米の戦争政策追随で突出する岸田政権 5月19日から広島で行われようとしているG7サミットは、文字通りの戦争サミットです。米が主導し、ウクライナ戦争への支持と武器援助強化とともに対中軍事包囲のさらなるエスカレーション確認で結束を固める場にしようとしています。ウクライナ戦争では、戦車をはじめ大量の武器供与でウクライナに大反攻作戦を実施させるつもりです。彼らが言う「ウクライナ人の最後の一人まで支持する」とは最後の一人まで闘って死ねと言うことです。私たちはこのような戦争を煽り立て、代理戦争を闘わせることには反対です。自分たちの利害のためにウクライナの人を死なせないでください。さらに、英国は、チャレンジャー戦車に搭載する劣化ウラン弾のウクライナ供与を発表し、ウクライナ全土を放射能で汚染するという、さらなる戦争エスカレートに踏み出しました。対中戦争準備では、米国は、トマホークをはじめ数千発の長距離巡航ミサイル配備、海兵隊ミサイル連隊配備、台湾への大量の武器売却と米兵を送り込んでの軍事訓練指導、日米および米韓の軍事演習、豪への原潜配備合意とAUKUS強化、フィリピンへの米軍基地増設等々。G7でも対中包囲での結束を確認し、途上国の引き込みを狙っています。アジアでも軍事包囲と武力による威嚇を行い、戦争の危機を高めています。 しかし、フランス・マクロン大統領が中国を訪問し、中国のウクライナ和平提案に理解を示し台湾問題での西側諸国の米国追随を批判するなどほころびが見え始めています。何よりも今ほどG7の孤立が顕著になったことはありません。ロシアへの代理戦争強化を呼びかけるG7に対して、「即時停戦と政治的協議での解決」を呼びかけた中国の停戦提案は多くの国の共感を得ています。グローバルサウスの国々はG7を支持しません。BRICSの経済力はG7に並びました。G7諸国が「法と秩序を守れ」と言っても、今では大半の国がそれは欧米の先進国が押しつけてきた勝手なルールだと考えています。 私たちは最近ますます強まる「中国の脅威」などのキャンペーンはプロパガンダやデマだと考えます。根拠なしに悪意だけが繰り返されているからです。反中国意識をばらまくことで緊張を高め、戦争を仕掛けようとしているのは米と西側諸国であると考えています。同じく、ウクライナ戦争は、米・NATOによるウクライナを介したロシアに対する代理戦争になっており、戦争による犠牲と破壊をこれ以上生み出さないためにも即時停戦すべきだと考えています。 岸田政権はサミット議長国として、軍事費倍増と対中戦争準備を強行することで米への忠誠を示し、ウクライナに対しても、これまでの「人道支援」にとどまらず武器供与をする道を探っています。G7の中でも最先頭で戦争を煽るリーダーシップを取ろうとしています。私たちは、岸田政権の戦争政策に断固反対します。「広島」の地から戦争や核戦争の危険を高めるような呼びかけをすることに断固反対します。 大軍拡財源確保法案に反対する 今まさに国会では、日本の安保外交政策を大転換させる、戦争する国づくりのための法案が審議されています。3月末に成立した歴史的な大軍拡予算の財政的裏付けとなるのが「防衛費財源確保法案」です。 来年度予算では軍事費は文教費や公共事業費を抜いて2番目の予算項目に躍り出ました。軍事費は26.4%増(1兆4214億円増)の6兆8219億円、「安保3文書」で打ち出した「5年間で43兆円、5年後にGDP2%」という異常な軍事費膨張を、あらゆるところから軍事費を調達することで実現しようとしています。政府の計画する今後5年間で「決算剰余金」の流用3兆5000億円、医療や文教など他項目の歳出削減3兆円強、新設の「防衛力強化資金」4兆6千億円〜5兆円、増税1兆円等々で、今年度予算では、本来国庫に返還すべき「決算剰余金」や歳出削減分を勝手に軍事費につぎ込んでいます。人民の税金・資金の許しがたい流用です。 財源確保法案は次年度以降の軍事費を蓄える「防衛力強化資金」を設置します。円安対策で円が過剰になった外為特会からの3.1兆円繰り入れを中心にすでに4兆6千億円を確保し、1兆2千億円を今年の軍事費に投入し、3兆4千億円を次年度以降にキープしています。しかし外為特会の剰余も本来国庫返還すべき国民の税金です。勝手に軍事費にするなど許されません。また、国立病院機構や地域医療機能推進機構の国庫納付金や国有財産の処分などでむりやり「税外収入」をひねり出して資金に投入しています。これらは本来一時的な資金であり今後も持続できる保証はどこにもありません。岸田政権が大増税を企てているのは明らかです。歴史的な大軍拡予算を許さないため、防衛費財源確保法案反対の声をあげましょう。 国家主導の軍需産業育成法案反対 ウクライナへ武器供与は許されない もうひとつの重要法案「防衛装備品生産基盤強化法案」は、武器輸出を推進するために、国が軍需産業を支援し、助成する仕組みと基金を設ける法律です。「防衛産業は防衛力だ」の合い言葉の下に、軍需産業を強化し、軍需産業への参入を奨励し、武器輸出を強化するために、国家が補助金を投入する、国が企業の生産ラインを買い取り、民間企業に生産を委託することまで想定しています。兵器産業の国有化など戦後初めてのことです。政府による供給網の掌握や軍事機密の保持等も含まれています。 岸田内閣は4月5日、「同志国」の軍に防衛装備品を無償供与する「政府安全保障能力強化支援OSA」を閣議決定しました。近年、日本政府は政府開発援助ODAを戦略的・選択的に運用し、途上国の開発援助から日本に従わせたい国への選択援助にシフトさせてきました。OSAはこれを更に飛躍させたものです。軍への支援ができないODAとは別に、対中国包囲に協力しそうな国を「同志国」と定め、その国の軍に装備品を供与するというものです。 岸田首相は、この法律制定と軌を一にして「防衛装備移転三原則」を見直し、殺傷能力のある武器の本格的な供与に乗り出そうとしています。自民党は、統一地方選の翌24日から自公協議を開く方針です。「三原則」に付けた「条約・安保理決議に反しない」「紛争当事国には出さない」「日本の安全保障に資する」などの条件さえ改変、撤廃しようとしているのです。狙いはウクライナに他なりません。殺傷能力のある武器支援を戦争当事国に支援するなど許されません。自民党は「国際法違反の侵略を受けている国」などと詭弁を使ってこれまでの政府見解を根本的に覆そうとしているのです。岸田首相は、G7で表明するために強引に進めようとしているのです。 9条改憲反対、「ノーモア 沖縄戦」「ノーモア日中戦争」 大軍拡予算と軍事費財源確保法、軍需産業育成法案に武器輸出、このあとにくるのは憲法9条改悪です。違憲の自衛隊のままで、なし崩し的に対中戦争準備を進めるのではなく、正真正銘の軍隊として、米と一体となって対中戦争に突き進む、私権制限や国家緊急権を行使できる状況を獲得したいという衝動があります。衆院憲法審査会では、緊急事態条項が主要なテーマとなっており、参議院議員の任期延長・緊急集会とあわせて、武力攻撃を含む有事における国民の権利の制限が議論されています。加えて「台湾有事」を念頭に9条改憲の必要が議論されています。そして9条に自衛隊を書き込むだけでなく、首相の権限や内閣の役割などでの自衛隊の位置づけ、憲法裁判所の新設のための特別裁判所の規定など、第五章「内閣」、第六章「司法」など全面的な改憲項目が、条文化を想定する形で議論が交わされる危険な局面に入ろうとしています。 しかし沖縄はじめ南西諸島では、米日によって戦争が引き起こされることへの危機感が高まり、戦争準備反対と日中友好を掲げて闘いを進めています。避難シェルターの設置の要請、住民避難の図上訓練、地下鉄の避難施設としての利用の検討など、「台湾有事」を国民の意識の中に植え付け、それを想定した国民の統制策動が具体的に進められていることに対して「ノーモア 沖縄戦」「ノーモア日中戦争」を合言葉に闘いが進められているのです。本土でも、反中プロパガンダに粘り強く対抗し、戦争準備反対、日中友好のキャンペーンを進めていくことが必要です。岸田政権の「戦争する国」づくりにストップをかけましょう。 2023年4月17日 |
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