トランプは対北朝鮮での戦争挑発をやめろ
安倍首相は自衛隊を米空母に加勢させるな
100万人以上の死者のでる戦争ではなく米朝直接対話で政治解決せよ
  
(1)空母を北上させ、朝鮮半島で戦争の緊張を高めるトランプ
 トランプ大統領は、原子力空母カールビンソン艦隊を再び北上させ、朝鮮半島に向けて進むよう命令を下しました。北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)に対して軍事力を集結させ、朝鮮半島と東アジアで戦争の緊張を高めています。シリアに対して攻撃したように、北朝鮮に対してもトランプがいつ攻撃するかわからない、それが戦争の危機を高めています。
 戦争になれば、南北国境から近いソウルは壊滅的打撃を受けます。94年の朝鮮半島危機には韓国市民100万人、米国人10万人の犠牲が出ると米軍は見積もりました。北朝鮮も核爆弾を持つ今ではどんな被害になるか想像も出来ません。南北朝鮮はもちろん、日本も中国も大きな被害を受けることは避けられません。他人事ではありません。戦争を絶対にさせてはならないのです。
 トランプ大統領はわざわざ米中会談の最中にシリアに対する攻撃を行いました。中国に対し、北朝鮮への制裁強化を迫れ、核・ミサイルを放棄するか経済破綻するかの選択を迫れと要求し、でなければ同じく単独行動で北朝鮮を叩き崩壊させるぞ、と脅迫したのです。
 その後、トランプ大統領はシンガポールからオーストラリアに向かっていたカールビンソンの部隊に予定を変更して北上し、朝鮮半島に向かうように命令を下しました。もちろん北朝鮮に矛先を向けて軍事力で恫喝しているのです。何かあればすぐに攻撃できるようにとの行動です。同時に、中国が協力しないなら米単独でも対応する、中国や韓国は戦争になりたくなければ北朝鮮制裁に協力しろと行為で脅しているのです。

(2)戦争を前提に協力を申し出る安倍首相
 安倍首相はこの空母部隊に海上自衛隊との「共同訓練」を申し入れました。戦争も辞さずと朝鮮半島に向かって進む米空母の艦隊に護衛として参加し、加勢しようというのです。戦争が起こるかもしれないのに、進んで参加しようとする安倍首相の姿勢は異常な戦争待望というほか有りません。
 日本のメディアの中には、無責任な「北朝鮮脅威論」と同時に、実際の戦争勃発への危機感も台頭しています。先制攻撃論は軍事的に不可能どころか緊張を高めるだけとの指摘も出始めています。現在の危機を回避するには、軍事的・政治的な緊張緩和へ転換すること、北朝鮮国家の存続を認め、交渉相手として米朝直接対話と国交正常化を進めること。それ以外にはないのです。トランプと安倍の緊張激化・戦争挑発路線を批判し、政策転換を要求しましょう。

(3)目の前で侵略的・脅迫的な軍事演習を繰り広げているのは米
 緊張が高まる中で、安倍政権・与党とマスメディアは、北朝鮮のミサイル発射、核実験の脅威を煽り、金正恩は何をするか分からないと「北朝鮮脅威論」を煽り立てています。しかし、何をするか分からないのはトランプの方なのです。
 米韓日の側の軍事力の優位は圧倒的です。北朝鮮の弱小かつ脆弱な軍事力との軍事的力関係の格差は隔絶しています。戦争になれば短期間に北朝鮮を叩き潰す能力を持ち、戦争の脅威を作り出しているのは米の側です。
 米韓両軍は、4月下旬まで合同演習を続けています。第二次朝鮮戦争の共同作戦計画OPLAN5015を書き換え、先制攻撃戦略を採用して以降、米韓軍事演習の侵略性、攻撃性がますます強まっています。米韓合同軍事演習「キー・リゾルブ」と野外機動演習{フォール・イーグル」では、北朝鮮のミサイル発射に対する先制攻撃の訓練まで含まれ、実際にB1、B2、F22、F35などステルス兵器による先制攻撃演習が行われました。空母機動部隊による大規模攻撃と大規模上陸作戦、最大規模の特殊部隊が参加し金正恩を狙った「斬首作戦」、核開発・核ミサイル発射基地破壊の強襲演習も行いました。米国家安全保障会議NSCは4月8日には在韓米軍に再び戦術核を配備することまで進言しました。軍事的劣位にある北朝鮮にとっては脅威そのものなのです。

(4)戦争法以降、米韓軍事力と一体化を強める自衛隊
 問題は米韓軍事演習だけではありません。今や米韓軍と密接に連動して自衛隊が動いています。現に米韓共同演習の最中に、日米韓の海軍が共同してミサイル防衛・迎撃の演習を行いました。安倍政権はすでに自衛艦による米艦防護演習をしています。安倍首相は「戦争になるなら事前に教えてくれ」とふざけたことを要求しています。戦争になるならやめろと止めるのが平和憲法を持つ日本の首相の義務でしょう。さらに、安倍首相はもし戦争になったら自衛隊が拉致被害者救出に出動するので、米軍による援護を依頼したと報道されています。どれだけ戦争がしたいのでしょうか。
 もし米が北朝鮮に対して先制攻撃を仕掛ければ、韓国軍だけでなく自衛隊も肩を並べて先制攻撃に参戦することになります。これが戦争法下の集団的自衛権行使の超危険な実態なのです。最近、自民党国防部会は「敵基地攻撃能力獲得」「ミサイル防衛強化」の提言を行い、安倍政権はその検討を始めました。まさに今度は「敵基地攻撃能力」として巡航ミサイルなど長距離攻撃兵器を装備し、米軍と肩を並べて攻撃作戦に参戦するということを狙っているのです。

(5)トランプと安倍の対北朝鮮戦争挑発に反対しよう
 トランプは、シリア攻撃で、「限定攻撃」ならアサドは反撃せず、ロシアも対抗しないという計算をしました。北朝鮮も同じように固定式のミサイル発射基地への「限定攻撃」なら反撃しないだろうと考えていかもしれませんが、まったく馬鹿げた妄想です。
 シリアと北朝鮮は全く違います。反撃なしなどあり得ないのです。日本に届く移動式のスカッドER、ノドンミサイルは全部を探知することも破壊することもできません。在韓・在日米軍基地への反撃は不可避です。実際に米軍が攻撃すれば、韓国と日本を巻き込む大規模な戦争に拡大するのは間違い有りません。ソウルは大きな被害と犠牲を被るでしょう。中国やロシアも黙ってはいません。1994年にクリントン政権が同様の戦争を検討したとき、韓国の金泳三大統領が激怒して反対し、米軍の被害も予想を超えたので断念せざるを得なかったのです。
 トランプ政権は攻撃の「レッドライン」を北朝鮮によるICBM能力獲得に設定しているといわれます。もし今回米が軍事攻撃に出なくても、トランプと安倍のやり方をそのまま放置すれば、2・3年以内に北朝鮮に対して戦争を仕掛ける危険が一気に高くなります。
 戦争は絶対許してはなりません。トランプ大統領の対北朝鮮戦争を絶対に許してはならないのです。安倍首相の戦争への前のめりの加担を絶対許してはなりません。トランプと安倍の朝鮮半島での戦争挑発に反対する運動を大至急大きな市民の声に広げて、戦争挑発をやめさせ、戦争を阻止しましょう。

2017年4月13日
リブ・イン・ピース☆9+25