「表現の不自由展かんさい」は、2019年に愛知県で開催された国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」の企画展「表現の不自由展・その後」の作品の一部を展示する予定で、準備が進められています。19年の「表現の不自由展・その後」では、、右翼・排外主義団体やネット右翼などが、日本軍「慰安婦」を象徴する少女像などの展示に対して「反日」などと攻撃し、脅迫などが殺到した結果、一時中断に追い込まれました（入場制限を設けて再開）。 この時十分鑑賞することができなかった作品を再び展示するため、今回、東京、名古屋、大阪の3カ所で、「表現の不自由展」が開催されることになりました。しかしながら、またしても右翼・排外主義勢力があおった攻撃により、「表現の不自由展」東京は、会場の変更を余儀なくされ、さらに延期に追い込まれました。 そして、大阪でもまた同様の攻撃が行われた結果、会場であるエル・おおさかが利用承認を取り消すという結果になりました。このように、右翼・排外主義勢力による、暴力的脅迫を含む攻撃が行われ、それが放置されることによって、憲法に保障された「表現の自由」が侵される事態は、断じて容認することはできません。 そして、会場がその攻撃に抗しきれず、利用承認取り消しに至ったことは、「表現の自由」の圧殺に手を貸すことであり、きわめて残念です。実行委員会によると、会場に寄せられた「抗議」は、現時点で業務に支障が出るほどのものではなかったとのことで、会場の対応は、萎縮あるいは過剰反応と言われてもしかたありません。この決定は、攻撃すれば気に入らない表現や企画をやめさせることができるという前例を作るものです。右翼・民族排外主義者のやりたい放題のヘイト･暴力・政治的攻撃に道を開くもので、今後の社会に大きな禍根を残すことになりかねません。会場管理者にも「表現の自由」を擁護する責任があります。利用承認取り消しに断固抗議し、開催を認めるよう要求します。 この問題について、吉村洋文大阪府知事はわざわざ「取り消しに賛成だ」と述べ、会場管理者の対応支持を表明しました。本来行政の長である府知事は、「表現の自由」を圧殺しようとする勢力に対して、先頭に立って権利を擁護するために立ち向かうべき立場です。脅迫的・暴力的な「抗議行動」があるならば取り締まり、利用者や周辺住民の安全を確保し、公共施設における「表現の自由」を保障することこそが、知事の責任です。にもかかわらず、そうした勢力を一言も批判することなく、あっさりと取り消しを支持することは、知事の職務を果たしていません。 いや、むしろ知事は、内心そうした勢力に同調し、「表現の不自由展」を中止に追い込むことに加担している、と考えざるをえません。大阪市長時代に、米サンフランシスコ市で「少女像」が市有化されたことに抗議して、「姉妹都市」を解消するなど、吉村知事は、右翼・排外主義勢力と共通する考えを持っています。あいちトリエンナーレの時も攻撃に同調し、「反日プロパガンダで、大村知事は辞職相当」と公然と非難したことからも明らかです。吉村知事が自分の思想と政治的思惑を優先し、言論の自由を擁護せず逆に右翼の妨害を奨励するような行動をとることは許されません。 吉村知事に、利用承認取り消し支持を撤回するよう求めます。「表現の自由」を守る責任を果たすよう要求します。 ２０２１年６月２８日 |
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