安倍一強支配、悪政の張本人菅政権を追及しよう
世論と運動を強め、菅=自公政権打倒へ進もう

「自助・共助・公助」で安倍路線をエスカレート

 9月16日の臨時国会で菅政権が誕生するのが確実となった。自民党総裁選では、メディアを動員し、党内の強権的支配と財政の独占的掌握を通じて、圧勝を演出した。安倍一強支配と同じ構図だ。菅官房長官は安倍政権の悪政をリードしてきた張本人、最側近である。菅は公安を操り、内閣人事局を通じて省庁の人事権を掌握し、数々の安倍スキャンダルを封じ込め、安倍政権の根幹を担ってきた。NHKはじめメディアへの放送内容の介入、公文書改ざん、沖縄への基地建設強行、GoToキャンペーン強行等の首謀者である。このような人物が、安倍後継に平然と居座ることに怒りを禁じ得ない。
 菅は「安倍政治の継承」を謳っているが「継承」どころではない。「自助・共助・公助」を国家の基本理念として掲げた。「自助」=「自分のことは自分で」を強要し、社会的弱者は公然と見捨てる究極の自己責任社会を作り上げようというのだ。安倍政権下で進めてきた新自由主義路線をさらにエスカレートさせるつもりだ。
 コロナ対策の無為無策で大失速した安倍政権末期から世論は一変した。退陣表明を受けて「安倍政権を評価」は70%を越えた。安倍首相への同情と菅礼賛報道で世論を味方に付け、9月解散・10月総選挙の可能性が浮上している。維新との連携で自公維政権の危険性もある。「改憲」を掲げて自民・公明に維新を引き込む事になれば、情勢は緊迫する。
大阪では、大阪都構想の住民投票実施が、大阪府市議会の賛成多数で決まり、11月1日投開票の日程が決定した。吉村知事はコロナ「大阪モデル赤信号」でも住民投票を強行すると述べた。維新は、大阪都構想とその住民投票を、自公新政権とりわけ菅との関係緊密化のテコにしようとしている。菅は「二重行政の解消と住民自治の拡充を図ろうとするもの」などと都構想への賛意を述べている。我々は、巨大利権と住民サービス切り捨ての大阪都構想に反対だ。
 改めて世論と運動を強め「安倍なき安倍政治」を追い込もう。

安倍首相を退陣に追い込んだのは、一つひとつの粘り強い闘い
 菅が継承するという「安倍政治」は、7年8ヶ月の間に何をやったのか。
 第1に、戦争する国づくりだ。集団的自衛権の行使解禁=「戦争法」の強行制定、共謀罪法の制定、朝鮮民主主義人民共和国と中国に対する軍事対決のエスカレーションと敵基地攻撃能力の確保策動、辺野古新基地建設強行である。新たに米の「新冷戦」政策への加担の危険が増している。
 第2は、原発再稼働と原発・核燃料サイクル推進である。関電の老朽原発延命、東海第二原発などの再稼働、六ヶ所再処理工場の操業、使用済核燃料貯蔵施設などを執拗に追求してきた。
 第3に、株価バブルと財政投入に依存した虚構のアベノミクスである。働き方改革、全世代型社会保障を掲げた医療・福祉の切り捨て、そして2度に及ぶ消費税増税の強行。これらは非正規雇用を拡大し、労働者・人民の生活を破壊し、格差と貧困を拡大した。種子法、水道法等新自由主義的な制度改悪が付け加わる。
 第4に、戦争責任の清算である。日本軍「慰安婦」や「徴用工」問題での日韓関係の悪化を招き、道徳の教科化や政府見解を書かせる教科書検定等教育反動、侵略戦争賛美と歴史歪曲はヘイトを増長させている。
 第5に、公文書改ざん、森友国有地安値売却、加計学園不当優遇、桜を見る会私物化、検察庁法改定、河井議員夫妻による公職選挙法違反、コロナ対策さえ利権誘導に利用する身内びいきと政権私物化である。
 第6に、2枚の布マスクに象徴されるコロナ対策での無為無策だ。感染を抑え込むのではなく、徹底した検査抑制、経済活動=資本最優先とGoToキャンペーンによって感染を拡大し、多くの人々の命と健康を脅かした。
 だがこのような安倍政治は、広範な批判と運動でことごとく行き詰まった。戦争法反対や森友・加計・桜等の暴露と追及はじめ一つひとつの粘り強い闘いが、政権の手足を縛り、辞任へと追い込んだのである。「任期内改憲」という安倍首相の最大の政治目標・野望を破綻させた。

辺野古基地建設の強行、沖縄敵視の姿勢を許すな
 安倍政治の中でも、沖縄に対する敵対的姿勢、有無を言わさぬ辺野古基地建設の強行は異常である。沖縄に対する居丈高な強硬方針を主導し、沖縄県民の意思を繰り返し踏みにじってきた張本人こそ菅である。菅は、コロナ第2波の只中でGoToを強行し、沖縄に感染を拡大させておきながら、「感染者の療養施設を準備していない」などと冷酷に言い放ち、医療体制が危機的状態にあった沖縄を一方的に攻撃した。
 とりわけ菅が、民意を踏みにじり、辺野古基地建設埋め立てや東村高江のオスプレイヘリパット等の強行を主導した責任は重大だ。
 菅は13年、当時県外移設を主張していた仲井真弘多知事に対して、沖縄振興予算3000億円超を出すことをエサにして、辺野古基地埋め立て承認に転向させた。沖縄振興策を基地建設にリンクさせる露骨な「アメとムチ」である。ところが14年11月の知事選で翁長雄志氏が勝利し辺野古埋め立て反対を明確にすると一転して約束を反故にした。菅は基地建設を「粛々と進める」など沖縄の民意を無視した暴言を吐き、翁長知事は「上から目線だ」と沖縄差別を厳しく指弾した。
 16年北部訓練地域へのヘリパット建設で、住民150人の集落に「本土」から警察や機動隊800人も動員して暴行・弾圧したのも菅官房長官の主導だ。沖縄平和運動センターの山城博治氏らをでっち上げ逮捕し5ヶ月にも渡って不当拘留し有罪判決を下した。沖縄差別として大問題になった「土人」発言は、このような菅の沖縄政策の中で出たものだ。
 現在沖縄防衛局は、工事強行を正当化するために辺野古沖軟弱地盤への対応で設計変更申請を出しているが、周辺の生態系への影響、大浦湾護岸崩壊の危険、巨額の総工費など、どれをとっても許されない。現在、県による申請書の縦覧が始まり、沖縄県だけでなく全国から反対の意見書を送る運動が行われている。自公政権は今すぐ、辺野古基地建設工事を中止すべきだ。
玉城デニー知事に「意見書」を送って後押ししよう!(リブ・イン・ピース☆9+25)

矛盾は必ず噴出するーー菅=自公政権打倒のために闘おう
 自民党5派閥の数の力で作り出された菅政権は、一見盤石に見える。だがそれは党内の合従連衡の結果に過ぎない。その基盤は極めて脆弱である。すでに派閥間の主導権争いが始まるなど、政権発足前から不安定性を露呈している。
 衆参両院で約150人を擁する新党「立憲民主党」が誕生した。徹底したコロナ対策、戦争する国反対、国民生活を守る、改憲反対等真の人民の立場に立った対決を求めたい。
 安倍政治の継承とエスカレーションは、早晩矛盾を噴出させずにはおかない。菅は「全く問題はない」「ご指摘は当たらない」「適切に対応している」等、木で鼻をくくったような答弁で、安倍首相への追及の防波堤になってきた。だが今度は菅自身が矢面に立つことになる。何より、河井夫妻事件もカジノ秋元収賄事件も、菅と親密な議員の犯罪=菅案件であり、その責任から逃れられない。森友加計疑惑と桜疑惑、森友問題で自殺に追い込まれた赤木さんの裁判、性暴力を封じ込められた詩織さんの告発等々、安倍案件での追及も続く。
 喫緊の課題はコロナ対策だ。政府は「無症状が8割」「死者は少ない」などの世論誘導で「2類」感染症指定を解除し、インフルエンザ並み流行の対策に転換することを目論んでいる。感染は個人の責任であり、いま程度の感染は受け入れろというのだ。
 われわれは、何よりもまず新型コロナの感染拡大を封じ込めることに全力を注ぐこと、PCR検査拡大と休業補償で、人民の命と健康を最優先で守ることを要求する。十分な医療・療養体制のもとで感染の状況を把握しコントロール下に置くことこそ、必要不可欠な社会経済活動を維持する大前提である。補正予算で全面的な予算の組み替えを行い、軍事費をはじめ不要な支出を返納・凍結・削減し、人民生活の必要なところへ財政を投入するよう要求する。
 安倍首相が進めてきた異常な悪政をストップさせなければならない。米の「新冷戦」政策への加担と対中軍事的エスカレーション、歴史歪曲と日韓関係悪化、改憲に向けた国民投票法改定、緊急事態法の改悪、「敵基地攻撃能力」確保のためのより侵略的な安保戦略への転換、辺野古の埋め立て工事再開、関電の老朽原発の延命、東海第二原発などの再稼働、六ヶ所村再処理工場の本格操業、等々。自公政権の打倒に向け、世論と運動をいっそう強化しよう。

2020年9月15日
リブ・イン・ピース☆9+25