自衛隊中東派兵の閣議決定を糾弾する!
トランプのイラン威嚇・挑発に協力するな

 安倍政権は自衛艦と哨戒機を中東に海外派兵し、イランを敵視する米軍に協力させようとしています。12月27日に自衛隊派兵の閣議決定を強行しました。ジブチを基地に「海賊対策」にあたっている哨戒機2機を任務変更し、ヘリ搭載自衛艦1隻を年初にも派遣するとしています。期間は1年間としていますが、更新することが前提です。私たちは国会審議さえ抜きでの自衛隊海外派兵強行を糾弾します。
 安倍政権のやり方はでたらめです。自衛隊の海外派兵には法律が必要で、現行法(武力攻撃事態法、国連PKO法、海賊対処法等)でも国会の承認ないしは報告が必要です。わざわざ審議を避けて国会閉会後に「閣議決定」だけで決めるのはあからさまな国会無視、内閣の専横です。さらに、政権が根拠とする「防衛省設置法第4条18項」の「調査・研究」適用はとんでもない詐欺です。防衛省設置法は役所である防衛省の所轄事務を定めたものに過ぎません。第4条は「防衛省は、次に掲げる事務をつかさどる」とし、その18項に「所掌事務の遂行に必要な調査及び研究を行うこと」とあります。明らかに防衛省の事務に関する調査・研究であり、戦闘部隊である自衛隊の海外派兵には全く該当しません。自衛隊の任務は自衛隊法の第76条(防衛出動)以降に詳細かつ具体的に規定されていますが、「調査・研究」のための海外派兵など何の規定もないのです。とうてい派兵の根拠になどなりえません。しかも、今回は公明党を巻き込むために閣議決定に応じていますが、「防衛省設置法第4条18項」では防衛大臣の決裁だけで発動できるのです。防衛大臣の決裁だけで軍隊を海外に送り出し、自由に緊張激化地帯に介入し、戦争を引き起こせることになります。憲法も法律も無視した、とうてい許すことができない暴挙です。

自衛艦の中東派遣は米軍の戦争に協力するため
 政府は、米軍の「有志連合」(センチネル作戦)には参加しないと言っていますが、それはイラン向けの口先だけのごまかしに過ぎません。実際に「調査・研究」で何をするのでしょうか。行動範囲はオマーン湾、アラビア海北部、バベルマンデブ海峡などです。ホルムズ海峡に隣接するオマーン湾を中心にイランの沿岸で、付近の艦船や船舶、航空機などの軍事情報を監視するのが任務です。もちろん監視対象の中心はイラン関連になります。米軍の「有志連合」は発足したものの米国、英国、豪、サウジアラビア、アラブ首長国連邦等わずか7カ国しか参加しませんでした。イラン威圧や監視には艦船や哨戒機が圧倒的に足りない米軍にとっては自衛隊派兵は大歓迎なのです。日米間では艦船や哨戒機はデータリンクで結ばれ戦術情報は瞬時に交換できます。したがって自衛隊が得た軍事情報は直ちに米軍に提供されます。結局、米軍に緊密に協力するための派兵なのです。
 政府は、今回の派兵が「調査・研究」から戦争へとエスカレートすることを初めから想定しています。米軍がイランに衝突や攻撃をしかけたら、あるいは双方の間で偶発的軍事衝突が起こったらどうなるでしょう。政府は「攻撃されれば個別自衛権や海上警備行動」発動、さらに拡大すれば戦争法の重要影響事態、存立危機事態発令へと進むことを初めから想定しています。要するに戦争になる可能性を織り込んで、戦争になれば米軍の側で参戦することを前提にした派兵なのです。自衛隊は「地域の平和と安全」のために行くのではありません。米軍と一緒になってイラクを威圧し、加担するために、言葉を換えれば戦争を煽るために行くのです。憲法に真っ正面から反する対イランでの自衛隊派兵を許してはなりません。

米の対イラン軍事挑発に手を貸すな
 12月初旬に訪日したイランのアラグチ次官は日本に緊張緩和への取り組みを求め、「いかなる外国の軍隊もこの地域の安定や安全、平和に貢献するとは思えない」と自衛隊派兵に否定的見解を述べました。「イランからネガティブな反応ない」との河野防衛相発言は真っ赤な嘘です。イラン側が主張するように、問題の根源は、トランプ政権が核合意から一方的に離脱し、対イラン制裁を一方的に強制していることにあります。中東地域で緊張をつくりだしている原因は米国にあるのです。
 他方、米国は「有志連合」を立ち上げました。また「イラクへの短距離ミサイル移動」等、再び「イランの脅威」について騒ぎ始めました。メディアは米政府が多数の艦船、米兵の増派を示唆しています。トランプ政権が再びこの地域での軍事的緊張激化をしかけようとしているのは間違いありません。
 米国とイラン、どちらがこの地域の緊張を高め、相手を軍事力で屈服させようとしているか、戦争を弄(もてあそ)んでいるかは明らかです。安倍政権が閣議決定で始めようとしている自衛隊の新しい海外派兵はまさに米国に加担し、軍事的政治的緊張を高め、戦争への道を進むものであり、絶対に許されません。

2019年12月27日
リブ・イン・ピース☆9+25

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