ペロシ米下院議長の台湾訪問を糾弾する
米国は中国に対する軍事的政治的挑発をやめろ

 本日夜遅く、米国下院議長ナンシー・ペロシが米空軍機で台湾に入りました。われわれはペロシ訪台が中国に対する危険極まりない挑発であり、中国に対する最大の戦争挑発であることを厳しく糾弾します。この行動は冷戦終結以降アジアで第3次世界大戦を引き起こしかねない最も危険な行為と言わざるをえません。この訪問は、先月28日のバイデン−習近平会談でも取り上げられ、中国側が最大級の厳しさで警告し中止を要求しました。しかし、米国政府は制止せず、ペロシ氏と同行の下院議員団が強行したものです。発表されたペロシ氏の訪問先には昨日までで台湾は入っておらず、訪台について秘密に企て強行したものです。

 しかし、ペロシ議長らの単独の暴走ではありません。ジョン・カービー報道官は口では「中国との緊張を深めることには興味はない」「ひとつの中国政策は変わっていない」と言いながら、「ペロシ議長には訪台する権利がある」「下院議長の初めての訪台ではない」と開き直ってペロシ氏の行動を正当化しています。米政府がペロシ氏を後押ししていることは、7月上旬から南シナ海各地で中国に対する軍事威嚇と挑発を繰返してきたロナルド・レーガン空母攻撃群を7月30日に台湾近海に呼び戻したことに明らかです。ペロシ氏の搭乗機を空母艦載機が護衛する体制をとったのです。台湾近くの沖縄近海にはもう一隻の準空母=強襲揚陸艦もいて援護の体制です。ペロシ議長の行動はバイデン政権を代表した対中戦争挑発政策です。中間選挙で上下両院での敗北が明らかとなったバイデン民主党の起死回生の冒険主義的な博打なのです。

 中国政府と中国軍は強く反発しています。習近平主席は「火遊びはやめろ」とバイデン大統領に要求しました。中国軍も強行すればただでは済まさないと強い姿勢を示しています。南シナ海では中国海軍がレーガン部隊に対抗して行動してきましたが、台湾海峡対岸では人民解放軍が陸海での演習を31日から新たに始めました。夜間の飛行訓練など軍事行動も強めて、ペロシ訪台への対抗を図っています。アンソニー・ブリンケン国務長官は「危機が起こったり、緊張がエスカレートするとすれば中国側の責任だ」と自国のことを棚に上げて中国を批判し責任転嫁します。しかし、中国の一部であると米自身が認め、国交も断った台湾に、まるで普通の国家であるかのように米国で副大統領に次ぐナンバー3の権力者が下院の外交委員会議長など幹部を引き連れて訪問するなど、中国に対する侮辱、露骨な挑発以外何物でもありません。米国に対する外交的信頼を根底から崩す行為です。ペロシ氏は確信犯の反中国派で、冬季北京オリンピックに各国首脳の不参加を呼びかけたのをはじめ、中国攻撃と台湾に独立をそそのかしてきた人物です。明らかに中国政府のメンツをつぶし、台湾の独立派を鼓舞しようと行動しています。それは同時に、この行動は中国・台湾・米国の軍事的緊張の中で行われ、もし衝突すればどこまでエスカレートするかわからない、極めて重大な軍事衝突とその拡大の危険を持つ行動です。

 今回の訪台は、米国がウクライナで米主導の対ロシア戦争をやりながら、同時に中国とも戦争を構える号砲となるものです。米帝国主義の侵略性、好戦性の典型的な現れであり、何としてもこれ以上のエスカレーションを阻止しなければなりません。

 今回のペロシ訪台で、米主導の台湾問題でのひとつの挑発の姿が明らかになりました。要人を軍用機で訪台させ――搭乗機を米軍が空からと海の両方で「護衛」する――周辺海空域で米中両軍は極度の接近、緊張状態に入るというものです。これをメディアを使って全世界に中国の「蛮行」としてプロパガンダし、台湾独立の宣伝と軍事的挑発を同時に推し進めようというものです。しかし、発端も仕掛けているのもペロシであり米政府と軍です。米軍機が中国の一部である台湾に接近すれば領空防衛の為に中国軍機が当然出てきます。あるいは中国の大陸と台湾に挟まれた台湾海峡で米軍艦が軍事行動をとれば、中国艦艇が出動します。自分が挑発しておいて、相手を悪者に仕立て上げる典型的なやり口です。「力による現状変更は認めない」という米日の常套句は米政府にこそ突きつけなければなりません。

 われわれは、ペロシ訪台が中国に対する公然たる内政干渉、主権と領土の侵害であり、事実上の「一つの中国」政策を公然と破壊する行為と考え断固反対します。また、台湾海峡の平和と安定に対する挑戦です。明日3日にはペロシは「活動家」と会談する計画だといいます。もしそうなれば台湾独立勢力への公然たる加担です。米政府は中国内部に対する干渉と介入をやめなければなりません。

 対中挑発は米国だけの話ではありません。ペロシ訪台に続いて英議員団が年内に訪台することが明らかになりました。先日NATOが中国を敵対国扱いすることを決めましたが米欧諸国全体が、台湾に狙いを定めて対中戦争挑発を加速し始めています。日本も例外ではなく7月末には石破元防衛大臣が日本の超党派議員団を率いて訪台し、蔡英文と会談を行ったばかりです。

 危険なペロシ議長の訪台と対中挑発に対しては、まだ小さいですが台湾国内と米国内で反対の声が上がっています。これらの人々の声に連帯し、われわれは、米を先頭とする「台湾有事」宣伝と、米欧日が仕掛ける対中挑発政策に反対し、この地域での対話と政治的安定、平和共存と経済協力体制を要求して声を上げていかなければなりません。

2022年8月2日
リブ・イン・ピース☆9+25