。日本が受諾したポツダム宣言には「日本軍の武装解除」「民主主義の推進」などが義務づけられています。決して9条は特異なものではありません。第二次大戦の未曾有の犠牲を前に戦争放棄という崇高な理想をいち早くとりいれたのです。政府は、そのことをもっと真剣に考え、誇り守るべきです。 集団的自衛権行使で「海外に自衛隊を派遣できる」「戦場でも武器使用できる」「米軍に武器弾薬を補給できる」などを解禁することは、「日本は二度と戦争をしない」という約束を破るものとして、被害を受けた中国や韓国、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)などアジアの人々が危機感を募らせています。 安倍首相は、国内外の反対を押し切り、戦死者を顕彰する靖国神社に参拝し、政府要人も「侵略戦争ではなかった」などと日本が行った過ちを認めようとしません。そのような国が集団的自衛権行使に踏み出すことがどれだけの脅威をあたえようとしているかを考えなければなりません。 中国海軍や北朝鮮のミサイルの脅威ではなく、侵略戦争を行った日本の脅威がまず問題なのです。
戦争を煽る集団的自衛権閣議決定の撤回を ■気にくわない国を適当に理由をつけてみんなでやっつける権利!?
2003年に始まったイラク戦争は、イラクから米国が攻撃を受けたわけでもないのに、「フセインが大量破壊兵器を持っている」という理由だけでブッシュ大統領は英国などを巻き込んで攻撃を加えました。当時の小泉首相は真っ先に支持を表明しました。しかし大量破壊兵器はウソでした。でっち上げの戦争で国土は破壊され、大統領は処刑され、100万人もの人々が殺され、国家が大混乱に陥っているのです。これはもう“気にくわない国を適当に理由をつけてみんなでやっつける権利”でしかありません。安倍首相はこんな戦争に協力して自衛隊を派遣し若者に血を流せと言っているのです。 ■「グレーゾン事態」は戦争挑発 政府は、本来警察活動として対応すべき事例に自衛隊を出動させるという「グレーゾーン事態」を導入しようとしていますが、いきなり自衛隊が出て行くことになれば、緊張が高まり、軍事衝突・軍事対決へ突き進む危険があります。「尖閣諸島」という無人島のために巨費を投じ、周辺の島に自衛隊を配置し、緊張をあおり、命をかけて守れといっているのです。中国との関係悪化はそもそも日本が「尖閣諸島」を国有化したことが原因です。日中棚上げ合意に戻り、無用な挑発をやめるべきです。 ■武力による平和はありえない 自衛隊関連法の改悪に反対 政府は閣議決定を実効あるものにするため自衛隊関連法を「改正」し、「有事」における「武力行使との一体化」、米軍への武器弾薬の供給、武装米兵の輸送、戦場への派遣と武器使用、PKO展開地域での自衛隊の治安・警察活動への参加、駆けつけ警護などこれまでの法律で禁じられてきた武力行使を解禁しようとしています。とりわけ実際に海外展開している南スーダンPKOやジブチを拠点としたソマリア海賊対策などで、外国軍への武器・弾薬供与、武装兵の輸送等がすぐさま問題になります。遠い未来の話ではありません。戦争への加担、自衛隊員の命の危険が切迫します。 ■徴兵制?「経済的徴兵制」の危険 自衛隊員の従来の任務が激変し、戦地への派遣、戦闘任務、殺される危険性が高まるため、少子化の影響もあり、志願者が激減するのではと言われ、徴兵制への危機感が高まっています。広がる格差と貧困、非正規雇用の拡大で結婚して家族を養っていくだけの収入が得られない、奨学金返済や年金・健康保険支払いが出来ないなどの過酷な状況で、自衛隊が有利な就職先となるという「経済的徴兵制」がいわれています。米国では、教育ローンからの脱出のため、家族の医療保険のために米軍に入隊し、多くの若者が命を落としています。 戦場へ殺しに行くこと殺されに行くことを若者に強いる集団的自衛権に反対の声を上げましょう。 2014年8月30日 |
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