永遠の勝利の日まで!

映画紹介「チェ 39歳 別れの手紙」
監督・撮影:スティーブン・ソダーバーグ  主演:ベニチオ・デル・トロ


「チェ 39歳 別れの手紙」より
 「チェ 39歳 別れの手紙」は、まさにフィデル・カストロが、チェ・ゲバラの「別れの手紙」を読み上げる場面で始まる。別れの手紙については様々なエピソードが語られているが、国連演説とともに印象に残るのは、変装したゲバラが本人であることを隠して愛する家族と最後の食事をする場面だ。娘がそれとは知らずに「この人私を愛しているみたい」と言う。最近出版されたアレイダの日本講演録「父ゲバラとともに、勝利の日まで―アレイダ・ゲバラの2週間」の中にも、アレイダ自身の言葉で語られている。搾取と暴力、病気と貧困に苦しむ人民を解放し、平等な世界の実現を目指したチェは、何よりも眼前にある搾取と抑圧、これに対する自分の抗う意志と思想を大事にし、キューバ国民とフィデル、そして家族に別れを告げた。家族に対しては、キューバが面倒を見てくれると言い残す。しかし何という決意だろう。
 チェが新たな革命闘争の場として選んだボリビアは、将来のラテンアメリカ全体を解放する革命の根拠地になるであろうことが想定され、高い志を持ったゲリラ闘志たちがゲバラの元に集まった。独裁者レネ・バリエントスが米の強力な後ろ盾のもとで軍事独裁政権を敷いていたボリビア。乳児や妊婦の死亡率はラテンアメリカで最大、鉱山では労働者の50%が30歳までに死ぬと言う過酷な状況に闘いを挑んだのだ。
 だが、キューバでは成功したゲリラ闘争はボリビアではうまくいかない。チェはボリビアの山中に孤立する。親ソ派のボリビア共産党書記長マリオ・モンヘのサボタージュと妨害がある。ボリビア政府軍に医薬品や食糧の備蓄を奪われる。持病の喘息は悪化。食糧不足と空腹。疲労困憊。下痢、嘔吐、疼痛。担ぐ荷物の重みで「ときおり我慢できないほどの激痛が両肩に走る」(「ゲバラ日記」1967年2月4日)。「虫による天災はまさに拷問そのもの」(同1966年11月11日)さらには、ゲリラ兵士の規律違反・命令無視と脱走、農民の無理解と密告等々。そしてついにチェは、ボリビア・アンデスのチューロ渓谷の戦闘で、負傷した味方のゲリラ兵を先に逃がすため最後まで抵抗したが、ついには弾薬は尽き政府軍に捕らえられ、殺された。
 ゲバラがめざした平等な社会と「社会主義における新しい人間」。世界経済恐慌の爆発と貧困、格差の拡大。ラテンアメリカ諸国の左傾化。世界を変革するために、理想社会を夢想するだけでなく、現実の革命に身を投じたチェ・ゲバラ。いろいろな事が結びついていく。ゲバラが闘った革命戦争とその基礎にある思想と理論――そのものを一から学んでみたいと思った。
 永遠の勝利の日まで!

2009年2月9日
リブ・イン・ピース☆9+25 T

映画『CHEチェ 28歳の革命 | 39歳 別れの手紙』公式サイト この中に劇場情報があります。

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