オバマ政権のもとでのイラク戦争開戦6周年――
米国の反戦運動と人民救済運動の新たな動き(上)

上2枚 写真は http://answer.pephost.org/site/
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より
 オバマ政権のもとでイラク戦争開戦6周年を迎えた。米国の反戦運動は、3月21日ワシントン1万人、ロサンゼルス4千人、サンフランシスコ4千人など各地で集会・デモが敢行された。規模においては昨年よりも小さいものとなったが、いくつかの重要な特徴がある。
 まず、今回の闘いで前面に出たのはイラク・アフガン帰還兵たちの闘いであったということだ。3月19日復員軍人省には「帰還兵は戦争にも占領にもノーと言う」の横断幕が公然と掲げられた。掲げた帰還兵は即刻逮捕された。反戦センターANSWER系の帰還兵・兵士組織“帰還兵と現役兵の部隊(VSTF) ”が企てた行動である。
On Sixth Anniversary of Iraq war...
More than 10,000 march on Pentagon, leading war profiteers
(ANSWER)

Iraq War Veterans Drop Banner at Veterans Administration Headquarters(ANSWER)

 派手なパフォーマンスだけではない。反戦イラク帰還兵の会(IVAW)が昨年3月“ウィンターソルジャー公聴会”と名付けた証言集会を行って以降、帰還兵問題は米国内で政権を揺るがす大問題になった。反戦イラク帰還兵の会は、“ウィンターソルジャー公聴会”を通じて、数百人規模から千数百人へメンバーが急増したという。彼らは、市民の無差別殺りくの実態や「テロリストの虚像」などを勇気を持って証言し続けた。
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 米の侵略戦争の犠牲者への哀悼と国際連帯も大きな特徴である。ロサンゼルスの集会では、段ボールでつくった棺桶を星条旗で包み、その周囲で大規模なダイ・インを行った。棺桶をくるんだ旗は星条旗だけでなく、イラク、アフガニスタンおよびパレスチナの国旗であった。かつてなかった光景である。帰還兵達の粘り強い証言活動が、米兵犠牲者だけでなく米軍が殺害したイラク・アフガンでの犠牲者、昨年12月からイスラエルが行った大虐殺でのパレスチナの犠牲者への哀悼と国際的な連帯意識を呼び起こしているのは間違いない。この集会は帰還兵組織が前面に出て開催された
上3枚写真は
http://www.pephost.org/site/
PageServer?pagename=ANSWERLA
より
「歴史的な集会」であると報告されている。IVAW、平和のための退役軍人会(VFP)などの帰還兵団体、遺族会などが行動を共にし前に出ることで集会の性格に変化をもたらしているのではないか。IVAWは、オバマ就任に対して、イラクの被害者たちへの賠償、帰還兵への補償、そしてイラクの石油資源などに対する野望を捨て、軍事基地の閉鎖を含め全ての占領軍が即時無条件に撤退することを要求している。極めて戦闘的である。

 反戦運動が反貧困・人民救済運動、反資本主義の闘いとどう結合していくのかにも注目したい。3月21日イラク戦争開戦6周年の集会、ロンドンでのG20反対行動から、4月3日、4日ウォールストリートを包囲する行動への発展に、2つの運動の結合がはっきりとあらわれている。この行動はマーチン・ルーサー・キングが暗殺された日である4月4日にデモンストレーションを計画していた反戦センターUFPJが、4月3日に「銀行救済ではなく人民救済を」の大行動を予定していたBOPM(人民救済運動)に共同行動を呼びかけたことから実現した。それぞれの行動に合流し大行動を行うことを共同声明で発している。後者は反戦センターIACなどが中心的役割を果たしているようである。これには、反戦センターTONC(今すぐ軍の撤退を連合)も合流する。これに連動して4月4日にロサンゼルスで行われる「移民にすべての権利を」集会&デモは、数百の団体と数千の個人の結集が予定されていると報じられており、中心となっているのは反戦センターANSWERである。

 戦争と殺戮、飢餓と貧困、医療崩壊と教育崩壊、失業とオーバーワーク、金融経済恐慌の激化と人民生活の窮乏化は、反戦運動をますます反資本主義、反グローバリズム、反ネオリベラリズムへとむかわせ、イデオロギッシュにではなく人民生活を防衛する切実な要求から、どう猛で厚顔無恥な金融資本家への怒りから、両者の結合を生みだしていくことを期待したい。

2009年4月4日
リブ・イン・ピース☆9+25


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