安倍疑惑追及逃れ、9条改憲地ならしのための衆院解散を糾弾する!
反安倍の世論と運動を拡大し、安倍政権を葬ろう!
極右2大政党制を許すな!
  
臨時国会冒頭解散を糾弾する

(1)9月28日安倍首相は、臨時国会冒頭で衆議院の解散を強行した。所信表明も行わず、野党の代表質問も一切行わない全く異常な解散だ。安倍首相は、憲法上義務づけられている野党要求の臨時国会の開会を3ヵ月間以上放置したあげくに、一切の審議を行わず冒頭解散の暴挙に出たのだ。この解散は明白な憲法違反だ。
 安倍首相は、共謀罪法のデタラメ答弁と強行成立、自身が疑惑の中心である加計学園問題・森友学園問題、稲田元防衛相の日報隠し等々で支持率を急落させた。「一強支配」で異論を封じ込め、首相の地位を利用して、友人や身内に便宜・利益供与、贈収賄、重大犯罪のもみ消し、証拠隠滅・文書の隠蔽と破棄、告発者への人格攻撃と脅迫、ウソ・捏造、言論封じ込め、逮捕などありとあらゆる手段を使って権力の私物化を進めた。そのどす黒い政権体質が国民の怒りを買った結果だ。
 解散総選挙は、臨時国会での野党による安倍疑惑追及を回避するため、朝鮮半島危機での若干支持率持ち直しと、野党の準備不足という状況につけ込みながら解散の賭に出たものに他ならない。党利党略・私利私欲のための「解散権の濫用」、安倍首相がこれまで進めてきた一強支配の元での権力私物化の最たるものだ。
 我々は断固糾弾する。

(2)これに対して野党は異様な様相だ。都議選の受け皿として自民党の惨敗をもたらした小池百合子東京都知事の新党「希望の党」が自民・民進らの離党者を糾合し、さらには民進党自体が事実上解党・分裂し「希望」への合流が決定された。信じがたい。民進党はまがりなりにも戦争法反対や共謀罪反対で安倍政権を追及し、安倍改憲反対を掲げてきたはずだ。小池氏はもともと極右政治家であり、民進党候補者にも“改憲と戦争法に賛成かどうか”で踏み絵を踏ませると公言している。民進党の解党と希望の党への合流は、安倍政権打倒を目指して、戦争法反対、共謀罪反対など、野党と協力しながら闘ってきた、労働者・市民への裏切り行為である。

(3)政界再編が当面、安倍自民に対して小池希望という、憲法改悪と軍国主義、歴史修正主義、極右イデオロギーで大差ない2政党を軸に進むのは避けられない。労働者や人民の真の要求を代弁する議会内政党が存在しない状況だ。
 私たちはそれを踏まえた上で、まず「安倍政治」を最大の争点として安倍政権の退陣を目指すことに全力をあげよう。さらに安倍政権が進めてきた改憲・「戦争する国」づくり、労働者人民生活破壊の政策を反転させる世論形成のために闘おう。9条改憲を許さない国内世論を作り上げよう。同時に、自民と希望という、極右両党による2大政党制を許さないために闘おう。

争点は「安倍政治」そのものだ

(1)安倍首相は、野党と国民の批判をかわすために、総選挙の大義として、[1]消費税10%へのアップ分の使途の変更=幼児教育と高等教育の無償化等、[2]「北朝鮮問題」への政策の是非、[3]9条改憲を上げているが、全くの詭弁だ。消費税10%は庶民の生活を直撃し、5兆円もの負担が国民の肩にのしかかる。この是非こそが問われなければならない。子育てで喫緊の課題は、必要な数の認可保育園の設置や母子家庭、低所得の子育て世帯への十分な手当だ。小気味のいい“3歳以上の保育園・幼稚園の無償化”などは、子どもの貧困など現にある深刻な問題を覆い隠すものだ。
 また各紙の世論調査でも、私たちが月1回行っている街頭アンケートでも、北朝鮮に対して圧力や制裁ではなく対話と交渉を求める声、9条改憲に反対する声は毎回多数に上っている。
 
(2)私たちあらためて安倍政権が5年にわたって進めてきた反動的・反人民的諸政策全体を糾弾する。安倍首相がやってきたことは、アベノミクスの幻想を振りまきながら、「戦争する国」をつくることだ。集団的自衛権行使閣議決定と戦争法。特定秘密保護法。共謀罪法。沖縄辺野古と高江ヘリパッド強行。原発再稼働と避難者切り捨て。極右政治組織日本会議と身内びいき、利権・便宜供与。軍事費拡大・GDP1%突破、軍事研究、中期防、防衛大綱の改定。
 グローバル独占資本優遇と人民生活破壊。大独占企業は史上最高の利益をあげる一方、労働者の平均年収は激減、非正規雇用の拡大。財政危機の人民への転嫁。年金受給開始年齢の大幅引き上げなど社会保障切り捨て。
 「働き方改革」の名の下に進められる労働者酷使と賃金削減=残業代ゼロ法=過労死法=「高度プロフェッショナル制度」導入策動。「人づくり革命」「生産性革命」も、資本のために低賃金で死ぬほど働けということである。

安倍疑惑追及、対北朝鮮戦争挑発反対、9条改憲反対を争点にして徹底批判を!

(1)選挙の争点の第1は安倍疑惑だ。疑惑はますます深まっている。加計問題については、閉会中審査が2回行われたが、新たな疑惑の事実が次々と出てきている状況だ。2015年4月に加計学園幹部が直接首相官邸を訪れて官邸職員と協議していた事実、加計学園の獣医学科新設意向を知ったのが今年の1月20日であったという首相の発言、首相による大臣規範違反・贈収賄疑惑など、新たに疑惑が次々に明らかになっている。
 森友学園問題についても、8億円以上の大幅値引きを籠池氏と近畿財務局が交渉する音声テープが公開された。また破棄されたはずのデータが残っている可能性も指摘されている。
 稲田元防衛相のPKO日報隠し問題も全く解明されていない。南スーダンで武力衝突が起こり、派遣された自衛隊も銃撃戦のただ中に置かれていたという、PKO法にも憲法にも違反する重大事態の隠蔽が核心だ。
 いずれも安倍首相と側近が関わる大スキャンダルである。

(2)第2は朝鮮半島をめぐる緊張への対応である。安倍首相が今の時期に選挙に打って出たのは、「北朝鮮問題」をテコに危機を煽り、国家主義を前に立てることで支持率をアップさせようという魂胆からだ。これ自体が危険きわまりない。北朝鮮がミサイルを撃つたびにJアラートを出して、子どもたちまで巻き込んで危機を演出しているのだ。安倍首相は国連演説で「圧力と制裁」を強化する演説を行った。トランプ大統領は北朝鮮の国家元首を侮蔑する異例の演説を行い、北朝鮮はこれに対して「太平洋での水爆実験」などの報復を表明している。最近では、トランプ大統領は「別のオプションがある」と軍事攻撃を匂わす発言をし、現にB1爆撃機が初めて38度線を越えるという挑発行為を行っている。偶発的軍事衝突や意図しない戦闘が戦争へとエスカレートしない保障はない。安倍首相は、米による北朝鮮攻撃支持を否定していない。危険な北朝鮮軍事挑発をただちに止めるべきだ。

(3)第3は9条改憲である。安倍首相の思惑は、任期中改憲を実現するために、議席減を最小に食い止めて安定化し、オリンピックまでの改憲発議、国民投票に持ち込もうということに他ならない。
 安倍改憲は、[1]9条改憲、[2]緊急事態条項、[3]教育無償化、[4]参院合区の4つだが、最大の狙いは9条改憲にある。安倍首相は、戦力不保持の9条2項を削除し国防軍を明記する自民党憲法草案を事実上撤回した。そして2項を残した上で自衛隊を明記するという安倍9条改憲を提起した。9条改憲をなんとしても実現するためにトリックを使い、戦力不保持と「自衛隊=自衛のための最小限の実力組織」を併記し自衛隊を合憲化しようとしているのである。
 しかし安倍政権が今現に進めている自衛隊の実態は「最小限」「専守防衛」どころではない。海外の戦場で武力衝突に銃撃戦で加担する軍隊、米艦船とともに共同行動を行う軍隊、米軍とともに北朝鮮への共同攻撃をも想定する軍隊・・・そのような正真正銘の帝国主義的侵略的軍隊である。
 このような危険な軍隊を合憲化するとことは許されない。

世論と運動をつよめ安倍政権を葬り去ろう

(1)これ以上安倍政権を存続させれば、本当に北朝鮮に戦争を仕掛け、労働生活環境を破壊し、身内への便宜利益供与と贈収賄で国を滅ぼしかねない。これ以上続けさせてはならない。
 決して労働者・人民は「安倍一強支配」を甘んじて受け入れてきた訳ではない。この間の世論や運動でいくつも押し返してきた。
 [1]森友学園問題、加計学園問題等での安倍疑惑の追及、[2]安倍自民党を都議選で惨敗させ政権の支持率を急落させた、[3]稲田元防衛相をPKO日報隠蔽問題で辞任させた、[4]連合下部からの広範な批判から「高度プロフェッショナル制度」に関する合意を撤回させた。原発再稼働、特定秘密保護法や戦争法、共謀罪法に反対する市民運動が粘り強く闘われた。沖縄では、辺野古新基地建設・埋め立て工事や高江ヘリパッド建設への抵抗が続いている。現在、共謀罪法の廃止を求める全国署名や、安倍9条改憲に反対する、政党を超えた全国統一署名などが提起され取り組まれている。

(2)まず、安倍一強支配の終焉、安倍政権の退陣に目標を置き、反安倍の世論と運動を形成しよう。そのような力が、戦争法廃止、共謀罪法廃止などすでに成立した反動法を破棄させ、改憲等で容易に妥協できない力関係を作り、安倍政権下で進んだ「戦争する国」作りを中断させ、反転させて行くだろう。
 希望の党が脚光を浴びることで、解散・総選挙は、安倍首相の思惑通りにはいかなくなっている。しかし、「安倍一強」が崩れても代わりに出現するものが「極右2大政党制」であっては意味がない。
 安倍政権打倒だけではすまない。9条改憲反対の世論と運動を粘り強くつくることで改憲勢力の策動を押さえ込み、国会発議を断念させる力関係を作り出していかなければならない。9条は日本社会に根付き国民の過半数が9条改憲は必要ないと考えている。さらにこれを拡大し強固なものにしていこう。
  全力を挙げて安倍政権を葬り去ろう。

2017年9月29日
リブ・イン・ピース☆9+25