米軍こそが「ごまかしとゆすりの名人」だ!
――世界でも突出した資産価値をもつ在日米軍基地――
  
 米国務省の日本部長であったケビン・メア氏が「沖縄はごまかしとゆすりの名人」と、沖縄を甚だしく愚弄する発言をおこなった。メア氏は解任されたが、彼は米国の本音を言ったに過ぎない。その傲慢な植民地主義的発想は彼個人のみならず、米軍全体の本質でもある。しかし、その「ごまかしとゆすりの名人」という言葉はそっくりそのまま米軍に返すべきである。そのことを端的に示すのが、さきごろ米国防総省によって発表された2010年度の米軍基地の資産評価の報告(Department of Defence Base Structure Report FY2010 Baseline)である。

沖縄の嘉手納基地をはじめ20の大規模基地のうち8ヵ所が日本に

(「Department of Defence Base Structure Report
FY2010 Baseline」より作成。次の円グラフも同じ)
 この報告によれば、沖縄の嘉手納基地が米国外の軍事基地の中で最も資産価値が高いことがわかる。右の表を見れば、以下4位まで在日米軍基地がずらりと並んでいる。米国外の米軍基地資産総額は1,328億ドルであり、664ヶ所の米国外米軍基地のうちこの4つの在日米軍基地だけで187億ドル、14%を占めている。
 さらに見れば、大規模基地と見なされている基地は米国外に20ヵ所あるが、そのうち8ヵ所までが日本にあり、中でも3ヵ所が嘉手納をはじめ、瑞慶覧、牧港と沖縄に集中している。
 これに続くのがドイツの3ヵ所、韓国の2ヵ所である。あとは1国にせいぜい1ヵ所ずつしかない。在日米軍基地の突出ぶりは全世界的に見ても際だったものになっている。
 日本(特に沖縄)は米国にとって使いたい放題の便利な場所にされているのである。

*この資産評価は、基地の施設をその数や面積にしたがってドルで評価したものであり、土地の価格は評価の中に入っていない。したがって、在日米軍の基地の資産価値が高いのは、日本の土地の価格とは無関係である。射撃訓練場のように施設のない場所については0.0と計上されている。
 
資産評価額で日本がドイツを抜いて海外1位に
 左の2つの円グラフを比較してみよう。米国外の基地の数としては、ドイツが1位であるが、資産評価では日本が1位になっている。前年度はドイツが資産評価も1位であったのが、ドイツ国内の基地の撤去・整理縮小が進展したために、今年度はこの結果となったのである。

突出する多額の「思いやり予算」
受け入れ国 駐留経費負担額 負担割合
日本 44億1134万ドル 74.5%
韓国 8億4311万ドル 40.0%
ドイツ 5億6392万ドル 32.6%
イタリア 3億6655万ドル 41.0%
イギリス 2億3846万ドル 27.1%
(2002年度米国防総省調べ
「地球の子ども新聞」120号より)
 このような在日米軍の“豊かさ”は、日本政府が米軍施設に対して支出してきた多額の「思いやり予算」によって支えられている。これもまた日本が額としては桁違いであり、負担割合(74.5%)も突出して多いことがわかる。

民主党政権もまた「ごまかしとゆすりの名人」
 こうした「思いやり予算」は自民党政権の下で長年に渡って支出されてきたものであるが、民主党政権においても依然として高水準である。2011年度予算案では、1858億円となっており、1月21日に署名された「思いやり予算」に関する特別協定では今後5年間、この水準を維持することを明記している。サブプライム問題やリーマンショックなど相次ぐ世界的な経済危機のまっただ中に日本もあるにもかかわらず、これだけの税金を米軍のために投入しようとしているのである。
 前原氏は外相就任直後に、この「思いやり予算」を「ホストネーションサポート」と呼ぶことを提唱していた。深刻な財政危機の中、米軍のことを「思いやる」必要などないのではないかという声が上がってくることに対する牽制であろう。呼び名を変えることによって、日本が当然負担すべき費用であるかのような印象を与えようとしている。
 日本政府は、メア氏発言問題では米政府と一緒になって大あわてで幕引きを図る一方で、辺野古の基地建設が既定のものであるかのように宣伝し、高江では米軍のための新しいヘリパッド建設のために暴力的に工事を強行している。
 米国政府が「謝罪」し、日本政府がそれを受け入れて幕引きをしようとしているが、それは少なくとも新基地建設を断念することと一体でなければ欺瞞であり、まさに「ごまかしとゆすり」以外の何ものでもない。

2011年3月11日
リブ・イン・ピース☆9+25