長野県農業大学校勤務の吉田太郎さんは、10月に「世界はキューバの高学力に注目するわけ」を出版し、演題は「雇用政策と直結したキューバの教育」だ。今回のフォーラムで一番聞きたかった話だ。吉田さんの著書の『世界はキューバの高学力に注目するわけ』には、雇用創出としての「ソーシャル・ワーカー養成学校」のことや「仕事としての学び」のことが書かれていて、その具体的な話が聞けると期待していた。吉田さんは、パワーポイントを使い早口で説明された。 注目されるキューバの識字運動 マスコミもやっと動き始めた。キューバの医療・教育の報道合戦。9月29日、ビートたけし。独裁国家で何が悪い。キューバ医療、教育。9月17日第二弾。キューバの有機農業。1月18日、フジテレビの先読み。キューバの医療と教育。1月23日、報道ステーションでゲバラが見た広島。キューバの医療と教育と環境。自給率80パーセントとか言っているが、実際は農業が低迷している。 キューバがどれだけすごいかをみてみたい。2008年12月ボリビアは、キューバの技術で非識字者がいなくなった。ベネズエラがソーラーパネルを提供して教育した。エコが教育水準を上げる。すばらしい連帯の成果だ。これはレオネラ博士が開発した識字プログラムだ。わずか三ヶ月でマスターできる。 なぜキューバはこういうことを始めたのか。1961年に全国で非識字者を無くしましょうと、学校の子どもたちで、字を知ってる人が字を知らない人に教えるという運動をやり出した。カンテラをもって明かりがない農村に入って中学校の子どもたちが教えた。ラウル現首相の奥さんは女性連盟の会長で、正義に燃える若い人たちが始めた。なぜ始めたのか。革命以前は格差があったからだ。都会のインテリが、今流に言えばセレブの方たちがワーキングプア村に行って「日本の中にこんなに格差があったの私たちは六本木ヒルズしか知らなかった。なんとかせにゃならん」と。これがキューバ革命ではなかろうかというのが私の仮説でありまして、右翼・左翼あんまり関係ない。キューバのプロの方には当たり前の常識なんですが、日本語では紹介されなかった、 ユネスコは、2005年にグノバリング・モニタリーレポートというのを書いているのですが、キューバ・フィンランド・韓国・カナダがモデル校です。キューバは貧乏国だから、OECDには入れない。OECDがやっているピサのテストというような共通テストには入らないで、ピサの教育テストでは一位がフィンランド、二位が韓国、三位がカナダ。日本が14位ですかね。この四カ国が選ばれるのかがよくおわかりだと思います。キューバのビリの点がアルゼンチンのトップを上回っていると、世界の研究者も着目していて、いろいろ調べている。キューバは高学力のわけはフィンランドがやっているのと同じように出来る子が、出来ない子を助けている「レムラシオン」連帯の精神がある。また教育にお金をちゃんと入れているのですよ。こうゆうことをやっているから。幼稚園の時から洗脳です。紙で作ったテレビでゲバラが映っているのですよ。いろいろ調べていると、ビデオ教育がすばらしいと書いたのですが、去年の7月からテレビの時間を30分減らしたり、教育大臣が交代されたり、子どもたちがあんまり本を読んだりちゃんとした文章を書けない、とか。ダントツの中にもちょっと問題点が出てきた。 高学力が事実、他国に貢献している。国家のために学ぶ志も高いレーニン高校。パソコンでいっしょうけんめい頑張っている。教育にお金を出している。ソーシャルワーカー、日本でいうニートとかフリーターとかいう人を救うために緊急学校を作っている。失業率0。本当ですかというと、マイアミ大学のカルロスベガ教授が英語で文章を書かれていますが、キューバに批判的です。なぜ失業率が低いのかというとハローワークに行くと革命防衛委員会から農業をやりなさいと言われるから農業で働きたくないから行かない。だから表面上統計数値が低いんです。このあたりいろいろ問題があって、格差があって、教養が高くても自由になれないというジレンマがあるのは間違いない。経済封鎖された自由なき独裁国というイメージもある。また、格差も不平等も無き有機農業の楽園というイメージもある。キューバ理解のステップということにして欲しい。 百年に一度の金融恐慌からの活路はどこに 吉田さんの話は実に多岐にわたり、とても紹介しきれない。資本主義や社会主義の起源の自説を展開し、金融資本主義とグローバル経済の批判にまで言及し、あり得べき社会のあり方を展望する。かねがね吉田さんが主張する「農業とか、教育とか、医療とかは自由化してはいけないものだ」といい、自由と平等どちらを大事にするかと言ったときに、結局格差を認めないと言うことはどこかで不自由。なんで共和国なんだと言うことを考えると、キューバ憲法を読むとわかるが、平等について一節を設けている。 現在の百年に一度の金融恐慌にからの活路は、「お金を使わない。地産地消と有機農業」というキューバ型社会による克服が一つの示唆になる。 日本がどうしたらいいのと言ったときに、社会が文化で統合されなければならない。現実立国日本であったらどうなるか。ずいぶん前に本で書いている。お金よりも平等を大事にしましょう。経済よりも芸術・文化・音楽を大事にした国造りをしたら日本がよくなるんじゃないか。そういえば何となくどういう国かイメージされるんじゃないか。 (2009年1月24日「革命50年・ゲバラ生誕80年記念友好フォーラム」より 文責:リブ・イン・ピース☆9+25 T.N.) |