米・NATOは東方拡大をやめろ
誰がウクライナで戦争を仕掛けているのか

米国はロシアへの戦争挑発を中止せよ
米・NATOは東欧から兵員を撤退せよ
ウクライナへの武器・弾薬供与を撤回せよ

米国はイラク戦争、アフガニスタン戦争を繰り返すのか
 米国がヨーロッパで戦争のドラムを鳴り響かせています。まるでアフガニスタン戦争、イラク戦争前夜のような状況です。今回は、米国と北大西洋条約機構NATOがウクライナを使ってロシアに戦争をけしかけているのです。
 米英が本気でロシア攻撃をする危険を察知した当のウクライナのゼレンスキー大統領が火消しに走り始めました。「世界の首脳達が明日にも戦争になるかのように話している」と批判し、「パニックになる必要は無い」「米英による大使館職員の退避についても誤りだ」と。そこまで米・NATOは前のめりに戦争前夜の状況を人為的に作り出しているのです。
 私たちは、9・11同時多発テロの責任をアフガニスタンに転嫁し、「大量破壊兵器」のウソをでっち上げ、20年もの間、中東で戦争を仕掛け、100万人単位の民衆を殺戮し、数百万単位の難民・避難民を生み出しても、侵略と破壊をやり続ける米国の戦争マシーン、軍産複合体の戦争熱を目の当たりにしました。そしてここ数年、「台湾侵攻」を煽り、対中戦争・対中軍拡を推し進めてきました。それでは飽き足らず、米国は今度は、ウクライナを戦場にして、ロシアを相手に戦争をしようというのです。米英やNATOはいつまで戦争をし続けるのでしょうか?

西側メディアのデマ宣伝を見抜こう
 また、西側メディアはいつまで、こうした戦争熱を煽り続ける進軍ラッパの役割を果たすのでしょうか?日本と西側メディアが盛んに宣伝するのが、ロシアの悪魔化です。自分たちの方が仕掛け、煽っておいて、「ロシアがウクライナを狙っている」とデマ宣伝をしているのです。いつも中国に対して行っているのと同じ手口です。相手を悪者にするために事実に反したことでも平気で言いふらしています。
 緊張の高まる今こそ、誰が誰に仕掛けているのか、戦争を食い止めるためには何が必要かしっかりと見極めることが必要です。
 米国は今すぐにでも戦争が起こりそうだと煽っています。バイデン大統領もブリンケン国務長官も「明日にでもロシアがウクライナに侵攻してもおかしくない」と繰り返しています。米英等はこれ見よがしにウクライナから大使館員家族などを退避させました。ブリンケン国務長官はロシアの求める「NATOの東方拡大禁止」にゼロ回答の返書を送り、「戦争でも政治交渉でもどちらでも用意はできている」と開き直って、NATO東方拡大とウクライナ加盟で屈服しろとロシアをどう喝しています。英国はジョンソン首相が先頭に立って「ロシアはウクライナで『偽旗作戦』を行う」「政府転覆を狙っている」と戦争の危機を煽っています。
 しかし、「第3次世界大戦」にもつながりかねない戦争を煽っているのはロシアではありません。プーチン大統領は何度も「ウクライナに侵攻する意思はない」と強調しています。武器と兵士を東欧に追加派兵し、黒海で軍事演習を繰り返し、ロシアを脅しているのは米国とNATOの側です。米国は米軍8500人の東欧増派を始めました(5万人の増派まで検討しています)。2回にわたって160dもの大量の武器・弾薬をウクライナに供与しました。イギリスも2000発もの対戦車ミサイルや対空ミサイルを供与しています。バルト諸国なども武器を提供して加担しています。NATO諸国は東欧に4万人の兵士を送り込んでウクライナを後から押しています。ただし、米国もNATOもウクライナとロシアが万一戦争になってもウクライナには軍隊を入れないと、けしかけるだけけしかけて自分は責任を取らない無責任な対応を取っています。
 私たちは米国とNATOがウクライナをロシアにけしかけること、この地域で緊張を激化させ、戦争を起こさせようとしていることに反対します。米国とNATOが兵力増派、武器供与を直ちに中止することを要求します。

ウクライナ危機をつくったのはゼレンスキー政権と米・NATOだ
 果たして、ロシアによるウクライナ侵攻の危険が「ウクライナ危機」を作り出しているのでしょうか? この西側政府、メディアの報道は全くのデタラメです。嘘とデマが大手を振ってばらまかれているのです。
 「ウクライナ危機」の直接の原因は二つあります。一つは、親米・NATO=反ロシアのゼレンスキー政権によるロシア系住民に対する戦争挑発および民族抑圧です。二つ目は、米・NATOの「東方拡大」であり、ウクライナをNATOに加盟させ、ロシアに対する軍事的攻撃拠点にする軍事戦略です。
 まず前者について。ロシア軍がウクライナ国境に兵士10万人を集めたのは、昨年10月にウクライナ政府が2014年の停戦合意に反してウクライナ東部の親ロシア勢力「ドネツク人民共和国」に対してトルコ製ドローンによる攻撃を行ったことが原因です※。ロシア側は、ロシア人多住地域への攻撃を牽制し、停戦遵守を求めるためにロシア国内に兵力を集め、演習したのです。ウクライナ政府は国内の親ロシア勢力の制圧を狙っています。さらにNATOを引き込んでロシアを干渉させないために、意図的に緊張を激化させているのです。ロシア側の動きは受け身での防衛的措置であって、進んでウクライナ侵攻を追求するものではありません。
https://defbrief.com/2021/10/26/ukrainian-bayraktar-tb2-uav-destroys-russian-howitzer-in-first-ever-combat-sortie/

ウクライナの停戦合意を遵守せよ 緊張激化ではなく緊張緩和を
 後者についてはどうでしょうか。ロシアがあくまでも自国内部で牽制しているだけであるのに対して、米・NATOは、まだNATO加盟国でもないのに、軍事力をウクライナに投入して戦争を煽動しているのです。米国務省はバルト三国に対し、米国製のミサイルなどをウクライナに移動することを許可しました(ロイター1/19)。さらには米国が東欧とバルト海沿岸のNATO加盟国に数千人の兵力を増派することを検討していると発表、武器・弾薬・ミサイルの供与を続けています。
 双方が大兵力を対峙させる中では偶発的な衝突も大きな戦闘、戦争に急拡大する可能性は否定できません。その場合ウクライナだけで無く、東欧と欧州全体が戦争に巻き込まれます。バイデンが言うような第2次世界大戦に次ぐような規模の戦争が起こる危険があるのです。それは絶対阻止しなければなりません。
 最も重要なのは、ウクライナ国内での停戦合意の遵守です。ウクライナ・ロシア・独・仏の会議は1月26日に停戦合意遵守で合意しました。戦争の危険を煽るのではなく、実際に停戦を持続させ、政治的対話の環境を作る事が緊急に必要なのです。国内問題は政治的対話しか解決の方法はありません。ロシア系住民の多い地域に対する自治の保障、あるいは住民投票と独立等、複雑で極めて難しい問題ですがそれしか道はありません。内戦についてはすでに2014年に悲惨な犠牲が払われました。対立を戦争に拡大せずに政治的解決を目指すしか方法はないのです。

NATOの東方拡大をやめよ、
 今回のロシア側の怒りの背景には、もっと奥深い歴史的経緯、米・NATOの東方拡大戦略の侵略的・攻撃的性格があります。対立の焦点は、いまやウクライナ国内の問題よりもこちらの方に重点が移っています。
 米国は1990年のドイツ再統一交渉の過程で米国がNATOを東方に拡大しない、欧州で緊張緩和を進めることをロシアに約束しました。ところがNATOはソ連崩壊後、5回に渡って新規加盟国を増やし、拡大してきました。軍事力をロシアに近づけ、軍事的威嚇を強化してきたのです。さらに米国は中距離核全廃条約を破棄し、ポーランドとルーマニアには米国のミサイル防衛システム(イージスアショア)を配備し、その発射機は中距離ミサイルの発射が可能です。バルト諸国やポーランドなどに米軍を配備しました。ウクライナにNATOを拡大することは、ごく短時間にモスクワに核ミサイル攻撃を可能にします。黒海ではNATO艦隊が大規模な軍事演習を行っています。ロシアののど元に短刀を突きつけるような行動が緊張を激化させるのは当たり前のことです。この30年間、米国とNATOが対ロで軍事力増強で脅威を高め続け、ロシアは脅威を感じ続けているのです。そのことはメディアではまったく触れられません。ひたすらロシア悪者論に基づくプロパガンダだけが幅をきかせています。
 今回の事態を契機にロシアは、[1]軍事的緊張を高めるウクライナへのNATO拡大を行わない、[2]東欧に展開したNATO軍を撤収すること、[3]周辺での軍事演習を行わないことを米国とNATOに要求しました。しかし、1月に行われたロシアと米国、NATOの間の協議で米・NATO側が譲歩せず、物別れに終わりました。緊張を高めないようにという要求を拒否して軍事力を増強し始めました。そして直後から米とNATOは「ロシア侵攻」の宣伝を強めています。ここでもロシアの対応は余儀なくされた受け身の対応です。ロシアは緊張緩和を要求しています。

 そもそもウクライナ問題そのものが2014年に選挙で選出されたヤヌコビッチ政権を、西側が全面支援する極右民族主義者らをつかってクーデター(マイダン革命)で打倒し、政権を奪取したことにはじまります。いわゆる「カラー革命」です。これが深刻な内戦を引き起こしたのです。米国とNATOの目的は、ウクライナをロシアから離反させ、孤立させること、経済的政治的な勢力圏下に置くことにありました。
 ウクライナでの戦争を回避し、緊張を緩和し、平和を安定させるには、何よりもロシア周辺からのNATOの兵力撤退、双方の軍事演習などの抑制・縮小が必要です。いまも米ロ、欧州とロシアは交渉を続けています。政治的交渉で戦争の危機を回避すべきです。私たちは米国とNATOの側が威嚇をやめ、軍事的・政治的緊張緩和の道を受けていることを要求します。

2022年2月1日
リブ・イン・ピース☆9+25