5月23日、“子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク”の主催で、文科省包囲行動が行われました。これは、福島の子どもにまで年間20ミリシーベルトもの被ばくを許容する文科省に対する抗議行動です。合わせて福島の子どもたちの被ばく最小化のための行動を直ちに執るよう要請行動も行われました。 福島からバス2台70名など、全国からを合わせると総勢約650名の市民が文科省に集まりました。4月21日の文科省交渉では120名、5月2日は350名、そして23日には650名と日増しに行動が広がっています。 子どもたちを守りたい福島の思いが全国に伝わり、市民運動を動かして広がって、さらに福島の親同士のネットワークができたり、雑誌や新聞そしてテレビでもこの問題が取り上げられたりするようになりました。 包囲行動では、一人ひとりが思いを発言しました。子どもを大切にしない国に未来はない、子どもを守って、御用学者が100ミリシーベルトまで大丈夫というのはひどい、東電は事故についての説明を1ヶ月経っても社員に説明しない。千葉から…大阪から…兵庫から来ました…。私には子どもがいます、いてもたってもいられなくて来ました…、などなど。 そして約350名が人間の鎖となり子ども20ミリシーベルトを許容する基準撤回を求めつながりました。その約1時間後、2階のテラスで行われた要請行動に地上から参加しました。 要請行動では、文科省からは次局長と女性が出てきました。市民側は福島を中心に議員も4名参加しました。 次局長が3.8マイクロシーベルトを基準にした話はするものの20ミリシーベルトは基準にしていないと矛盾した発言をしました。 市民側の追及により、それでも1ミリシーベルトに近づけていくのが文科省の方針だと答えさせました。 市民側はそれを実現させるよう福島に通達を出すよう要求しましたが、被ばく線量を低減させる対策は相変わらずモニタリングだと答えます。 具体的なマスク着用や手洗い励行すら指導せず毎時3.8マイクロシーベルト(これは放射線管理区域の6倍以上被ばくする区域)未満であれば通常と同じ生活をするよう言っているのが現状です。 土の天地返し(表土が汚染されているので下の土と入れ替える)は検討しているとしか言いません。 市民側は被ばく低減のために土壌の剥ぎ取りをしたら、財政的にも国の責任でするよう求めました。 次局長は、被ばくの低減措置について、お金を出すとは言わないが、相談して見解を出すと言いました。そして福島から出された5つの要請項目について文書で解答すると述べました。 福島の父や母から切々と述べられる言葉、多くの人々が結集した力で、文科省も回答を出すと言わざるをえなかったと思います。そのくらい市民運動は追い詰め、押しています。 福島から来たお母さんは、福島の問題なのにこんなにもたくさんの人が全国から集まってくれてとても嬉しいと言っておられました…。 この問題は原発賛成・反対の問題ではありません。子どもへの被ばくを許容するかしないか、子どもの健康・いのちをどう考えるのかの問題です。 ICRP(国際放射線防護委員会)ですら無用な被ばくは避けるべきだという認識に立っています。海外からも批判されています。 子どもに無用な被ばくを許容させないよう、私たち一人ひとりの声もFAXや電話で文科省に届け続けていきましょう。 *文部科学省 学術政策局 が子ども20ミリシーベルトの担当です。 TEL:03−6734−4002 FAX:03−6734−3835 以下は、要請文です。 文部科学大臣 高木義明 様 子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク 福島の子どもたちの被ばく最小化のための行動を直ちに執るよう要請します。私たちは、自分たちの子どもを放射能から守りたい、ただただその一心で集まった福島の親たちをはじめとする市民団体です。私たちの苦悩と悲しみがどれほどのものか、大臣はお分かりでしょうか。 貴省が4月19日に通知した「3.8μSv/h=年間20ミリシーベルト」の基準は、いわゆる安全基準として一人歩きし、私たちの愛しい子供たちは、部活や体育などで、校庭へグランドへと駆り出されています。校庭には毎時数十〜数百マイクロシーベルトという、恐ろしいほどの放射線を放つ場所が、何の管理もされずに放置されています。校舎内の放射能汚染は日に日に進み、子どもたちは毎日毎日学校で被ばくさせられています。 全国全世界から福島に集まっている関係者は、みな線量計で被ばくを管理しながら働き、その傍らで子どもたちは無防備のまま生活しています。このような異常な状態を作りだしたのは、大臣、貴省が出した“子ども20ミリシーベルト基準”によるのです。 私たちの我慢ももう限界です。のんびりとモニタリングをしているときではありません。 高木大臣、以下の被ばく低減策を直ちに行うことを決断してください。 一、今すぐ“子ども20ミリシーベルト基準”通知を撤回し、あらゆる被ばく低減策を、国が行ってください。 二、そのために、授業停止やいわゆる学童疎開・避難が必要なところは、躊躇なく行ってください。また、自主的に避難や疎開を行う者への経済支援を行ってください。 三、校庭削土をはじめとする除染作業、高放射線区域の隔離等を急いで行ってください。その際に集められた放射能は、国と東京電力が引き取ってください。 四、マスク・手洗い等の励行はもちろん、給食食材の配慮など内部被ばく防護策を徹底してください。 五、これらにかかった費用は、国が責任を持って負担し、東京電力に請求してください。
2011年5月25日 |
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