“戦争で島を取り返す”発言の丸山議員は辞職せよ!
安倍9条改憲も同根だ! 戦争法を廃止せよ!

“戦争で島を取り返す”丸山発言を糾弾する
 日本維新の会の丸山穂高衆院議員は、5月11日、「北方領土」へのビザなし交流訪問団に同行した際、他の団員や新聞記者の前で団長に対して「戦争でこの島を取り返すのに賛成ですか、反対ですか」「ロシアが混乱している時に取り返すのはOKですか」「戦争しないとどうしようもなくないですか」と問い詰めた。あからさまな戦争による領土奪還要求である。大塚団長(89)は「戦争なんて必要ない」と丸山の発言を拒否し続けた。戦争によって悲惨な経験をし、ふるさとを失った者として当然の反応だ。丸山議員の発言は、昨秋以降の「領土返還」をめぐっての安倍政権の対ロ交渉の行き詰まりの中で出されたことを考えるならば、交渉の打開を武力行使と戦争によって解決せよと言う、きわめて危険な内容だ。
 丸山議員は「謝罪」し発言を「撤回」した形になっているが、実際には全く変わっていない。その後も「長年我が国領土を不法占拠しているロシア」「戦争で取られたものをどのように取り返すのかというのは本当に一筋縄ではいかない」 などと発信している。「(維新の党が行った)ロシアへの『おわび』は完全に意味不明な対応」などと開き直り、危険な発言を続けている。「戦争による領土奪還」と言って何が悪いと開き直っている。
 日本維新の会は、丸山議員を除名処分にして党への批判の波及を押さえようとしたが、問題は丸山議員個人ではない。戦争法に賛成し改憲を支持する維新の体質だ。丸山議員に続き維新の公認候補である長谷川豊が露骨な部落差別発言をしていたことが明らかになった。どのような連中が改憲の旗を振っているかを端的に示している。丸山議員は、戦争をしかけ、その戦乱に乗じて領土をかすめ取ることを主張しているのだ。それは憲法の基本原則である平和主義、戦争放棄を真っ向から否定するもので、憲法を遵守すべき国会議員に許されないきわめて悪質な主張だ。即刻議員を辞めさせなければならない。。

安倍改憲の斬り込み隊としての維新の体質
 丸山発言は、維新の体質であるとともに安倍政権、安倍首相の考え方そのものだ。安倍首相は就任以来一貫して戦争する国作りを行ってきた。軍事力を背景にした「平和」、軍事力を背景にした外交、これこそ安倍政権の基本原理だ。だから集団的自衛権と戦争法で米と一緒に戦争に参加できるようにし、改憲で自衛隊の戦争参加に対する一切の制約を取り払おうとしているのだ。維新の党は、戦争する国づくりと改憲に関して、自民の別働隊、斬りこみ隊の役割を果たしている。
 5月16日におこなわれた衆院本会議で、安倍首相は戦争参加、先制攻撃にさらに一歩踏み込んだ。「サイバー攻撃だけでも武力行使が許される」と発言したのだ。
※「サイバー攻撃のみであっても、たとえば、物理的手段による攻撃と同様の極めて深刻な被害が発生し、これが相手方により、組織的、計画的におこなわれている場合には、武力攻撃に当たりうる」
「政府としては、サイバー攻撃による武力攻撃が発生した場合には、憲法上、自衛のための必要最小限度の範囲での武力の行使が許されると考えている」

 そもそも「サイバー攻撃」はそれが個人、組織、国家によるものなのかを特定することは困難だ。見方を変えれば、“A国によって組織的、計画的におこなわれた”“極めて深刻な被害が発生”と強弁すれば、先制攻撃の口実とすることが可能となる。自作自演の危険さえある。
 「敵基地攻撃能力」の議論が、日本の防衛戦略の重大な転換として進められてきた。“ミサイル発射の兆候”等を察知した段階で、敵国の通信網や発射基地への先制攻撃をしかける−−事実上の宣戦布告無き戦争を認めよというのである。
 自衛隊の防衛装備からも、F35A戦闘機の大量導入や巡航ミサイルのF15への搭載等、これまでの他国機の領空侵犯への警戒から、空対地攻撃能力の飛躍的向上へと転換している。
 まさにここに改憲策動の本質がある。安倍首相の言うような「自衛隊員の誇り」「憲法9条第三項に自衛隊を書くだけ」ではない。現実に戦争ができる体制を憲法に明記することなのだ。
 “戦争をして手っ取り早く領土を取っちゃいましょう”と平気で軽口をたたく丸山議員のような輩を次々と生み出しているのは、戦争する国づくりを進める安倍政権自身だ。戦争法ができたのになぜ戦争をしないのか、憲法に自衛隊が明記されたのになぜ戦争をしないのか−−戦争する国とは、紛争の解決に普通に武力を行使する国だ。
 政府は、丸山発言に対して「外交関係に影響がでる」などと言っているだけだ。安倍首相も菅官房長官も「憲法違反」「日本は戦争できない」「禁じられている」というような反論をしていない。糾弾していない。根底でつながっている。

危険な「北方領土返還」要求に反対する
 我々はいわゆる北方領土の返還要求に反対である。日本が引き起こした侵略戦争の反省を欠落させ、ポツダム宣言無条件降伏を受け入れを覆すものだ。ポツダム宣言の結果ソ連に引き渡したものを、ロシアが不当に支配しているとする事は、日常的にロシアに対して脅威を与え続けることになる。最近の日ロ交渉において、ロシア側の最大の懸念の一つは、「北方領土」をもしも引き渡せばそこに米軍基地が置かれるのではないかということだ。安倍政権はこれを明確に否定しなかった。日本への領土引き渡し自体が新たな脅威を生み出す。日本軍国主義によって2000万人以上の犠牲を出した中国はじめアジア諸国同様、当時のソ連もまたナチスドイツとの闘いによって2000万人以上の犠牲を出した。北方領土のソ連編入は日本軍国主義の脅威を取り除く意味をもったことを認めなければならない。
 安倍政権は、天皇制軍国主義のアジア諸国に対する侵略戦争と植民地支配を正当化し、第二次大戦の結果を否定しようとする歴史修正主義だ。天皇制軍国主義の敗北の結果として「北方領土」はソ連のものになった。たしかに56年の日ソ共同宣言で二島引き渡しが合意されたが、第二次大戦の結果4島の主権はソ連に移ったというのは一貫したソ連の主張であった。のちの1960年に日米安保条約、反ソ軍事同盟を結んだことで日ソ共同宣言の前提は根本から覆された。
 「平和条約締結」には、経済交流・文化交流・人的交流を深めていくことが必要だ。丸山発言はそのような元島民らの気持ちを踏みにじるものだ。今日、日ソ共同宣言を問題にするならば、日米安保の廃棄と米軍基地の撤去がまず問題になる。「戦争による領土奪還」発言は、安倍政権の日米安保下での「北方領土返還」要求が戦争の危機をたかめるものであることを示した。

丸山議員は辞職せよ
 日本国憲法は、戦争への反省から戦力の不保持を唱い、武力による威嚇も行使も禁じ、戦争を放棄している。丸山発言はあからさまな憲法9条違反、議員の憲法遵守義務違反だ。丸山議員は、戦争発言を行った交流訪問参加中、見当外れの「議員不逮捕特権」を持ち出して、不法行為や暴言を浴びせたと報じられる。丸山議員は党は除名処分となったが、いまだに国会議員にとどまっている。自公与党は、猛省を促す「けん責決議案」をアリバイ的に提出しただけで議員辞職を問わないつもりだ。丸山議員がこのままのさばりつづけるなら、日本の政府と国会は諸外国に「戦争による領土奪取」を許容したと発信することになるだろう。
 立憲民主党など野党5党派は丸山議員に対する辞職勧告決議案を提出し、採決するよう求めている。戦争をあおる丸山議員を辞職させよう。丸山発言を生み出した戦争法を廃止させよう。安倍改憲をストップさせよう。

2019年5月24日
リブ・イン・ピース☆9+25